第4章 · システム戦略·v1.0.0·更新 2026/7/16·読了目安 約15分
変更要約: 初版
4.4業務プロセス改革(BPR/BPM)
この節の要点
業務プロセスを抜本的に再設計するBPRと、業務プロセスを継続的に可視化・改善し続けるBPMの違いを核に、DFD・BPMN による業務モデリング、ワークフローとRPAによる自動化、可視化と継続的改善のサイクルを学びます。ボトルネックに対し「抜本的な再設計(BPR)が要るのか、既存プロセスを前提とした部分的な改善・自動化(BPM/RPA)で足りるのか」を見極める判断が要点です。
業務プロセスの改善には大きく2つのアプローチがあります。既存のやり方を根本から見直し、業務の流れそのものをゼロベースで再設計するBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)と、既存プロセスを可視化しながら継続的に測定・改善し続けるBPM(ビジネスプロセスマネジメント)です。ここで陥りやすいのは、抜本的な作り直しが必要な構造的問題に対して小手先の自動化を重ねてしまう、あるいは逆に、部分的な改善で足りる問題に大がかりな全面再設計を持ち込んで過剰なコストとリスクを負う、という判断のミスマッチです。この節では、BPR と BPM の違い、DFD/BPMN による業務モデリング、ワークフローと RPA による自動化を押さえたうえで、ボトルネックの性質に応じて抜本改革と漸進的改善のどちらを選ぶかというストラテジストの判断を学びます。
4.4.1BPRとBPMの違い
- BPR=業務プロセス・組織・情報システムを抜本的(ラディカル)に再設計し、コスト・品質・スピードなどを劇的に改善する取組み。既存のやり方を前提とせずゼロベースで問い直すため効果は大きいが、変更範囲が広く投資・リスク・現場への影響も大きい。
- BPM=業務プロセスを継続的に可視化→測定→分析→改善(PDCA)し続けるマネジメント手法。既存プロセスを土台に漸進的に磨き上げる。BPR が一度きりの大改革だとすれば、BPM は継続的な改善サイクルであり、両者は排他ではなく組み合わせて使う。
4.4.2業務モデリングと自動化(DFD/BPMN・ワークフロー・RPA)
- DFD(データフロー図)はデータの流れの観点で、BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)は業務の流れ・分岐・担当(レーン)を標準記法で、業務プロセスを可視化する。可視化はBPR・BPMいずれの前提でもあり、現状(As-Is)を正しく見える化しないと改善点も改革の要否も判断できない。
- ワークフロー=申請・承認などの業務の流れをシステム化して回す仕組み。RPA(ロボティックプロセスオートメーション)=定型的な PC 操作(データ入力・転記・照合等)をソフトウェアロボットで自動化する。いずれも既存プロセスを前提とした部分的な効率化・自動化の手段であり、プロセスの構造そのものを作り替える BPR とは目的の水準が異なる。

