第4章 · サービス継続と可用性·v1.0.0·更新 2026/7/11·読了目安 約15分
変更要約: 初版
4.1ITサービス継続管理(ITSCM)とBCP・災害対策
この節の要点
災害等の重大障害からサービスを目標時間内に復旧させるITサービス継続管理(ITSCM)、事業全体の継続計画であるBCPとの関係、復旧目標を数値で定めるRTO(目標復旧時間)・RPO(目標復旧時点)・MTPD(最大許容停止時間)、そして復旧サイトのホット/ウォーム/コールドサイトの選択を学び、事業影響とコストの制約下で継続方式を選ぶ判断力を養います。
サービスマネージャにとって、サービス継続は「絶対に止めない」ことを目指す作業ではありません。あらゆる障害を防ぐことは費用対効果が合わないため、「どこまでの停止・データ損失を許容し、そのためにいくらの対策コストをかけるか」を事業影響から逆算して決めるのが本質です。この節では、事業全体の継続計画であるBCPの中でITの復旧を担うITSCMの位置づけを踏まえ、復旧目標(RTO/RPO/MTPD)と復旧サイト方式を、事業影響とコストのトレードオフの中で選ぶ判断軸を養います。
4.1.1ITSCMとBCPの関係
- BCP(事業継続計画)=災害・システム障害・パンデミック等で事業が中断した際に、中核事業を許容時間内に復旧・継続させるための事業全体の計画。対象はITに限らず、要員・拠点・サプライチェーン・代替手段を含む。ITSCM(ITサービス継続管理)は、そのBCPが定める事業復旧目標を満たすように、ITサービスの復旧を計画・準備・訓練するサービスマネジメントのプロセス。つまりITSCMはBCPの一部であり、BCPが上位・ITSCMが従属の関係。
- ITSCMは「復旧計画を作って終わり」ではなく、定期的な訓練・テスト(実際に切り替えてみる)と、事業やシステム変更に合わせた計画の見直しまで含む継続的な活動である。計画が最新のシステム構成を反映していなければ、いざという時に復旧手順が通用しない——訓練で初めて発覚する手順の陳腐化・依存関係の見落としを潰すことがITSCMの実効性を左右する。

