変更要約: 初版(テクノロジ系・基礎理論〜ハードウェア)
3.4システム構成要素
複数のコンピュータの組み合わせ方であるシステム構成(集中処理・分散処理・クライアントサーバシステム・仮想化・クラウド)、システムの速さを表す性能指標(レスポンスタイム・スループット・ベンチマーク)、止まりにくさを表す信頼性指標(稼働率・RASIS・MTBF・MTTR・フォールトトレラント・デュアルシステム・デュプレックスシステム)を学びます。
1台のコンピュータで完結するシステムもあれば、複数台を組み合わせて役割分担するシステム構成もあります。どう構成するかによって、応答の速さを表す性能指標や、故障にどれだけ強いかを表す信頼性指標が変わってきます。この節では代表的な構成パターンと、それらを評価するための指標を学びます。
3.4.1システム構成(集中・分散・クライアントサーバ・仮想化・クラウド)
- 集中処理=1台の大型コンピュータに処理を集約する構成(管理しやすいが、その1台が故障すると全体が止まる)。分散処理=複数のコンピュータに処理を分散させる構成(負荷分散でき、1台が故障しても全体は止まりにくい)。
- クライアントサーバシステム=要求する側(クライアント)と、要求に応じてサービスを提供する側(サーバ)に役割分担した分散処理の代表形態(Webブラウザとサーバなど)。
- 仮想化=1台の物理的なコンピュータ上に、ソフトウェアで複数台分のコンピュータ環境を作り出す技術(サーバの台数を抑えつつ複数のシステムを動かせる)。クラウド(クラウドサービス)=サーバなどのIT資源を自社で保有せず、インターネット経由で必要な分だけ利用する形態。
3.4.2性能指標と信頼性指標
- レスポンスタイム=処理を要求してから、最初の応答が返り始めるまでの時間(応答性の速さの指標)。スループット=単位時間あたりに処理できる仕事量(処理能力の指標)。ベンチマーク=決まった条件でシステムの性能を測定・比較するためのテスト(試験)。
- 稼働率=システムが正常に稼働している時間の割合(例:稼働率99%なら、100時間のうち約99時間は正常稼働)。数値が高いほど止まりにくいシステムといえる。
- RASIS=信頼性を測る5つの観点の頭文字(Reliability信頼性・Availability可用性・Serviceability保守性・Integrity保全性・Security安全性)。MTBF=平均故障間隔(Mean Time Between Failures。壊れずに動き続けられる平均時間、長いほど良い)。MTTR=平均修理時間(Mean Time To Repair。故障してから復旧するまでの平均時間、短いほど良い)。
- フォールトトレラント=一部の機器が故障しても、残りの機器だけで正常な動作を継続できる設計思想。デュアルシステム=2系統を完全に独立して同時稼働させ、片方が故障してももう片方だけで処理を続ける構成。デュプレックスシステム=普段使う主系と、故障時に切り替える待機系(副系)に分けて備える構成。
「分散処理は1台故障しても全体は止まりにくい」「クライアントサーバ=要求元と提供元の役割分担」「MTBFは長いほど良い(壊れにくい)・MTTRは短いほど良い(早く直る)」「稼働率=正常稼働時間の割合」「デュアルシステム=2系統同時稼働・デュプレックスシステム=主系+待機系」が最頻出です。RASISの各文字が何を表すかも定番の出題です。
あるネット通販サイトの裏側のシステムを例に、これらの指標がどう使われるかを見てみましょう。利用者が使うスマートフォンのアプリ(クライアント)から注文を送ると、通販会社側のサーバがそれを受け取って処理する、典型的なクライアントサーバシステムの構成になっています。セール当日のアクセス集中に備えて、注文処理を1台の大型サーバに集中処理させるのではなく、複数台のサーバに分散処理させることで、仮に1台に障害が起きても他のサーバが処理を引き継ぎ、サイト全体が止まる事態を避けられます。さらに近年は、物理サーバを自社で買い増すのではなく、クラウド上に仮想化された複数のサーバ環境を必要な分だけ用意する運用が一般的です。このシステムの「速さ」を評価するときは、注文ボタンを押してから最初の応答が返り始めるまでのレスポンスタイムと、1秒間に何件の注文を処理できるかというスループットを、標準的なベンチマークテストで測定します。一方「止まりにくさ」を評価するときは、過去の運用実績から平均してどれくらいの間隔で障害が起きるかを表すMTBFと、障害発生から復旧までどれくらいかかるかを表すMTTRを集計し、そこから月間の稼働率を算出します。決済処理のような絶対に止められない部分には、2系統を完全に独立して同時に動かすデュアルシステムを採用して片方が故障してももう片方だけで処理を継続し、社内向けの重要度がやや低いシステムには、普段使う主系と故障時に切り替える待機系からなるデュプレックスシステムを採用するといった使い分けが行われます。これらの信頼性・可用性・保守性・保全性・安全性という5つの観点をまとめて評価する考え方がRASISです。
| 指標 | 意味 | 良い状態 |
|---|---|---|
| MTBF | 平均故障間隔 | **長い**ほど良い |
| MTTR | 平均修理時間 | **短い**ほど良い |
| 稼働率 | 正常稼働時間の割合 | **高い**ほど良い |
ひっかけ: 「MTBFは短いほど信頼性が高い」は誤りです。MTBFは壊れずに動き続けられる平均時間なので、長いほど信頼性が高いシステムです(MTTRと数値の良し悪しの向きを混同しやすいので注意)。また「デュアルシステムとデュプレックスシステムは同じ意味」も誤り=デュアルシステムは2系統を完全に同時稼働させ、デュプレックスシステムは普段使う主系と待機系を分ける構成で、常時両方が処理に参加しているかどうかが異なります。
3.4.3この節のまとめ
- 分散処理・クライアントサーバ・仮想化・クラウドがシステム構成の基本パターン
- 性能はレスポンスタイム・スループットをベンチマークで測定
- MTBFは長いほど・MTTRは短いほど良い。RASISは5つの信頼性の観点。デュアル=2系統同時・デュプレックス=主系+待機系
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. あるシステムの過去1年間の運用実績から、平均して2000時間に1回の割合で故障が発生していることが分かった。この「平均して故障するまでの間隔」を表す指標はどれか。
Q2. 決済処理のように絶対に停止が許されない部分に、2系統のシステムを完全に独立させて同時に稼働させ、片方が故障してももう片方だけで処理を継続できるようにしたい。この構成はどれか。
Q3. あるシステムについて、信頼性・可用性・保守性・保全性・安全性という5つの観点からまとめて評価したい。この5観点をまとめた考え方の名称はどれか。

