Instiq
第3章 · テクノロジ系·v1.0.0·更新 2026/7/16·読了目安 約11分

変更要約: 初版(テクノロジ系・基礎理論〜ハードウェア)

3.8情報メディア(マルチメディア・圧縮技術・VR/AR)

この節の要点

静止画・動画・音声を組み合わせて扱うマルチメディア、データを符号化してファイルサイズを小さくする圧縮可逆圧縮非可逆圧縮)と代表的な形式(JPEGMPEGMP3)、コンピュータで仮想空間を作るVR(仮想現実)、現実に情報を重ねるAR(拡張現実)、それらを応用したメタバース、そして画像を生成・加工するCG(コンピュータグラフィックス)の基礎を学びます。

写真・動画・音楽をスマートフォン一つで扱えるのは当たり前になりましたが、その裏側では画像や音声を数値データに変換し、できるだけ小さいサイズに圧縮する技術が働いています。この節では複数のメディアを統合的に扱うマルチメディアの考え方と、圧縮の仕組み、そして現実空間を拡張・代替するVR/AR/メタバースの基礎を学びます。

3.8.1マルチメディアと符号化・圧縮

  • マルチメディア=文字・静止画・動画・音声など複数の種類のメディアを組み合わせて情報を伝える方式。Webサイトや動画配信サービスなど、現代の多くのサービスがマルチメディアを前提としている。
  • 符号化(エンコード)=画像・音声などのアナログ情報や生データを、保存・伝送しやすいデジタルのデータ形式に変換すること。圧縮=符号化されたデータのサイズを小さくする処理で、可逆圧縮(元のデータを完全に復元できる。ZIPやPNGなど)と非可逆圧縮(一部の情報を捨てて復元できないがサイズをより小さくできる。JPEGやMP3など)に分かれる。
  • JPEG=静止画(写真など)向けの非可逆圧縮形式。人の目が気づきにくい情報を間引いてサイズを縮める。MPEG=動画向けの圧縮方式群の総称(フレーム間の差分を利用して圧縮)。MP3=音声向けの非可逆圧縮形式で、人の耳に聞こえにくい音の情報を間引く。

3.8.2VR・AR・メタバースとCG

  • VR(仮想現実)=コンピュータが生成した仮想的な空間に没入させる技術(専用ゴーグル等で360度の映像を体験するなど)。AR(拡張現実)=現実の風景に情報を重ねて表示する技術(スマホカメラに道案内の矢印を重ねる等)。VRは仮想空間へ没入、ARは現実空間の拡張という違いに注意。
  • メタバース=インターネット上に構築された持続的な3次元の仮想空間で、複数の利用者がアバターを介して交流・活動できるもの。VR技術を用いて没入的に利用されることが多いが、PCやスマホからのアクセスも想定される。
  • CG(コンピュータグラフィックス)=コンピュータを用いて画像を生成・加工する技術全般。実写映像との合成、アニメーション制作、製品デザインの3D表現など幅広く用いられ、VR/ARの映像もCG技術に支えられている。
試験ポイント

「JPEGとMP3は非可逆圧縮・ZIPやPNGは可逆圧縮」「可逆圧縮は完全復元できる・非可逆圧縮は復元できないが圧縮率が高い」「VRは仮想空間への没入・ARは現実空間への情報重畳」が最頻出です。メタバースがVR技術と結び付けて語られること、CGがVR/ARの映像を支える基盤技術であることも定番の出題ポイントです。

不動産会社が物件紹介サービスを刷新する場面を考えてみましょう。まず物件の外観・内観写真をWebサイトに掲載するにあたり、高画質のまま全てのファイルを無圧縮で載せるとページの表示が遅くなるため、写真は非可逆圧縮JPEG形式で保存し、人の目に気づかれにくい情報を間引いてファイルサイズを抑えます。一方、間取り図のように線や文字がくっきりしていて劣化が目立ちやすい画像は、可逆圧縮であるPNG形式を選び、圧縮後も完全に元通りに復元できるようにします。次に、内見の様子を録画した紹介動画を配信するにはMPEG系の圧縮方式が使われ、ナレーション音声にはMP3のような非可逆圧縮が使われるのが一般的です。さらにサービスを差別化するため、ゴーグルを装着して部屋の中を歩き回れるVR内見機能を追加し、スマホのカメラをかざすと家具の配置イメージが重なって見えるAR機能も導入しました。将来的には、複数の利用者がアバターとして同時に同じ物件を訪れ、担当者と商談できるメタバース展示会も構想しており、これらの立体的な映像表現はすべてCG技術に支えられています。このように、目的(劣化を許容できるか・完全復元が必要か)に応じて圧縮方式を使い分ける判断が実務では重要です。

区分特徴代表形式
可逆圧縮完全に元通り復元できるZIP・PNG
非可逆圧縮復元できないが圧縮率が高いJPEG(静止画)・MP3(音声)
VR仮想空間へ没入ゴーグルでの360度映像
AR現実に情報を重畳カメラ映像への案内表示
注意

ひっかけ: 「JPEGは可逆圧縮なので何度保存し直しても画質は劣化しない」は誤りです。JPEG非可逆圧縮であり、再保存を繰り返すたびに情報が失われ画質は徐々に劣化します(完全復元できるのはZIPやPNGのような可逆圧縮)。また「ARは仮想空間に没入する技術、VRは現実に情報を重ねる技術」も誤り=これはで、VRが仮想空間への没入・ARが現実空間への重畳です。

情報メディア=圧縮(可逆/非可逆)・符号化・VR/ARの図。
非可逆圧縮は元に戻せない

3.8.3この節のまとめ

  • 可逆圧縮=完全復元可(ZIP/PNG)・非可逆圧縮=復元不可だが高圧縮率(JPEG/MP3)
  • VR=仮想空間への没入・AR=現実空間への情報重畳。メタバースはVR技術と結び付く3次元仮想空間
  • マルチメディアは複数メディアの統合、CGはVR/AR映像を支える基盤技術

進捗の記録にはログインが必要です。

理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 圧縮したデータを元の状態に完全に復元できる圧縮方式はどれか。

Q2. スマートフォンのカメラで自宅の部屋を映すと、画面上に家具の配置イメージが実際の映像に重ねて表示される機能がある。この技術に最も近いものはどれか。

Q3. 静止画をJPEG形式で保存する場合の説明として、最も適切なものはどれか。

理解度を確認第3章「テクノロジ系」の問題を解く