第4章 · リスクと調達管理·v1.0.0·更新 2026/7/10·読了目安 約15分
変更要約: 初版
4.4調達実行と供給者管理
この節の要点
調達先候補の情報を集めるRFIと提案を募るRFP、加重評価による供給者選定基準、そして契約後の契約管理・変更管理・クレーム対応までの一連の流れを学び、状況に応じた供給者選定・契約管理の判断力を養います。
契約類型を決めたあと、PMが直面するのは「どのベンダーを選ぶか」という具体的な選定作業と、契約締結後の継続的な管理です。価格だけで選ぶと技術力や実績の低いベンダーを選んでしまうリスクがあり、逆に技術力だけで選ぶと予算を超過するリスクがあります。この節では、情報収集から提案依頼、加重評価による選定、そして契約後の変更・クレーム対応までの一連の流れを、単一の評価軸に偏らない判断という観点で学びます。
4.4.1RFIとRFPによる情報収集と提案依頼
- RFI(Request for Information)=発注前に、市場にどのような供給者・技術・製品が存在するかを把握するための情報提供依頼書。価格や具体的な提案を求めるものではなく、選定候補の絞り込みや要件定義の精度向上のために使う予備的な情報収集ステップ。RFP(Request for Proposal)=要件が固まった段階で、具体的な提案(技術的アプローチ・体制・価格等)の提出を正式に依頼する文書で、RFPへの回答が実際の選定・契約交渉の基礎になる。
- 要件がまだ曖昧な段階でいきなりRFPを発行すると、供給者側も精度の低い提案しか出せず、比較評価が困難になる。市場の選択肢や技術動向が不明な早い段階ではRFI、要件が固まった段階ではRFPという段階的な使い分けが実務上の定石。RFQ(Request for Quotation・見積依頼書)は標準品の価格見積りに使われ、複雑なカスタム開発案件のRFPとは性質が異なる。
4.4.2加重評価による供給者選定
- 供給者選定基準=価格だけでなく、技術力・実績(類似案件経験)・体制(要員のスキル/継続性)・財務健全性・保守体制など複数の観点で候補を評価する枠組み。加重評価法(重み付け評価法)では各評価項目にプロジェクトの重視度に応じた重みを設定し、合計点が最も高い候補を選定する。技術的難易度・複雑性が高い案件では技術力の重みを高く、標準化された定型作業では価格の重みを高くするなど、案件の性質に応じて重み配分自体を調整する。
- 価格が最安値の候補を機械的に選ぶ最低価格入札方式は、複雑でリスクの高い案件では技術力不足や実績不足による後々のトラブルコストを見落とすリスクがある。逆に技術力の重みだけを極端に高くすると、予算超過や過剰品質(オーバースペック)を招く。加重評価は複数の評価軸のバランスを取る手段であり、単一指標に偏らないことが選定の質を左右する。

