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第3章 · 技術要素·v1.0.0·更新 2026/7/9·読了目安 約16分

変更要約: 初版

3.4ネットワーク(OSI/TCP-IP階層・IPアドレス・DNS/DHCP・通信プロトコル・通信速度計算)

この節の要点

通信を階層で整理するOSI参照モデルと実務で使われるTCP/IPの階層、ネットワーク上の機器を識別するIPアドレスサブネットマスク、経路を選ぶルーティング、名前解決のDNSとアドレス自動割当のDHCPHTTP/HTTPSSMTPPOPIMAPといった代表的プロトコル、LAN(有線イーサネット・無線LAN)、そして実務で頻出の通信速度(伝送時間)計算を学びます。

ネットワークは基本情報技術者試験の中でも計算問題(通信速度・所要時間)と階層構造の理解が同時に問われる領域です。OSI参照モデルとTCP/IPの階層対応、IPアドレスとサブネットマスクによるネットワークの区切り方、DNS/DHCPの役割分担を土台として理解した上で、実務で頻出のプロトコルと計算問題に取り組むと得点が安定します。

3.4.1OSI参照モデルとTCP/IP階層

  • OSI参照モデル=通信の役割を7階層に分けた標準モデル(上位から:アプリケーション層・プレゼンテーション層・セッション層・トランスポート層・ネットワーク層・データリンク層・物理層)。各層は下位層の機能の上に自分の役割だけを積み上げる。
  • TCP/IPの階層は実務上4階層に簡略化される(アプリケーション層・トランスポート層・インターネット層・ネットワークインタフェース層)。トランスポート層のTCP=信頼性重視(再送・順序保証)/UDP=速度重視(再送なし、動画配信等)という使い分けが定番。インターネット層はOSIのネットワーク層に相当しIPアドレスによる経路選択(ルーティング)を担う。

3.4.2IPアドレス・サブネット・ルーティング・DNS/DHCP

  • IPアドレス=ネットワーク上の機器を識別する番号(IPv4は32ビット、8ビットずつ4つに区切った10進表記)。サブネットマスクでアドレスを「ネットワーク部」と「ホスト部」に分割し、同一ネットワーク内かどうかを判定する(例:255.255.255.0=先頭24ビットがネットワーク部、残り8ビットがホスト部で254台まで収容可能)。
  • ルーティング=異なるネットワーク間でパケットの転送経路を選ぶ処理(ルータが宛先IPアドレスのネットワーク部を見て次の転送先を決定)。DNS(Domain Name System)=人が読めるドメイン名をIPアドレスへ変換する仕組み(例:example.comを203.0.113.1に変換)。DHCP=ネットワーク機器へIPアドレスを自動的に割り当てるプロトコル(手動設定の手間とアドレス重複を防ぐ)。

3.4.3主要プロトコルと通信速度計算

  • HTTP=Webページを取得するプロトコル(平文)。HTTPSTLSで暗号化したHTTP(通信内容の盗聴・改ざんを防ぐ)。SMTP=メールを送信するプロトコル。POP(POP3)=メールサーバからメールをダウンロードして端末側で管理する方式。IMAPメールサーバ上でメールを管理したまま複数端末から同じ状態を参照する方式(POPとの違いが頻出)。
  • LAN=限られた範囲内(オフィス・家庭等)のネットワーク。有線はイーサネット(ケーブル規格・伝送速度で分類)、無線は無線LAN(Wi-Fi)(電波を使い配線不要だが混信・セキュリティ設定が課題)。
  • 通信速度計算=伝送時間 = データ量 ÷ (回線速度 × 伝送効率)。単位をビットに揃えるのが最重要(1バイト=8ビット)。例:10MBのファイルを100Mbpsの回線(伝送効率50%)で送る場合、データ量は10×8=80Mビット、実効速度は100×0.5=50Mビット/秒なので、80÷50=1.6秒。
試験ポイント

「サブネットマスクでネットワーク部/ホスト部を分ける」「DNS=名前解決・DHCP=アドレス自動割当」「POPはダウンロードして端末管理・IMAPはサーバ上で管理」「TCP=信頼性重視・UDP=速度重視」「通信速度計算は単位をビットに揃える(1バイト=8ビット)」が最頻出です。伝送時間の計算では伝送効率(実効率)を掛け忘れないことが頻出の失点ポイントです。

支社と本社をネットワークでつなぎ、業務システムにアクセスする場面を想定しましょう。支社のPCが本社のWebサーバへアクセスするとき、まずブラウザに入力したドメイン名(例:portal.example.com)はDNSによって実際のIPアドレスへ変換されます。次に、支社と本社が異なるネットワークに属していれば、パケットはルーティングによって適切な経路をたどって転送されます。この際、支社内のPCが同一サブネット内の機器かどうかを判定するためにサブネットマスクが使われ、例えば192.168.1.0/24のネットワークでは先頭24ビットがネットワーク部、残り8ビットがホスト部となり、254台までの機器を収容できます。新入社員のPCが増えるたびに手動でIPアドレスを設定するのは非効率かつ重複のリスクがあるため、DHCPサーバが自動的にIPアドレスを割り当てます。通信内容が顧客情報を含む機密データであれば、平文のHTTPではなく暗号化されたHTTPSでアクセスする設計が必須です。ここで実務上の計算問題を考えると、支社から本社へ600MBの業務データファイルを転送する際、回線速度が80Mbpsで伝送効率が実効75%だとすると、所要時間はどう求めるか——まずデータ量をビットに揃え、600MB×8=4800Mビット。実効速度は80×0.75=60Mビット/秒。よって所要時間は4800÷60=80秒、と単位変換と効率の掛け算を1つずつ丁寧に行うことで正しい答えにたどり着きます。単位をバイトのまま計算してしまう、あるいは伝送効率を掛け忘れるのが典型的な失点パターンです。メールについては、複数のノートPCとスマートフォンで同じ受信箱の状態(既読/未読・フォルダ分け)を共有したいという要件があれば、メールをサーバ上で一元管理するIMAPが適しており、逆に容量の限られた1台の端末だけで完結させたいならPOPでダウンロードして端末側で管理する方式が向きます。

プロトコル役割備考
DNSドメイン名→IPアドレスの変換名前解決
DHCPIPアドレスの自動割当手動設定・重複を防止
POP(POP3)メールを端末にダウンロード端末側で管理
IMAPメールをサーバ上で管理複数端末で状態共有
注意

ひっかけ: 通信速度の計算で「600MBを80Mbpsの回線で送るので600÷80」のように単位(バイトとビット)を揃えずに計算するのは誤りです。1バイト=8ビットの変換を忘れると答えが8倍ずれます。また「伝送効率は無視してよい」も誤りで、実効率(例:75%)を掛けないと所要時間を過小評価します。「POPとIMAPはどちらもメールをサーバ上で管理する点で同じ」も誤りで、POPは端末へダウンロードして端末側管理・IMAPはサーバ上で管理という違いがあります。

TCP/IP・IPアドレス・プロトコルの図。
ネットワークの仕組み

3.4.4この節のまとめ

  • OSI=7階層・TCP/IP=4階層(実務簡略版)。TCP=信頼性重視・UDP=速度重視。サブネットマスクでネットワーク部/ホスト部を分割
  • DNS=名前解決・DHCP=アドレス自動割当。HTTPS=TLS暗号化されたHTTP。POP=端末管理・IMAP=サーバ管理
  • 通信速度計算=データ量÷(回線速度×伝送効率)。単位はビットで統一(1バイト=8ビット)し、効率の掛け忘れに注意

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 複数のノートPCとスマートフォンから同じメールボックスにアクセスし、既読/未読の状態やフォルダ分けを常に同じ状態で共有したい。適したプロトコルはどれか。

Q2. 120MBのファイルを、回線速度40Mbps・伝送効率(実効率)60%の回線で送信する。所要時間は何秒か。

Q3. ネットワーク192.168.10.0にサブネットマスク255.255.255.0を適用した。このネットワークで表される部分はどれか。

理解度を確認第3章「技術要素」の問題を解く