第6章 · PM標準と関連分野·v1.0.0·更新 2026/7/10·読了目安 約15分
変更要約: 初版
6.3サービスマネジメントへの移行
この節の要点
プロジェクトの成果物を本番環境へ移行する本番移行・リリースの判断基準である移行判定(Go/No-go)、運用保守における合意水準であるSLA、そしてサービス運用のベストプラクティス集ITILの観点から、プロジェクト完了後の運用保守への引継ぎを学びます。
プロジェクトが成果物を完成させても、それを安全に本番環境へ送り出し、以後の運用保守に円滑に引き継げなければ、プロジェクトの価値は実現しません。PMには、開発の完了度だけでなく、運用側の受入れ体制やリスクまで踏まえて本番移行の可否(Go/No-go)を判断する役割が求められます。判断基準は開発側の都合ではなく、サービスとして稼働させたときの利用者・運用者への影響を起点に組み立てます。
6.3.1本番移行と移行判定(Go/No-go)
- 本番移行(リリース)=開発・テスト環境で作られた成果物を、実際の利用者が使う本番環境へ展開する活動。単なるデプロイ作業ではなく、切戻し(ロールバック)手順の用意・移行時の影響範囲の見極め・移行後の監視体制まで含めて計画される。
- 移行判定(Go/No-go判定)=あらかじめ定めた基準(受入れテストの合格・重大な未解決障害の有無・切戻し手順の準備状況・運用体制の準備状況等)に照らして、予定どおり本番移行を実施するか延期するかを組織として意思決定するゲート。技術的な完成度だけでなく、移行タイミングの妥当性(繁忙期を避ける等)や運用引継ぎの準備状況も判定材料に含める。
6.3.2SLAとITILの観点
- SLA(Service Level Agreement)=サービス提供者と利用者の間で合意するサービス品質の水準(可用性・応答時間・障害復旧時間等の数値目標)。プロジェクトが本番移行する成果物は、移行前にSLAで求められる水準を満たせる運用体制・監視体制が整っているかを検証しておく必要がある。
- ITIL(IT Infrastructure Library)=IT サービスマネジメントのベストプラクティス集で、サービスの企画・設計・移行・運用・改善というライフサイクルの観点を提供する。プロジェクトの視点では特にサービス移行(Service Transition)の領域が関わり、変更管理・リリース管理・既知の障害情報の引継ぎ(既知エラーデータベース等)を通じて、開発側の知見を運用側へ確実に渡すことが問われる。

