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第5章 · システム企画·v1.0.0·更新 2026/7/17·読了目安 約15分

変更要約: 初版

5.3調達計画と実施(RFI/RFP)

この節の要点

市場・技術情報を集めるRFI(情報提供依頼)→要件を提示して提案を求めるRFP(提案依頼書)→提案評価→ベンダー選定→契約という調達の順序、RFP の記載事項、契約形態やSLA・グリーン調達、そして評価基準を事前に明示して公平性を保つ判断(要件が未確定なら先に RFI を出す等)を学びます。

システム化計画で対象範囲が定まると、それを実現するための製品・サービス・開発を外部から調達します。調達は思いつきでベンダーへ発注するのではなく、情報収集→要件提示→提案評価→選定→契約という順序を踏み、公平性を担保して進めます。要件がまだ固まりきっていない段階ではRFI(情報提供依頼)で市場・技術・製品情報を集めて要件の精度を高め、要件が固まったらRFP(提案依頼書)で要件を提示して提案を求めます。この節では、ストラテジストがRFIとRFPをどう使い分け、評価基準をどう事前に明示してベンダー選定の公平性を保つか、そして契約形態・SLA・グリーン調達といった調達条件をどう織り込むかを判断する視点を学びます。

5.3.1RFI→RFP→評価→選定の順序

  • RFI(情報提供依頼)=ベンダーに市場動向・技術・製品・概算費用などの情報提供を求めるもの。要件がまだ固まっていない段階で、実現手段や製品の選択肢を把握して要件の精度を高めるために先に用いる。RFI は発注や提案要求ではなく情報収集が目的。
  • RFP(提案依頼書)=固まった要件を提示し、ベンダーに具体的な提案(解決方式・体制・費用・スケジュール等)を求めるもの。提出された提案を事前に定めた評価基準で評価し、ベンダー選定を経て契約に至る。RFI→RFP→提案評価→選定→契約という順序が基本。

5.3.2RFPの記載事項と公平性・調達条件

  • RFPの主な記載事項=調達の背景・目的、システム化の対象範囲・要件、予算・納期の前提、契約条件、提案書の様式と評価基準、スケジュール。評価基準を事前に明示し、全ベンダーへ同一情報を提供することで公平性を確保する。特定ベンダーだけに追加情報を与えるのは公平性を損なう。
  • 調達条件として、提供サービスの品質水準を定量的に約束するSLA(サービスレベル合意)(稼働率・応答時間・障害対応時間等)、業務の性質に応じた契約形態(成果物責任の請負/役務提供の準委任)、環境配慮を評価に加えるグリーン調達などを織り込む。調達リスク(品質・納期・コスト・ベンダー依存)も評価する。
試験ポイント

「RFI=情報提供依頼(要件未確定時に先に情報収集)」「RFP=提案依頼書(固まった要件を提示し提案を求める)」「RFI→RFP→提案評価→ベンダー選定→契約の順」「評価基準を事前に明示し全社へ同一情報=公平性」「SLAでサービス品質を定量合意」が最頻出です。「要件が未確定でも直ちにRFPを出しベンダーに要件策定まで任せる」「評価基準は提案受領後に決める」といった順序・公平性の取り違えに注意しましょう。

ある企業のITストラテジストが、新規事業向けのシステムを外部調達しようとしています。事業として実現したいこと(顧客接点のデジタル化と個別最適な提案)は描けているものの、それをどの技術・製品で実現するのが最適か、市場にどんなソリューションがあり概算費用はどの程度かがまだ把握できておらず、要件が固まりきっていません。ここで焦っていきなりRFP(提案依頼書)を発行してしまうと、要件が曖昧なままなので各ベンダーがばらばらの前提で提案を出し、比較が困難になるうえ、要件そのものの策定までベンダー任せになって公平な評価ができません。ストラテジストは、まずRFI(情報提供依頼)を発行して市場動向・利用可能な技術や製品・概算費用・実現方式の選択肢といった情報を各ベンダーから広く収集し、それをもとに要件の精度を高める判断をします。要件が固まった段階で、あらためてRFPを発行して具体的な提案を求めます。その際、公平性を確保するために、調達の目的・対象範囲・要件・予算や納期の前提・契約条件・提案書の様式に加えて、提案をどう評価するかの評価基準(要件充足度・サービス水準・費用・実績・体制など)をRFPに事前に明示し、全ベンダーへ同一の情報を提供します。特定のベンダーだけに詳細な追加情報を与えたり、評価基準を提案受領後に都合よく決めたりすることは、選定の公平性を損なうため避けます。さらにストラテジストは、稼働後のサービス品質をSLA(稼働率・応答時間・障害対応時間)として定量的に合意し、業務の性質に応じて契約形態(成果物責任を負う請負か、役務提供の準委任か)を選び、必要に応じてグリーン調達(環境配慮)の観点も評価基準に加えます。このように、要件の成熟度に応じてRFIとRFPを使い分け、評価基準を事前に明示して公平性を担保し、SLA・契約形態・調達リスクまで織り込んで調達を設計することが、ストラテジストの判断の核心です。

文書目的用いる場面
RFI(情報提供依頼)市場・技術・製品・概算費用の情報収集要件が未確定で選択肢を把握したいとき
RFP(提案依頼書)固まった要件を提示し具体的な提案を求める要件が固まり提案を比較・評価するとき
評価基準・SLA公平な選定とサービス品質の定量合意RFPに事前明示し全社へ同一情報
注意

ひっかけ: 「要件が未確定でも、まずRFPを出してベンダーに要件の策定まで任せ、提案の優劣で決めればよい」は誤りです——要件が固まっていない段階ではまずRFIで情報収集して要件精度を高め、固まってからRFPを出すのが順序で、要件が曖昧なままのRFPは提案がばらつき公平な比較ができません。また「評価基準は提案を受領してから決める方が柔軟でよい」も誤り=評価基準はRFPに事前に明示し、全ベンダーへ同一情報を提供して公平性を確保します。特定ベンダーへの追加情報提供や、価格の安さだけの機械的選定も公平性・妥当性を欠きます。

RFIからRFP・提案評価・ベンダー選定までの調達の流れの図。
情報収集→要件提示→公平な選定

5.3.3この節のまとめ

  • 要件が未確定なら先にRFIで情報収集、固まったらRFPで提案を求める。順序はRFI→RFP→提案評価→ベンダー選定→契約
  • 公平性は評価基準の事前明示と全ベンダーへの同一情報提供で確保する(特定ベンダー優遇・事後基準は不可)
  • SLAでサービス品質を定量合意し、契約形態(請負/準委任)・グリーン調達・調達リスクを調達条件に織り込む

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 新規事業向けシステムで、実現したいことは描けているが最適な技術・製品や市場動向が未把握で、要件が固まりきっていない。調達の進め方として最も適切なものはどれか。

Q2. 提案依頼書(RFP)の作成とベンダー選定にあたり、選定の公平性を確保するための対応として最も適切なものはどれか。

Q3. 運用フェーズを見据えた調達で、サービス品質と持続可能性を契約・評価にどう織り込むかの判断として最も適切なものはどれか。

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