第5章 · システム企画·v1.0.0·更新 2026/7/16·読了目安 約16分
変更要約: 初版
5.2要件定義と非機能要件
この節の要点
業務上達成すべき業務要件、システムが実現する機能要件、性能・可用性・セキュリティなど品質・制約を定める非機能要件の区別と、IPA の非機能要求グレード(可用性/性能・拡張性/運用・保守性/移行性/セキュリティ/システム環境・エコロジー)を用いて可用性水準とコストのトレードオフを利用者と合意する判断、そして利害関係者要件・要求分析・トレーサビリティの確保を学びます。
要件定義では、「業務として何を達成したいか」「そのためにシステムが何をするか」「どの程度の品質・制約で実現するか」を、利害関係者と合意しながら明確にします。これらはそれぞれ業務要件・機能要件・非機能要件として区別され、混同すると後工程で「何のための機能か」「どこまでの品質が必要か」が曖昧になります。とりわけ非機能要件は、可用性を上げればコストが増えるといったトレードオフを含むため、IPA の非機能要求グレードのような枠組みで水準を段階的に示し、利用者と合意することが重要です。この節では、ストラテジストが要件の種類を切り分け、非機能のトレードオフを判断し、利害関係者要件をトレーサビリティを保って束ねる視点を学びます。
5.2.1業務要件・機能要件・非機能要件の区別
- 業務要件=システム化の目的として業務上達成すべきこと(例「受注から出荷までのリードタイムを短縮する」)。機能要件=それを実現するためにシステムが備える機能(例「受注データを登録・照会・更新できる」)。非機能要件=性能・可用性・セキュリティ・拡張性・運用性など、機能をどの品質・制約で満たすか(例「オンライン応答時間3秒以内」「稼働率99.9%」)。
- 三者を切り分ける意義は、後工程での追跡と合意にある。業務要件が機能要件・非機能要件の根拠となり、機能だけを列挙すると「なぜその機能が要るか」「どの品質で満たすか」が抜け落ちる。非機能要件を機能要件に含めてしまうと、品質水準の合意やコストの見積りが曖昧になる。

