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第4章 · 情報セキュリティ·v1.0.0·更新 2026/7/9·読了目安 約16分

変更要約: 初版

4.3暗号技術と認証(公開鍵暗号・PKI・多要素認証)

この節の要点

共通鍵暗号公開鍵暗号の仕組みと使い分け、両者を組み合わせたハイブリッド暗号、データの改ざん検知に使うハッシュ関数、正当な作成者を証明するデジタル署名、公開鍵の正当性を保証するPKI(公開鍵基盤)認証局(CA)、Web通信を保護するSSL/TLS、複数要素で本人確認する多要素認証生体認証、通信のなりすましを防ぐチャレンジレスポンス認証を学びます。

暗号技術は「誰にも読まれたくない(機密性)」を実現する仕組みですが、デジタル署名のように完全性や真正性を証明するための応用もあり、暗号=機密性という単純化は誤解のもとです。この節では鍵の使い方の違いが、実現できる性質の違いに直結するという視点で、共通鍵暗号・公開鍵暗号・ハッシュ関数それぞれの得意分野を整理します。

4.3.1共通鍵暗号・公開鍵暗号・ハイブリッド暗号

  • 共通鍵暗号=暗号化と復号に同一の鍵を使う方式(例: AES)。処理が高速だが、通信相手ごとに鍵を安全に共有する鍵配送問題が課題(n人が互いに通信するには鍵が組合せ的に増える)。公開鍵暗号対になる公開鍵と秘密鍵を使う方式(例: RSA)。公開鍵で暗号化した内容は対応する秘密鍵でしか復号できないため鍵配送問題を解消するが、処理は共通鍵暗号より低速
  • 公開鍵暗号の使い分け=送信者が受信者の公開鍵で暗号化すれば「受信者だけが復号できる(機密性)」、送信者が自分の秘密鍵で暗号化(署名)すれば「送信者本人にしか作れない(真正性・否認防止)」という逆方向の性質を実現できる。この2用途の区別が最重要ポイント。
  • ハイブリッド暗号=実務での主流方式。データ本体は高速な共通鍵暗号で暗号化し、その共通鍵(セッション鍵)だけを公開鍵暗号で暗号化して送ることで、公開鍵暗号の鍵配送問題の解消と共通鍵暗号の速度を両立させる。SSL/TLSの鍵交換もこの方式に基づく。

4.3.2ハッシュ・デジタル署名・PKI・認証方式

  • ハッシュ関数=任意長のデータから固定長の値(ハッシュ値)を生成する一方向関数(復号不可・元データの復元は不可能)。同じ入力からは必ず同じハッシュ値が得られるため、送信前後のハッシュ値を比較して改ざんの有無を検知できる。デジタル署名送信データのハッシュ値を送信者の秘密鍵で暗号化したもの。受信者は送信者の公開鍵で復号しハッシュ値を照合することで、真正性(本人が作成)と完全性(改ざんなし)を同時に検証できる。
  • PKI(公開鍵基盤)=公開鍵が正当な持ち主のものであることを保証する仕組み全体。認証局(CA)=公開鍵と持ち主の情報を結びつけたデジタル証明書(電子証明書)を発行する信頼された第三者機関。公開鍵だけでは「本当にその人の鍵か」証明できないため、CAの署名が入った証明書によって真正性を保証する。
  • SSL/TLS=WebブラウザとWebサーバ間の通信を暗号化するプロトコル。サーバ証明書(CAが発行)でサーバの真正性を確認 → ハイブリッド暗号でセッション鍵を安全に交換 → 以降は共通鍵暗号で高速に暗号化通信という流れで機密性・完全性・真正性をまとめて実現する。URLがhttps://のとき有効。
  • 多要素認証(MFA)知識情報(パスワード等)・所持情報(ICカード・スマホ等)・生体情報(指紋・虹彩等)のうち異なる2種類以上を組み合わせる認証。1つが漏えいしても他要素で防御できる。生体認証本人拒否率(FRR)他人受入率(FAR)のトレードオフに注意。チャレンジレスポンス認証=サーバが毎回変わるランダムな値(チャレンジ)を送り、利用者側はパスワードと組み合わせた計算結果(レスポンス)のみを返すことで、パスワード自体を通信路に流さず盗聴・再送攻撃を防ぐ。

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