変更要約: 初版(ストラテジ系・企業活動〜システム企画)
1.7システム企画
情報システムを作る最初の段階として、システム化計画(何をどう作るかの全体方針づくり)と、それを具体化する要件定義(利用者の要求を整理し仕様に落とし込む工程)を学びます。さらに外部のベンダーに開発を依頼する際の調達計画・実施(RFI・RFP・相見積り)についても押さえます。
情報システムはいきなりプログラムを書き始めるのではなく、「何のために」「何を」「どう作るか」を順序立てて決めていきます。この節では、プロジェクトの一番上流にあたるシステム企画の流れを、企画立案から要件定義、そして外部への発注(調達)までひと続きに見ていきます。
1.7.1システム化計画
- システム化計画=経営課題・業務課題を解決するために、どのようなシステムを、どのような優先順位・スケジュール・予算で構築していくかという全体方針を定める工程。経営戦略との整合性が重要。
- システム化計画はシステム化構想(経営視点での大枠の方向性)と、それを具体化するシステム化計画(対象範囲・体制・スケジュールなどより詳細な計画)の2段階で進められることが多い。
1.7.2要件定義
- 要件定義=利用者(現場)が「システムに何をしてほしいか」という要求を聞き取り、実現すべき機能・性能・制約を明確な仕様として整理する工程。この後の設計・開発の土台になる。
- 要件定義が不十分なまま開発を進めると、完成後に「思っていたものと違う」という手戻りが発生しやすい。業務要件(業務上必要なこと)と機能要件(システムが持つべき機能)、非機能要件(性能・可用性・セキュリティなど機能以外の要求)を分けて整理することが重要。
1.7.3調達計画・実施(RFI・RFP・相見積り)
- RFI(Request For Information・情報提供依頼書)=発注先候補の複数ベンダーに対し、技術力や実績などの情報提供を依頼する文書。まだ発注先を絞り込む前の、情報収集段階で使う。
- RFP(Request For Proposal・提案依頼書)=発注先候補のベンダーに対し、要件定義の内容を示した上で具体的な提案(システム構成・見積金額・スケジュール等)を依頼する文書。RFIより一歩進んだ段階で使う。
- 相見積り(あいみつもり)=同一の要件に対して複数ベンダーから見積もりを取り、価格や提案内容を比較検討すること。特定ベンダーへの偏りを防ぎ、公正で妥当な調達判断につなげる。
「RFI=情報提供依頼(情報収集段階)」「RFP=提案依頼(要件を示して具体案を求める段階)」の順序と目的の違いが最頻出です。要件定義における業務要件・機能要件・非機能要件の3分類、相見積りが複数ベンダー比較による公正な調達判断のための手法であることも定番です。
ある製造業の企業が、老朽化した在庫管理システムを刷新する場面で、この節の流れを一通りたどってみましょう。まず経営層が「在庫の欠品・過剰在庫による機会損失とコストを削減したい」という経営課題を認識し、システム化計画として、新しい在庫管理システムの導入を優先度の高い施策と位置づけ、大まかな予算とスケジュールを固めます。次に、実際に在庫管理を担当する現場の担当者にヒアリングを行い、要件定義を進めます。ここでは「発注点を下回ったら自動でアラートを出したい」(業務要件から導かれる機能要件)、「同時に50人が使っても画面表示が3秒以内に終わること」(非機能要件のうち性能要件)などを整理し、仕様書としてまとめます。自社にはこのようなシステムを開発する技術者がいないため、外部のベンダーに発注することにしました。まず候補となりそうな複数のITベンダーに対してRFIを送り、各社の技術力・実績・対応可能な技術要素についての情報を集めます。集めた情報をもとに発注先候補を数社に絞り込んだら、まとめた要件定義の内容を提示しつつRFPを送付し、具体的なシステム構成・見積金額・開発スケジュールを含む提案を依頼します。各社から提出された提案書と見積書を相見積りとして比較検討し、価格だけでなく提案内容の実現性やサポート体制も踏まえて、最終的な発注先を決定します。もし要件定義が曖昧なままRFPを送っていたら、各社の提案の前提がバラバラになり、公正な比較ができなかったでしょう。
| 文書 | 目的 | 使う段階 |
|---|---|---|
| RFI | ベンダーの技術力・実績などの情報収集 | 発注先候補の選定前 |
| RFP | 要件を示し具体的な提案(構成・見積・スケジュール)を依頼 | 候補を絞り込んだ後 |
ひっかけ: 「RFPはベンダーの技術力や実績についての情報提供のみを依頼する文書である」は誤りです。それはRFIの説明で、RFPは要件定義の内容を示した上で具体的な提案(システム構成・見積金額・スケジュール等)を依頼する文書です。また「要件定義は開発の後工程であり、システム化計画より後に一度だけ実施すればよい」も誤り=要件定義はシステム化計画の後・設計より前に行う上流工程であり、後工程での手戻りを防ぐために十分な時間をかけて整理する必要があります。
1.7.4この節のまとめ
- システム化計画=経営課題を解決するシステムの全体方針(優先順位・スケジュール・予算)を定める
- 要件定義=業務要件・機能要件・非機能要件を整理し仕様に落とし込む上流工程
- RFI(情報収集)→RFP(要件を示し具体提案を依頼)→相見積り(複数社比較)の順で公正に調達する
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. 発注先候補の複数ベンダーに対し、まだ具体的な提案は求めず、技術力や実績などの情報提供を依頼する文書はどれ?
Q2. 要件定義において「同時に50人が使っても画面表示が3秒以内に終わること」という要求は、どの分類に含まれるか?
Q3. 同一の要件に対して複数のベンダーから見積もりを取り、価格や提案内容を比較検討する行為を何と呼ぶか?

