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第6章 · ストラテジ·v1.0.0·更新 2026/7/9·読了目安 約14分

変更要約: 初版

6.2経営戦略マネジメント

この節の要点

競合環境を分析するSWOT分析PPM5フォース分析コアコンピタンスといった競争戦略の手法、顧客に価値を届けるマーケティング4PSTP)、戦略の達成度を測るKGI/KPI/CSFバランススコアカード(BSC)、顧客・供給網・基幹業務を支えるCRM/SCM/ERP、そして企業活動の付加価値の流れを捉えるバリューチェーンを学びます。

経営戦略マネジメントでは、まず自社と市場を分析する枠組みを使って現状を把握し、次に誰にどんな価値を届けるかをマーケティングとして具体化し、最後に戦略が計画どおり進んでいるかを測る仕組みを整えるという流れで学ぶと理解しやすくなります。分析・実行・測定の3段階を意識してください。

6.2.1競争戦略の分析手法

  • SWOT分析=自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)という内部要因と、機会(Opportunities)・脅威(Threats)という外部環境要因を整理するフレームワーク。強みを機会に活かす、弱みを脅威から守る、といった戦略立案の出発点になります。
  • PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)=製品や事業を「市場成長率」と「市場占有率(シェア)」の2軸で花形(成長率高・シェア高)・金のなる木(成長率低・シェア高)・問題児(成長率高・シェア低)・負け犬(成長率低・シェア低)の4象限に分類し、経営資源の配分を判断する手法。「金のなる木」で得た資金を「問題児」に投資する、といった配分判断が典型です。
  • 5フォース分析=業界の収益性を左右する5つの競争要因
    ①既存競合の脅威、
    ②新規参入の脅威、
    ③代替品の脅威、
    ④買い手の交渉力、
    ⑤売り手の交渉力)を分析し、業界の魅力度や自社のポジショニングを検討する手法。コアコンピタンス=競合他社が容易に模倣できない、自社独自の中核的な強み(技術力・ノウハウ等)。この強みを軸に事業戦略を組み立てる考え方です。

6.2.2マーケティングと戦略の測定

  • マーケティングにおけるSTP=市場を切り分けるセグメンテーション(Segmentation)、狙う市場を選ぶターゲティング(Targeting)、自社の立ち位置を明確にするポジショニング(Positioning)の3工程。4P=STPで定めた狙いを実行に移す製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・プロモーション(Promotion)の4要素の組み合わせ(マーケティングミックス)。
  • KGI(重要目標達成指標)=経営戦略が最終的に達成すべきゴールそのものを数値化した指標(例:営業利益率10%)。CSF(重要成功要因)=KGI達成のために特に重要な成功の鍵となる要因(例:新規顧客獲得の強化)。KPI(重要業績評価指標)=CSFの達成度を日常的に測るための中間指標(例:新規商談数)。KGI(ゴール)→CSF(鍵)→KPI(日々の物差し)という階層関係を押さえます。
  • バランススコアカード(BSC)=財務指標だけでなく、財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点から戦略の達成度を多面的に評価する手法。財務数値だけでは見えない「顧客満足度」「業務効率」「人材育成」などを戦略に組み込みます。

6.2.3CRM/SCM/ERPとバリューチェーン

  • CRM(顧客関係管理)=顧客との関係を一元管理し、顧客満足度向上・リピート促進を図る手法/システム。SCM(サプライチェーンマネジメント)=原材料調達から生産・物流・販売までの供給網全体を最適化する手法/システム。ERP(企業資源計画)=会計・人事・生産・販売など企業の基幹業務を統合的に管理するシステム(ERPパッケージ)。それぞれ「顧客」「供給網」「基幹業務全体」という対象範囲の違いを区別します。
  • バリューチェーン(価値連鎖)=原材料調達から製造・出荷・販売・サービスに至る一連の企業活動を、付加価値を生み出す連鎖として捉える分析手法。各活動(主活動・支援活動)のどこで価値が生まれ、どこにコストがかかっているかを可視化し、競争優位の源泉を特定します。
試験ポイント

「PPMは市場成長率×市場占有率の4象限」「KGI(ゴール)→CSF(鍵)→KPIの階層」「BSCは財務/顧客/業務プロセス/学習と成長の4視点」「CRM=顧客・SCM=供給網・ERP=基幹業務全体という対象範囲の違い」が最頻出です。5フォースの5要因(既存競合/新規参入/代替品/買い手/売り手)の抜け漏れを問う設問も定番です。

中堅の食品メーカーB社を例に、分析から実行・測定までの流れを追ってみます。まずSWOT分析を行い、強み(独自の発酵技術というコアコンピタンス)と機会(健康志向の高まり)を洗い出します。同時に5フォース分析で、代替品(他の健康食品)の脅威や、大手小売への交渉力の弱さといった業界構造上の課題を把握します。次に、自社の複数事業をPPMで分類したところ、主力の看板商品は「金のなる木」(成長率は鈍化したが高シェア)、新規の機能性食品事業は「問題児」(成長率は高いがシェアはまだ低い)と位置づけられ、経営陣は看板商品で得た利益を新規事業に重点投資する判断を下します。この新規事業を市場に届けるにあたり、STPで健康志向の30〜40代を重点セグメントとして選び(ターゲティング)、既存の健康食品とは異なる「発酵の力で無理なく続けられる」という立ち位置を打ち出し(ポジショニング)、それを4Pとして製品設計・価格帯・販売チャネル(EC中心)・プロモーション(SNS活用)に落とし込みます。戦略の進捗管理では、「新規事業の売上高営業利益率8%達成」をKGIに据え、その鍵となるCSFを「リピート購入率の向上」と定め、日々のKPIとして「定期購入への転換率」を追跡します。さらに財務数値だけに偏らないようBSCの4視点を用い、顧客満足度調査のスコアや、開発チームの新製品提案件数(学習と成長の視点)もあわせて評価します。運用面では、顧客データをCRMで一元管理してリピート施策に活かし、原材料から店舗への供給をSCMで最適化し、会計・生産・販売のデータはERPで統合管理する、という体制を整えます。

手法主な用途要点
SWOT分析内部/外部要因の整理強み・弱み×機会・脅威
PPM事業ポートフォリオの資源配分成長率×シェアの4象限
5フォース分析業界の収益構造の分析5つの競争要因
BSC戦略達成度の多面評価財務/顧客/業務プロセス/学習と成長
注意

ひっかけ: 「KPIは経営戦略が最終的に達成すべきゴールそのものを示す指標」は誤りです。ゴールそのものはKGIで、KPIはCSF達成度を測る中間・日常の指標です。また「CRM・SCM・ERPはすべて同じ範囲(顧客管理)を対象にしたシステムの呼び方の違いにすぎない」も誤り=CRMは顧客、SCMは供給網、ERPは基幹業務全体と対象範囲が明確に異なります。さらに「PPMの『問題児』は撤退すべき事業を指す」も誤り=撤退候補は一般に「負け犬」であり、「問題児」は成長率が高くシェアを伸ばす余地がある投資検討対象です。

SWOT・PPM・BSC・KPIの図。
経営戦略の手法

6.2.4この節のまとめ

  • SWOT分析=内部(強み/弱み)×外部(機会/脅威)PPM=成長率×シェアの4象限(花形/金のなる木/問題児/負け犬)で資源配分を判断
  • KGI(ゴール)→CSF(鍵)→KPI(日々の指標)の階層。BSC=財務/顧客/業務プロセス/学習と成長の4視点で多面評価
  • CRM=顧客・SCM=供給網・ERP=基幹業務全体と対象範囲が異なる。バリューチェーン=付加価値を生む活動の連鎖として競争優位の源泉を特定

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. ある企業の看板商品事業は市場成長率が鈍化しているが依然として高い市場シェアを維持しており、得られる利益は他の新規事業へ再投資されている。PPMにおいてこの看板商品事業はどの区分に位置づけられるか。

Q2. 経営戦略の達成度を測る仕組みとして、「営業利益率10%」という最終目標を掲げ、その達成の鍵となる要因として「新規顧客獲得の強化」を定め、日々の進捗は「新規商談数」で追跡することにした。この3つの関係を正しく表す組合せはどれか。

Q3. 原材料の調達から生産・在庫管理・物流・店舗への配送までの一連の流れを1つのシステムで最適化し、欠品や過剰在庫を減らしたい。導入すべき仕組みとして最も適切なものはどれか。

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