Instiq
第3章 · テクノロジ系·v1.0.0·更新 2026/7/16·読了目安 約13分

変更要約: 初版(テクノロジ系・基礎理論〜ハードウェア)

3.10ネットワーク(TCP/IP・IPアドレス・無線LAN・通信速度)

この節の要点

限られた範囲を結ぶLANと広域を結ぶWAN、インターネットの標準的な通信規約であるTCP/IP、機器を識別するIPアドレス、名前解決を行うDNS、IPアドレスを自動割り当てするDHCPルータハブといった通信機器、ケーブル不要の無線LAN、メールの送受信に使うSMTPPOPIMAP、そして通信速度の計算を学びます。

会社のオフィスでファイルを共有したり、自宅からインターネットに接続してWebサイトを見たりできるのは、複数のコンピュータをつなぐネットワークの仕組みがあるからです。この節では身近なLAN/WANの違いから、インターネット通信の基盤であるTCP/IP、機器を特定するIPアドレス、そして試験でも頻出の通信速度の計算まで、ネットワークの基礎を一通り学びます。

3.10.1LAN/WANとTCP/IP・通信機器

  • LAN(Local Area Network)=オフィスや家庭など限られた範囲内を結ぶネットワーク。WAN(Wide Area Network)=通信事業者の回線を使って地理的に離れた拠点間を結ぶ広域ネットワーク(インターネットもWANの一種)。
  • TCP/IP=インターネットで標準的に使われる通信規約(プロトコル)の集合。異なるメーカーの機器同士でも、共通のルールに従うことで通信できる。ルータ異なるネットワーク同士を中継する機器(家庭内LANとインターネットを接続する等)。ハブ同じLAN内で複数の機器を接続する集線装置。

3.10.2IPアドレス・DNS・DHCPと無線LAN・メール

  • IPアドレス=ネットワーク上の機器を識別する住所のような番号(例 192.168.1.1)。DNS(Domain Name System)=人が覚えやすいドメイン名(www.example.com等)とIPアドレスを対応付ける名前解決の仕組み。DHCP=機器がネットワークに接続した際にIPアドレスを自動的に割り当てる仕組みで、手動設定の手間を省く。
  • 無線LAN(Wi-Fi)=ケーブルを使わず電波でLANに接続する技術。Webの閲覧にはHTTP/HTTPS、電子メールの送信にはSMTP、メールサーバからメールを受信するにはPOP(サーバから端末へダウンロードし基本的に削除)やIMAP(サーバ上でメールを管理し複数端末から同じ状態を参照できる)が使われる。
  • 通信速度の計算=回線の理論上の通信速度(bps=bits per second)とファイルサイズ(バイト)、伝送効率から転送時間を求める。1バイト=8ビットであることと、bpsに掛ける伝送効率(実効速度=理論速度×伝送効率)を忘れないことが計算のポイント。
試験ポイント

「LANは限られた範囲・WANは広域」「ルータは異なるネットワーク間の中継・ハブは同一LAN内の接続」「DNSはドメイン名⇔IPアドレスの変換・DHCPはIPアドレスの自動割り当て」「SMTPは送信・POP/IMAPは受信」が最頻出です。通信速度の計算では1バイト=8ビットの単位換算と伝送効率の掛け算を忘れないことが最大の注意点です。

新しく開業したカフェのネットワーク環境を例に、各要素のつながりを見てみましょう。店内では複数台のPOSレジとタブレットがLANとしてハブ(またはスイッチ)経由で接続され、インターネットへの出口にはルータが設置されてWANであるインターネットと中継します。各端末にはDHCPによってIPアドレスが自動的に割り当てられ、店員が手動で設定する手間を省いています。客が店内の無線LAN(Wi-Fi)に接続してWebサイトを見るとき、ブラウザはwww.example.comのようなドメイン名をDNSサーバに問い合わせて対応するIPアドレスを取得し、そのIPアドレス宛にTCP/IPのルールに従って通信します。店の予約確認メールは、送信側のメールサーバへSMTPで送られ、受信側の店舗端末はPOPまたはIMAPでサーバからメールを取得します(複数のスタッフが同じ端末を使わず、それぞれのスマホでも同じメール状況を確認したい場合はサーバ上に状態を保持するIMAPが適しています)。ここで、店のクラウド在庫管理システムから200メガバイトのデータをダウンロードする場面を考えます。回線の理論上の速度が100Mbps伝送効率が80%だとすると、実効速度は100Mbps × 0.8 = 80Mbpsです。200メガバイト(MB)は8を掛けて1600メガビット(Mb)になるため、転送時間はおよそ1600Mb ÷ 80Mbps = 20秒と求められます。バイトとビットの変換を忘れると答えが8倍ずれるため、この換算は計算問題で最も間違えやすいポイントです。

用語役割具体例
ルータ異なるネットワーク間を中継LANとインターネットの接続
ハブ同一LAN内の機器を接続複数PCの配線集約
DNSドメイン名⇔IPアドレス変換www.example.com→IPアドレス
DHCPIPアドレスの自動割り当て接続時の自動設定
注意

ひっかけ: 「ハブは異なるネットワーク同士を中継する機器である」は誤りです。それはルータの役割で、ハブは同じLAN内の機器を接続する集線装置にすぎません。また「メールの送信・受信のどちらにもSMTPだけを使う」も誤り=送信はSMTP、受信はPOPまたはIMAPという役割分担があります。通信速度の計算では「200MBのファイルは200Mbitとして計算してよい」も誤りで、1バイト=8ビットのため200MBは1600Mbitであり、この換算を忘れると計算結果が8倍ずれます。

ネットワーク=LAN/WAN・TCP/IP・Web/メールの図。
IPで届け、DNSで名前を引く

3.10.3この節のまとめ

  • LAN=限られた範囲・WAN=広域ルータ=異なるネットワーク間を中継・ハブ=同一LAN内接続
  • DNS=ドメイン名⇔IPアドレス変換・DHCP=IPアドレス自動割り当て。無線LANはケーブル不要の接続
  • SMTP=送信・POP/IMAP=受信。通信速度計算は1バイト=8ビット換算+伝送効率の掛け算を忘れない

進捗の記録にはログインが必要です。

理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 家庭内のLANとインターネット(WAN)を接続し、異なるネットワーク同士を中継する役割を持つ機器はどれか。

Q2. ブラウザに入力したドメイン名(www.example.com)から、通信先のIPアドレスを取得する仕組みはどれか。

Q3. 理論上の通信速度が50Mbpsの回線で、伝送効率が80%のとき、80メガバイト(MB)のファイルを転送するのにかかるおよその時間はどれか(1バイト=8ビットとする)。

理解度を確認第3章「テクノロジ系」の問題を解く