第4章 · システム戦略·v1.0.0·更新 2026/7/16·読了目安 約16分
変更要約: 初版
4.2エンタープライズアーキテクチャ(EA)
この節の要点
全体最適化を実現する代表的手段であるEA(エンタープライズアーキテクチャ)を、ビジネス(BA)/データ(DA)/アプリケーション(AA)/テクノロジ(TA)の4体系として理解し、現状のAs-Isから目標のTo-Beを描き移行計画でつなぐ手順、参照モデルの役割、そして「ある課題がどの体系(層)の問題か」を切り分ける判断を学びます。
前節の全体最適化方針を、実際の設計図として体系化する代表的な手法がEA(エンタープライズアーキテクチャ)です。EA は企業の業務とシステムをビジネス・データ・アプリケーション・テクノロジという4つの体系(層)に分けて可視化し、現状(As-Is)と目標(To-Be)の差を明らかにして、移行計画でつなぎます。ITストラテジストにとって EA の実務的な勘所は、「今直面している課題が4体系のどの層の問題なのか」を正しく切り分けることと、「To-Be を一気に実現するのではなく、移行計画として段階的にどう到達するか」を設計することです。この節では、4体系の役割分担と As-Is/To-Be/移行の関係を、全体最適を主導するストラテジストの判断として学びます。
4.2.1EAの4体系(BA/DA/AA/TA)
- ビジネスアーキテクチャ(BA)=業務・組織・機能・業務プロセスの体系。「何の業務を、どんな流れで行うか」を表す。業務プロセスそのものの非効率や重複はこの層の課題。
- データアーキテクチャ(DA)=業務が扱うデータの構造・体系・相互関係。データの重複・不整合、マスタが部門ごとに分かれている、といった問題はこの層の課題。
- アプリケーションアーキテクチャ(AA)=業務を支援する個々のアプリケーション(システム機能)とその連携。同じ機能のシステムが乱立している、システム間連携が困難、といった問題はこの層。
- テクノロジアーキテクチャ(TA)=アプリケーションを稼働させる技術基盤(ハードウェア・ネットワーク・OS・ミドルウェア・クラウド基盤等)。老朽インフラ、性能・可用性の基盤的制約はこの層の課題。

