変更要約: 初版
3.2情報メディア(圧縮・符号化・画像/音声/動画・VR/AR/CG)
データ量を減らす可逆圧縮・非可逆圧縮の違い、代表的な形式JPEG・PNG・MPEG・MP3、アナログ情報をデジタル化する標本化・量子化・符号化の3段階、仮想空間を体験するVR(仮想現実)・現実に情報を重ねるAR(拡張現実)、コンピュータで画像を生成・加工するCGを学びます。
画像・音声・動画といったマルチメディアデータは元のままだと容量が非常に大きいため、用途に応じて圧縮方式を使い分けることが実務上欠かせません。基本情報技術者試験では、単なる形式名の暗記ではなく「この用途にはどちらの圧縮方式が適切か」「劣化を許容できるか」という判断を問う出題が中心です。あわせて、アナログ音声・映像をデジタルデータに変換する仕組みの理解も重要な出題領域です。
3.2.1可逆圧縮・非可逆圧縮と主な形式
- 可逆圧縮=圧縮後のデータから完全に元のデータへ復元できる方式(例:ZIP、PNG)。テキストやプログラムのように1ビットの欠損も許されないデータに使う。非可逆圧縮=人間の知覚では気づきにくい情報を間引いて捨てることで高い圧縮率を得る方式(例:JPEG、MP3)。元データへの完全復元はできない。
- JPEG=写真など色数が多く滑らかに変化する画像に向く非可逆圧縮形式(圧縮率を高めるとブロックノイズ等の劣化が生じる)。PNG=可逆圧縮でロゴ・アイコンなど輪郭がはっきりし透過も扱う画像に向く(JPEGより同じ内容でファイルサイズが大きくなりがち)。写真はJPEG・図やロゴはPNGという使い分けが典型的な出題パターン。
- MPEG=動画(映像+音声)を圧縮する規格群の総称(フレーム間の差分だけを記録するフレーム間圧縮で高い圧縮率を実現)。MP3=音声データの非可逆圧縮形式で、人間の耳に聞こえにくい周波数成分を間引く心理音響モデルを利用する。
3.2.2標本化・量子化・符号化とVR/AR/CG
- アナログ信号をデジタルデータへ変換する手順は3段階=標本化(サンプリング)=一定間隔で信号の値を取り出す(標本化周波数が高いほど元の波形に忠実)→量子化=取り出した値を段階的な数値に丸める(量子化ビット数が多いほど滑らかに表現できる)→符号化=量子化した値を2進数のビット列に変換する。この順序(標本化→量子化→符号化)を問う設問が定番。
- VR(仮想現実)=ヘッドセット等で完全に作り込まれた仮想空間に没入する技術(現実の視界は遮断される)。AR(拡張現実)=スマートフォンのカメラ越しの映像に情報を重ねる等、現実の風景に仮想情報を付加する技術(現実の視界は保たれる)。「現実を置き換えるか、現実に重ねるか」がVRとARを見分ける決め手。
- CG(コンピュータグラフィックス)=コンピュータを用いて画像を生成・加工する技術全般(2Dのイラストから3Dモデリング・アニメーションまで含む)。映画・ゲーム・製品設計のシミュレーションなど幅広く応用される。
「写真=JPEG(非可逆)・ロゴや図=PNG(可逆)」「標本化→量子化→符号化の順序」「標本化周波数が高いほど原音に忠実・量子化ビット数が多いほど滑らか」「VRは現実を置き換え・ARは現実に重ねる」が最頻出です。可逆/非可逆の判断基準(完全復元できるか)を状況に当てはめる設問も定番です。
社内システムに商品カタログを掲載する場面を考えましょう。商品の実写真は色の階調が滑らかで多いためJPEGで圧縮すればファイルサイズを大きく抑えられますが、圧縮率を上げすぎるとブロック状の劣化が目立つため、画質と容量のバランスを意識した設定が必要です。一方、企業ロゴや操作アイコンのように輪郭がくっきりして色数が少なく、しかも背景を透過させたい画像は、非可逆圧縮でエッジが滲むJPEGではなく可逆圧縮のPNGを使うべきです。ここで「圧縮率が高い方が常に優れている」と早合点すると、ロゴがJPEGで滲んで見える失敗につながります。次に、社内研修で音声ガイダンスを録音してデジタル化する場面を考えると、まずマイクから届くアナログの音波を一定間隔で切り取る標本化(例:44100Hzなら1秒間に44100回)を行い、次に切り取った値をあらかじめ決めた段階数に丸める量子化(例:16ビットなら65536段階)を行い、最後にその数値を2進数のビット列にする符号化でようやくデジタル音声データが完成します。標本化周波数を上げれば原音に近づき、量子化ビット数を上げれば滑らかになりますが、いずれもデータ量は増加するというトレードオフも押さえておく必要があります。倉庫内のピッキング作業を支援するために、作業者がゴーグル越しに実際の棚を見ながら次に取るべき商品の位置情報を重ねて表示するなら、現実の視界を保ったまま情報を付加するARが適しています。逆に、危険な機械操作の訓練を安全な環境で行いたいなら、現実を完全に遮断し作り込まれた仮想空間に没入させるVRが適しています。
| 段階 | 処理内容 | 関連パラメータ |
|---|---|---|
| 標本化 | 一定間隔で信号の値を取り出す | 標本化周波数(高いほど忠実) |
| 量子化 | 値を段階的な数値に丸める | 量子化ビット数(多いほど滑らか) |
| 符号化 | 量子化した値を2進数へ変換 | 符号化方式 |
ひっかけ: 「非可逆圧縮は品質が悪いので使うべきではない」は誤りです。写真や音声のように人間の知覚では気づきにくい情報を捨てて高圧縮率を得ることが目的であり、用途(Web掲載写真・ストリーミング音声等)によっては非可逆圧縮の方が合理的です。また「標本化周波数と量子化ビット数は同じもの」も誤り=標本化は時間軸の分解能・量子化は振幅(値)の分解能という別の軸です。「ARはVRの一種」という誤解も禁物で、現実を遮断するか重ねるかという根本が異なります。
3.2.3この節のまとめ
- 可逆圧縮=完全復元可(PNG等)・非可逆圧縮=知覚しにくい情報を捨てて高圧縮率(JPEG/MP3等)。写真=JPEG・ロゴ=PNGが典型
- デジタル化は標本化(時間軸)→量子化(振幅)→符号化(2進数化)の順。周波数/ビット数が高いほど忠実だがデータ量増
- VR=現実を置き換えて没入・AR=現実に情報を重ねる。CGは画像の生成・加工全般
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. Webサイトに掲載する企業ロゴ画像を選定している。ロゴは色数が少なく輪郭がくっきりしており、背景を透過させたい。最も適した形式はどれか。
Q2. マイクから入力されたアナログ音声をデジタルデータに変換する。信号の値を一定間隔で取り出す処理は、標本化・量子化・符号化のうちどれに該当するか。
Q3. 危険な機械の操作訓練を、実際の機械を使わず安全な環境で行いたい。訓練中は現実の視界を完全に遮断し、作り込まれた仮想空間に没入させたい。適した技術はどれか。

