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ITサービスマネージャ試験参考書

ITサービス運用の最高峰の国家資格、ITサービスマネージャ(SM)。本コースは午前(科目A)の四肢択一を対象に、SM固有の午前II専門(サービスマネジメント基礎・設計/移行・運用・サービス継続/可用性・セキュリティ運用・システム運用/ファシリティ)を中心に対策します(午前I共通は応用情報 AP コースが土台/午後の記述・論述式は対象外)。

ITサービスマネージャ試験(SM)について

ITサービスマネージャ試験(SM)は、IPA(情報処理技術者試験) が提供するプロフェッショナル・エキスパートレベルの認定資格です。このページでは、試験範囲を全 6 章・25 節の参考書として体系的に解説し、本番形式の練習問題で理解度を確認できます。下の章一覧から順に読み進め、「問題集で演習する」で実力を試すのが効率的な学習の流れです。

試験で問われる分野(出題範囲の目安)

  • サービスマネジメント基礎とSMS約 16%
  • サービスの設計・移行約 20%
  • サービスの運用約 20%
  • サービス継続と可用性約 16%
  • 情報セキュリティ運用と供給者管理約 14%
  • システム運用とファシリティ約 14%

配点は本番試験の目安です。各分野は下の章・節で詳しく解説しています。

公式の試験情報:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sm.html

1サービスマネジメント基礎とSMS

  • 1.1ITILとサービスマネジメントの全体像

    ITIL4のサービスバリューシステム(SVS)を軸に、7つの指針原則・4つの側面・サービスバリューチェーン(SVC)がどう噛み合ってサービスの価値を生むかを、サービスマネージャの判断視点で捉える。

  • 1.2JIS Q 20000とSMS

    JIS Q 20000が定めるサービスマネジメントシステム(SMS)の要求事項と、PDCAによる継続的改善・第三者認証の位置づけを、監査に耐える運用をどう設計するかの視点で押さえる。

  • 1.3サービスライフサイクルと価値共創・SLM

    サービスの価値は提供者だけでは決まらず利用者との共創で生まれること、そしてサービスライフサイクルを通じてSLM(サービスレベル管理)が合意した価値を維持・改善する役割を、運用判断の視点で捉える。

  • 1.4サービスカタログとサービスレベル管理の位置づけ

    サービスカタログが提供中サービスを顧客視点で可視化する役割と、それを土台にSLAを合意・維持するサービスレベル管理の位置づけを、顧客期待とコストの折り合いをどう取るかの視点で押さえる。

2サービスの設計・移行

  • 2.1SLA/OLA/UCとサービスレベル設計

    サービス提供者と顧客が合意するSLA、社内の運用チーム間で結ぶOLA、外部供給者との契約であるUCの三層構造と、SLMがこれらをどう維持・改善するか、そして可用性・コスト・実現可能性のトレードオフの中でサービスレベル目標をどう設計するかを学びます。

  • 2.2変更管理

    事前承認済みで定型的な標準変更、CABが評価する通常変更、緊急時にECABが判断し事後に文書化する緊急変更という三つの変更経路の使い分けと、リスク評価・切り戻し計画を通じて、稼働中サービスへの変更をどう安全に進めるかを学びます。

  • 2.3リリース及び展開管理

    承認された変更を本番環境へ安全に届けるリリース及び展開管理について、まとめて扱うリリース単位の設計、段階的展開やパイロットといった展開方式の選び方、そしてビルド・テスト・展開の分離という観点から、稼働中サービスへの配布をどう計画するかを学びます。

  • 2.4構成管理

    サービスを構成するCI(構成品目)をCMDBで正確に管理する構成管理について、変更管理・リリース管理との連携、そして「保有資産の把握」を主目的とするIT資産管理との違いを、影響分析や正確性維持という実務の観点から学びます。

  • 2.5可用性・キャパシティの設計(設計時)

    サービスの設計段階で、要件から導いた可用性目標をどう実現するか——単一障害点を排除する冗長設計、直列(積)/並列(1−(1−a)ⁿ)の稼働率、そして将来の需要見積りからキャパシティを設計する考え方を、コストとのトレードオフの中で学びます。

3サービスの運用

  • 3.1インシデント管理

    インシデント管理の目的が根本原因の究明ではなく、サービスの迅速な回復にあることを軸に、優先度=影響度×緊急度による切り分け、エスカレーション(機能的/階層的)、重大インシデントの別扱い、そして根本原因が不明でも回復を優先するワークアラウンド(暫定回避策)の使いどころを、SLA目標の制約下でどう判断するかとあわせて学びます。

  • 3.2問題管理

    問題管理の目的が根本原因の特定と恒久対策による再発防止にあること(迅速な回復を目的とするインシデント管理との対比)、繰り返す障害や重大インシデントを問題として起票し根本原因分析(RCA)を行う流れ、原因と回避策を蓄積する既知の誤りデータベース(KEDB)の活用、そして障害発生を待つリアクティブと傾向分析で先手を打つプロアクティブの使い分けを学びます。

  • 3.3イベント管理と要求実現

    構成要素の状態変化を監視ししきい値を超えた兆候を捉えて自動でインシデントを起票するイベント管理(情報/警告/例外の区別)と、パスワードリセットやアクセス権付与のような定型で低リスクのサービス要求を要求実現として通常のインシデントとは別のフローで捌く考え方を、どの通報をどのプロセスへ振り分けるかという判断とあわせて学びます。

  • 3.4サービスデスク

    利用者にとっての単一窓口(SPOC)としてのサービスデスクの役割(連絡の一元化と利用者満足の維持)と、ローカル/中央/バーチャル/フォロー・ザ・サンという体制の型を、拠点分布・言語・24時間対応の要否・コストといった制約のもとでどの型を選ぶかという体制設計の判断とあわせて学びます。

4サービス継続と可用性

  • 4.1ITサービス継続管理(ITSCM)とBCP・災害対策

    災害等の重大障害からサービスを目標時間内に復旧させるITサービス継続管理(ITSCM)、事業全体の継続計画であるBCPとの関係、復旧目標を数値で定めるRTO(目標復旧時間)・RPO(目標復旧時点)・MTPD(最大許容停止時間)、そして復旧サイトのホット/ウォーム/コールドサイトの選択を学び、事業影響とコストの制約下で継続方式を選ぶ判断力を養います。

  • 4.2可用性管理(稼働率・冗長・単一障害点)

    サービスがどれだけ使える状態にあるかを表す稼働率をMTBF÷(MTBF+MTTR)で求め、故障間隔(信頼性=MTBF)と修復時間(保守性=MTTR)の別を理解し、直列構成は稼働率の積、並列冗長は1−(1−a)ⁿで全体可用性を見積もり、単一障害点(SPOF)を冗長化で解消する判断力を養います。

  • 4.3キャパシティ管理(需要予測・しきい値・傾向分析)

    サービスが必要とする性能・容量を過不足なく確保するキャパシティ管理の3つの副次プロセス(ビジネスキャパシティ管理・サービスキャパシティ管理・コンポーネントキャパシティ管理)、需要そのものを平準化する需要管理、しきい値監視と傾向分析による予兆検知、そしてボトルネックの特定を学び、増強と需要抑制を使い分ける判断力を養います。

  • 4.4バックアップとリカバリ(方式・RTO/RPO)

    データを保護するフルバックアップ・増分バックアップ・差分バックアップの違いと復旧手順、複数世代を保持する世代管理、災害に備える遠隔地保管、そしてバックアップ方式が復旧目標(RTO・RPO)にどう対応するかを学び、事業要件から方式を選ぶ判断力を養います。

5情報セキュリティ運用と供給者管理

  • 5.1情報セキュリティ運用

    サービス提供の現場で情報セキュリティを回す運用面の管理策--パッチ管理と脆弱性管理の優先度判断、ログ収集と監視、複数ログを相関分析するSIEM、そして検知したインシデントをインシデント管理へつなぐ連携--を、SLA目標を守る運用者の判断として学びます。

  • 5.2アクセス管理と特権管理

    サービス運用で誰に何を許すかを制御するアクセス管理--最小権限の原則、権限のプロビジョニング(付与)と棚卸し(定期的な見直し・剥奪)、強い権限を厳格に扱う特権ID管理、そして本人確認を担う認証--を、内部不正・退職者放置のリスクを防ぐ運用者の判断として学びます。

  • 5.3供給者管理とアンダーピニング契約

    外部供給者に依存する部分をSLAと整合させる供給者管理--外部供給者との契約であるUC(アンダーピニング契約)、顧客SLAとUC/OLAの整合、供給者の評価とレビュー、障害時の責任分界、そしてクラウド利用時の共有責任モデル--を、SLA目標を最終的に守るサービスマネージャの判断として学びます。

  • 5.4サービスの監査・是正・継続的改善

    サービスマネジメントを回し続けて良くする仕組み--不適合を検出する内部監査、指摘への是正処置(応急でなく根本原因への恒久対策)、CSI(継続的サービス改善)、PDCAサイクル、そして改善を数値で導くKPI/メトリクス--を、指標に基づいてサービスを改善するサービスマネージャの判断として学びます。

6システム運用とファシリティ

  • 6.1システム監視とジョブ管理

    サービスの異常を早期に捉える監視項目(CPU・メモリ・ディスク・応答時間)としきい値/アラートの設計、SLAを守るためのジョブスケジューリング、複数ジョブの前後関係を束ねるジョブネットの依存関係と異常処理(打切り・リラン・スキップ)、そして誤検知を抑える警告/危険の二段しきい値を学びます。

  • 6.2バックアップ運用と自動化・運用手順

    定型作業を機械に委ねる運用自動化、手順を文書化したRunbook/手順書、二重確認や指差呼称で誤操作を防ぐオペミス防止、そして本番反映を安全に行う構成変更の反映(変更管理連携・切り戻し)を学びます。定型は自動化し、判断を要する例外は人が担う切り分けが要点です。

  • 6.3ファシリティマネジメント

    瞬断を埋め自家発電へ橋渡しするUPS(無停電電源装置)と自家発電、機器の冷却を担う空調と電力を配る分電、地震から機器を守る耐震/免震、不正入室を防ぐ入退室管理、そして施設全体の可用性水準を段階で示すデータセンタTierを学びます。可用性目標とコストのトレードオフで冗長度を選ぶのが要点です。

  • 6.4運用設計とコスト・要員・予算管理

    サービスの運用体制と手順を作り込む運用設計、24時間を切れ目なく回すシフト/要員の設計、投資と運用費を最適化するコスト最適化、運用の良否を数値で測るKPI、そして外部供給者・リソース・予算を統制する供給者/リソース/予算管理を学びます。SLAとコストのトレードオフの中で過不足ない体制を組むのが要点です。