基本情報技術者試験参考書
IT エンジニアの登竜門。アルゴリズム(擬似言語)・情報セキュリティから経営戦略まで、IT の基本的知識・技能を証明する国家試験、基本情報技術者(FE)。
基本情報技術者試験(FE)について
基本情報技術者試験(FE)は、IPA(情報処理技術者試験) が提供するアソシエイトレベルの認定資格です。このページでは、試験範囲を全 6 章・29 節の参考書として体系的に解説し、本番形式の練習問題で理解度を確認できます。下の章一覧から順に読み進め、「問題集で演習する」で実力を試すのが効率的な学習の流れです。
試験で問われる分野(出題範囲の目安)
- テクノロジ系約 28%
- アルゴリズムとプログラミング(科目B)約 32%
- 情報セキュリティ約 20%
- マネジメント系約 10%
- ストラテジ系約 10%
配点は本番試験の目安です。各分野は下の章・節で詳しく解説しています。
1基礎理論とアルゴリズム
- 1.1数値表現と情報理論
コンピュータ内部での2進数・16進数表現と基数変換、負数を表す補数、実数を表す浮動小数点数とそこで生じる誤差(丸め誤差・桁落ち・情報落ち)、そして情報の量を測る情報量と符号化の基礎を学びます。
- 1.2論理とオートマトン
AND/OR/NOT等の論理演算とド・モルガンの法則、それらを物理的に実現する論理回路、プログラミング言語や通信プロトコルの構文を厳密に定義するBNFと文字列パターンを表す正規表現、そして状態遷移でシステムの振る舞いを表す有限オートマトンを学びます。
- 1.3データ構造
プログラムが扱うデータの整理方法である配列・リスト・後入れ先出しのスタック(LIFO)・先入れ先出しのキュー(FIFO)、階層構造を表す木構造(2分木)、高速な検索を実現するハッシュ、そしてネットワークのような関係を表すグラフを学びます。
- 1.4アルゴリズムと計算量
目的のデータを見つける探索(線形探索・2分探索)、データを順序どおりに並べる整列(バブルソート・クイックソート・マージソート)、自分自身を呼び出す再帰、そしてアルゴリズムの効率を入力サイズの関数として表すオーダ記法(O(n)・O(log n)・O(n^2))を学びます。
- 1.5擬似言語とプログラミング
基本情報技術者試験の科目Bで使われるIPA擬似言語の読み方を学びます。手続きの宣言、変数と代入(←)、条件分岐(if / elseif / else / endif)、繰り返し(for / while)、配列の添字の扱い、そしてトレース(コードを1行ずつ手で実行し値の変化を追う手法)の進め方を身につけます。
- 1.6プログラミングパラダイムと言語
処理の手順を記述する手続き型、データと処理をひとまとめにするオブジェクト指向(カプセル化・継承・多相性(ポリモーフィズム))、副作用を避ける関数型という3大パラダイムと、代表的なプログラミング言語(Python/Java/C/R/Go)、そしてデータ交換に使うマークアップ・データ記述形式(HTML/XML/JSON)とAPI・ライブラリの役割を学びます。
2コンピュータシステム
- 2.1プロセッサ
CPUが命令を実行する基本サイクル(フェッチ・デコード・実行・ストア)と、その速度を左右するレジスタ・パイプライン処理・CISC/RISCという設計思想の違いを学びます。さらにクロック周波数・MIPSという性能指標、マルチコア化とGPUの役割分担まで、プロセッサ全体を実務の視点で整理します。
- 2.2メモリと記憶階層
揮発性のRAMと不揮発性のROMの違い、CPUと主記憶の速度差を埋めるキャッシュメモリ(ライトスルー方式・ライトバック方式)、主記憶の容量を超えて扱う仮想記憶(ページング)、そして速度・容量・コストのトレードオフを表す記憶階層の全体像を学びます。アクセス時間やヒット率の計算にも触れます。
- 2.3システム構成と仮想化
集中処理と分散処理、クライアントサーバシステム、Web3層構造、クラスタリングと負荷分散という代表的なシステム構成パターンを学びます。さらに1台の物理マシン上で複数のOSを動かす仮想化(ハイパーバイザ)、より軽量なコンテナ、そしてIaaS/PaaS/SaaSというクラウドサービスの提供形態の違いを整理します。
- 2.4性能と信頼性
システムの応答速度を表すレスポンスタイム・ターンアラウンドタイムと処理能力を表すスループット、それらを測るベンチマークを学びます。さらに信頼性を数値化する稼働率(直列・並列接続の計算)とMTBF/MTTR、そしてシステムに求められる信頼性の総合的な観点であるRASIS、障害時の設計思想(フォールトトレラント・フェールセーフ・フェールソフト)まで扱います。
- 2.5ソフトウェア(OS)
OSが果たす資源管理という役割と、タスク(プロセス)管理における状態遷移、CPU時間を割り当てるスケジューリング方式(ラウンドロビン等)を学びます。さらに複数のタスクが資源を奪い合う際に必要な排他制御(セマフォ)と、そこから起こりうるデッドロック、ファイル管理の基礎、そしてOSS(オープンソースソフトウェア)の考え方まで扱います。
- 2.6ハードウェアと組込み
デジタル回路の基礎である論理回路(組合せ回路・順序回路)と、状態を記憶するフリップフロップを学びます。さらに現実世界の情報を取り込むセンサとコンピュータの指示で物理的に動作するアクチュエータから成るIoTデバイス、限られた資源で特定用途に特化した組込みシステム、そして省電力設計の考え方まで扱います。
3技術要素
- 3.1情報デザインとUX(ユニバーサルデザイン・UX/UI・アクセシビリティ・ヒューマンインタフェース)
誰もが使える製品を目指すユニバーサルデザイン、利用者の体験全体を設計するUX(ユーザーエクスペリエンス)と操作画面を設計するUI(ユーザーインタフェース)の違い、障害の有無によらず情報へアクセスできるアクセシビリティ、人と機械のやり取りを扱うヒューマンインタフェース(GUI・音声UI・ジェスチャ操作)、情報を利用者が理解しやすい形に整理する情報の構造化(メニュー階層・カード分類法)を学びます。
- 3.2情報メディア(圧縮・符号化・画像/音声/動画・VR/AR/CG)
データ量を減らす可逆圧縮・非可逆圧縮の違い、代表的な形式JPEG・PNG・MPEG・MP3、アナログ情報をデジタル化する標本化・量子化・符号化の3段階、仮想空間を体験するVR(仮想現実)・現実に情報を重ねるAR(拡張現実)、コンピュータで画像を生成・加工するCGを学びます。
- 3.3データベース(関係モデル・正規化・SQL・トランザクション・排他制御・障害回復)
データを表形式で扱う関係モデル、重複と更新不整合を排除する正規化(第1〜第3正規形)、表を操作するSQL(SELECT・JOIN・GROUP BY)、行を一意に識別する主キーと他表を参照する外部キー、複数の処理をひとまとまりで扱うトランザクション(ACID特性)、同時アクセスを制御する排他制御(ロック・デッドロック)、障害から復旧するロールバック・ロールフォワード、そしてNoSQLの位置づけを学びます。
- 3.4ネットワーク(OSI/TCP-IP階層・IPアドレス・DNS/DHCP・通信プロトコル・通信速度計算)
通信を階層で整理するOSI参照モデルと実務で使われるTCP/IPの階層、ネットワーク上の機器を識別するIPアドレスとサブネットマスク、経路を選ぶルーティング、名前解決のDNSとアドレス自動割当のDHCP、HTTP/HTTPS・SMTP・POP・IMAPといった代表的プロトコル、LAN(有線イーサネット・無線LAN)、そして実務で頻出の通信速度(伝送時間)計算を学びます。
4情報セキュリティ
- 4.1セキュリティの基礎(CIA・リスクマネジメント)
情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性=CIA)と、これを補完する真正性・責任追跡性・否認防止・信頼性を学び、守るべき情報資産に対する脅威と脆弱性の関係を整理します。さらにリスクマネジメント(リスク特定/リスク分析/リスク評価/リスク対応)のプロセスと、リスク対応の4分類(低減・保有・回避・移転)を学びます。
- 4.2脅威と攻撃手法(マルウェア・Webアプリ攻撃・ソーシャルエンジニアリング)
マルウェアの種別(ウイルス・ワーム・トロイの木馬・ランサムウェア・スパイウェア)、標的型攻撃・フィッシング、Webアプリケーションを狙うSQLインジェクション・XSS・CSRF、サービス妨害のDoS/DDoS攻撃、通信を狙う中間者攻撃、パスワード攻撃(総当たり・辞書攻撃・パスワードリスト攻撃)、人の心理を突くソーシャルエンジニアリング、取引先を経由するサプライチェーン攻撃を学びます。
- 4.3暗号技術と認証(公開鍵暗号・PKI・多要素認証)
共通鍵暗号と公開鍵暗号の仕組みと使い分け、両者を組み合わせたハイブリッド暗号、データの改ざん検知に使うハッシュ関数、正当な作成者を証明するデジタル署名、公開鍵の正当性を保証するPKI(公開鍵基盤)と認証局(CA)、Web通信を保護するSSL/TLS、複数要素で本人確認する多要素認証・生体認証、通信のなりすましを防ぐチャレンジレスポンス認証を学びます。
- 4.4対策と管理(ファイアウォール・ゼロトラスト・ISMS)
ネットワーク境界を守るファイアウォール・IDS/IPS・WAFと、外部公開サーバを隔離するDMZ、遠隔拠点を安全に接続するVPN、境界防御に依存しないゼロトラストの考え方、組織的な情報セキュリティ管理の枠組みISMS・ISO/IEC 27001、セキュリティポリシの体系、アクセス制御(最小権限・職務分離)、ログ管理、インシデント発生時に対応するCSIRT・インシデント対応のプロセスを学びます。
5開発技術とマネジメント
- 5.1システム開発技術
ソフトウェア開発プロセス(要件定義・外部設計・内部設計・実装・テスト・運用)の流れと、モジュール分割(強度・結合度)、オブジェクト指向設計とUML、テスト技法(ホワイトボックステスト・ブラックボックステスト・網羅基準)、レビュー(インスペクション・ウォークスルー)を学びます。
- 5.2ソフトウェア開発管理
開発モデル(ウォーターフォールモデル・アジャイル開発・スクラム・XP(エクストリームプログラミング))の特徴と選択基準、DevOpsとCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)、IaC(Infrastructure as Code)、見積り技法(ファンクションポイント法・COCOMO)、構成管理・バージョン管理を学びます。
- 5.3プロジェクトマネジメント
PMBOKの知識体系を土台に、スコープ管理のWBS(作業分解構成図)、スケジュール管理のアローダイアグラム・PERT・クリティカルパス、コスト管理のEVM(アーンドバリューマネジメント)、そして品質・リスク・ステークホルダの各管理領域を学びます。
- 5.4サービスマネジメント
ITILの枠組みに基づくSLA(サービスレベル合意書)・SLM(サービスレベル管理)、インシデント管理・問題管理・変更管理・構成管理の各プロセス、サービスデスクの役割、キャパシティ管理・可用性管理、そしてデータセンターのファシリティ(UPS・免震構造)を学びます。
- 5.5システム監査
システム監査のプロセス(監査計画・監査の実施・監査報告・フォローアップ)、監査証拠・監査技法(ヒアリング・ドキュメントレビュー・現地調査・コンピュータ支援監査技法)、内部統制(IT統制・職務分掌)、可監査性、そして監査人の独立性を学びます。
6ストラテジ
- 6.1システム戦略と企画
経営目標を実現するための情報システム戦略、全体最適の設計図であるエンタープライズアーキテクチャ(EA)、業務そのものを見直すBPR/BPMと業務モデリング、定型作業を自動化するRPA、そしてIT活用で事業モデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)を学びます。さらにシステム化を進める際のシステム化計画・要件定義、外部調達のRFI/RFP、ソリューションビジネスの形態も押さえます。
- 6.2経営戦略マネジメント
競合環境を分析するSWOT分析・PPM・5フォース分析・コアコンピタンスといった競争戦略の手法、顧客に価値を届けるマーケティング(4P・STP)、戦略の達成度を測るKGI/KPI/CSFとバランススコアカード(BSC)、顧客・供給網・基幹業務を支えるCRM/SCM/ERP、そして企業活動の付加価値の流れを捉えるバリューチェーンを学びます。
- 6.3技術戦略とビジネスインダストリ
技術を経営資源として活かすMOT(技術経営)、破壊的な変化をもたらすイノベーション、将来の技術展開を示す技術ロードマップ、そしてIoT・機械学習・深層学習(ディープラーニング)・CNN(畳み込みニューラルネットワーク)・生成AIといったAI活用の実務、POS・EDIなどのビジネスシステム、EC・フィンテックといったe-ビジネス、生産の無駄を省くJITを学びます。
- 6.4企業活動と法務
企業の経営組織の形態、損益計算書・貸借対照表・損益分岐点といった会計の基礎、在庫や計画を数理的に扱うOR/IE(線形計画法・検定・QC七つ道具)、著作権・産業財産権といった知的財産権、個人情報保護法等のセキュリティ法規、そして中小受託取引適正化法・労働者派遣法といった労働/取引法規とISO/JISの標準化を学びます。

