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第4章 · システムの保守と運用管理·v1.0.0·更新 2026/7/7·読了目安 約13分

変更要約: 初版(主題2.04・副主題2.04.1〜2.04.6に対応)

4.2バックアップとリストア

この節の要点

バックアップ戦略の基本(完全差分増分)と、代表的なバックアップソフトウェア(AmandaBaculaBareosBackupPC)、媒体(テープ・HDD・光メディア)、実行コマンド(ddtarmtrsync)を学びます。

障害・誤操作・災害からデータを守る最後の砦がバックアップです。「何を」「どの頻度で」「どの媒体に」「どう戻すか」を設計するのが運用管理者の責務であり、方式の特性を正しく理解していないと復旧に想定以上の時間がかかるという事故につながります。

4.2.1バックアップ方式と媒体

  • 完全バックアップ=対象全体を毎回まるごと保存(復元は単純・容量と時間は最大)。差分バックアップ直前の完全からの変更分のみ(復元は完全+最新差分の2点)。増分バックアップ直前のバックアップ(完全 or 増分)からの変更分のみ(容量最小・復元は完全+全増分を順に適用)。
  • 取得単位=ファイル単位(ファイルごと)・ブロック単位イメージ(ディスク全体を丸ごと)の3種類があり、対象や復元速度の要件で選ぶ。
  • 媒体=テープ(大容量・安価・長期保管向き)・HDD(高速・ランダムアクセス)・光メディア(可搬・小容量)。テープデバイスは/dev/st*(巻き戻しあり)・/dev/nst*(巻き戻しなし)で参照する。

4.2.2バックアップソフトウェアと実行コマンド

  • 統合バックアップ製品=Amanda(クライアント/サーバー型・多様な媒体対応)・Bacula(企業向け・カタログ管理)・Bareos(Baculaからのフォーク)・BackupPC(ディスクへの重複排除バックアップ・Web UI)。
  • 低レベル・単体コマンド=dd(ブロック単位の完全複製・イメージ作成)・tar(ファイル単位のアーカイブ)・mt(テープドライブの制御:巻き戻し・早送り・イジェクト等)・rsync(差分転送で効率よく同期・リモートバックアップにも使う)。
試験ポイント

「差分=完全からの変更(復元は2点)」「増分=直前バックアップからの変更(復元は完全+全増分)」の対比が最頻出です。テープデバイスの/dev/st*(巻き戻しあり)と/dev/nst*(巻き戻しなし)の使い分け、mtがテープ制御専用コマンドである点も定番です。rsyncは差分転送でネットワーク経由のバックアップに向く点も押さえます。

実運用でのトレードオフを整理すると選択の勘所が見えてきます。日次バックアップの設計では、増分方式は毎回の転送量・時間が最小で済む反面、復元時には完全バックアップに加えて障害発生日までの全増分を時系列順に適用する必要があり、途中の1本でも欠けると復元が破綻します。差分方式は日を追うごとにサイズが増えていきますが、復元は完全+最新の差分1本で済むため、復元手順の単純さとRTO(目標復旧時間)を優先する現場で好まれます。テープを使う運用では、バックアップジョブの終わりに/dev/nst0(非巻き戻し)を使って複数のアーカイブを1本のテープに連続して書き込み、全ジョブ終了後にmt -f /dev/nst0 rewindで明示的に巻き戻す、という使い分けが典型です。ddはファイルシステムを意識せずセクタ単位で複製するため、パーティション丸ごとの災害復旧イメージ作成に向きますが、使用中の領域だけでなく空き領域も含めて複製するため時間と容量を要します。一方rsync変更されたブロックだけを転送できるため、リモートサイトへの定期同期型バックアップやBackupPCのようなディスクベース製品の内部転送方式としても使われます。

方式基準点復元時に必要なもの
完全なし(毎回全体)その完全バックアップ1本
差分直前の完全から完全+最新の差分1本
増分直前のバックアップから完全+全増分を順に
注意

ひっかけ: 「増分バックアップは常に完全バックアップからの変更分を保存する」は誤りです。それは差分バックアップの定義です。増分は直前のバックアップ(完全または増分)からの変更分のみを保存します。また「/dev/st* は巻き戻しをしないデバイス」も誤りで、巻き戻しをしないのは /dev/nst*です。

完全・差分・増分バックアップの基準点と復元に必要な要素を比較する図。
差分=完全から/増分=直前から

4.2.3この節のまとめ

  • 完全/差分(完全から)/増分(直前から)の基準点の違いと復元時の必要バックアップ数を区別する
  • 製品は Amanda・Bacula・Bareos・BackupPC、コマンドは dd(ブロック複製)・tar(ファイルアーカイブ)・mt(テープ制御)・rsync(差分転送)

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 毎日のバックアップ運用で、日々の転送量を最小限に抑えたいが、障害発生時には完全バックアップと障害当日までの全バックアップを順に適用して復元してもよいと判断した。採用すべき方式は?

Q2. テープドライブに複数のバックアップアーカイブを連続して書き込み、すべてのジョブが終わった後で明示的に巻き戻したい。ジョブ実行中に使うべきデバイスファイルと、巻き戻しに使うコマンドの組み合わせは?

Q3. リモートサイトへ定期的にファイルを同期する形でバックアップを取りたい。変更されたブロックだけを転送して帯域を節約できるコマンドはどれ?

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