変更要約: 初版(ストラテジ系・企業活動〜システム企画)
1.1企業活動
企業を動かす基本の仕組みとして、経営組織の形態、状況判断のサイクルである OODA と改善サイクルの PDCA を押さえます。会計・財務では 損益計算書(PL)と 貸借対照表(BS)の違い、損益分岐点、在庫評価の考え方を学びます。さらに ヒューマンリソース管理 と、生産性・品質を数値で捉える OR/IE(QC七つ道具・線形計画法・検定)にも触れます。
企業活動の節では、会社という組織がどのように意思決定し、どのようにお金の状況を把握し、どのように改善を回しているのかを一通り学びます。ITパスポートの「ストラテジ系」は経営学の入り口であり、専門用語を丸暗記するのではなく、それぞれの仕組みが何のためにあるのかをイメージできるようにすることが大切です。
1.1.1経営組織とOODA・PDCA
- 経営組織=役割分担のしかた。職能別組織(開発・営業・経理など機能ごとに分ける)、事業部制組織(製品や地域ごとに独立採算の事業部を置く)、マトリックス組織(職能と製品/地域を掛け合わせ二重の指揮系統を持つ)などの形態がある。
- PDCA(Plan-Do-Check-Act)=計画・実行・評価・改善を繰り返す継続的改善のサイクル。品質管理や業務改善の基本フレームとして広く使われる。
- OODA(Observe-Orient-Decide-Act)=観察・状況判断・意思決定・行動の高速ループ。PDCAが計画重視の改善サイクルであるのに対し、OODAは変化の速い状況で素早く判断・行動することに重点を置く。
1.1.2会計・財務と損益分岐点・在庫評価
- 損益計算書(P/L)=一定期間の収益と費用から利益を示す表。「この1年でいくら儲かったか」を表す。貸借対照表(B/S)=ある時点の資産・負債・純資産の残高を示す表。「今この瞬間、何をいくら持っていて何を借りているか」を表す。
- 損益分岐点=売上高と費用(固定費+変動費)がちょうど一致し、利益がゼロになる売上高・販売数量の水準。これを超えて売れば利益、下回れば損失となる。
- 在庫評価=在庫として残る商品の価値をいくらとみなすかの方法。先入先出法(先に仕入れた分から出庫したとみなす)などの方法があり、採用する方法によって計算上の利益額が変わりうる。
「PLは期間、BSは時点」「損益分岐点=利益ゼロの売上高」の対比が最頻出です。QC七つ道具(パレート図・特性要因図・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシート・層別)の名称と用途の対応、線形計画法が制約条件下での最適解を求める手法であること、検定が統計的な仮説の妥当性を判断する手法であることも定番の出題です。
小さな雑貨店の経営者になったつもりで、この節の概念を一通り確認しましょう。まず年度末に損益計算書を作ると、「今年の売上は900万円、費用は800万円だったので利益は100万円」という1年間の成績がわかります。一方貸借対照表を見ると、「今この瞬間、現金200万円・商品在庫150万円を持っていて、借入金100万円がある」という現在の財産状況がわかります。この店の固定費(家賃・人件費など)が月50万円、商品1個あたりの変動費(仕入原価)が売価の40%だとすると、損益分岐点の売上高を計算することで「月にいくら売れば赤字を脱するか」がわかります。年末には棚卸をして残った在庫の価値を評価しますが、仕入れ値が時期によって変動する商品では、在庫評価の方法(例えば先入先出法)によって「残っている在庫はいくらの価値とみなすか」が変わり、結果として計算上の利益額も変わってきます。日々の業務改善ではPDCAを回し、「今月は接客時間を計測(Plan)→実施(Do)→接客時間と売上の相関を確認(Check)→シフトを見直す(Act)」というサイクルを繰り返します。一方、近隣に競合店が突然オープンしたような急な変化には、OODAのように状況を素早く観察し、判断し、即座に対応することが求められます。品質面ではQC七つ道具のパレート図を使い、クレームの多い原因を可視化して優先度をつける、といった活用も考えられます。
| 観点 | 損益計算書(PL) | 貸借対照表(BS) |
|---|---|---|
| 対象期間 | 一定期間(例:1年間) | ある時点(例:期末) |
| 示すもの | 収益・費用・利益 | 資産・負債・純資産の残高 |
| 例えるなら | 1年間の家計簿 | 今の財布と借金の中身 |
ひっかけ: 「貸借対照表は一定期間の利益を示す表である」は誤りです。期間の利益を示すのは損益計算書で、貸借対照表はある時点の財産状況を示します。また「損益分岐点を超えて売れば必ず費用がゼロになる」も誤り=損益分岐点は利益がゼロになる売上高であり、それを超えれば利益(黒字)、下回れば損失(赤字)になるだけで、費用自体はゼロになりません。
1.1.3この節のまとめ
- PL=期間の利益、BS=時点の財産状況。経営組織は職能別・事業部制・マトリックスなど
- 損益分岐点=利益ゼロの売上高。在庫評価の方法によって計算上の利益が変わる
- PDCA=計画重視の継続改善、OODA=変化への高速対応。QC七つ道具等のOR/IEで品質・生産性を数値化
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. ある会社の「今年1年間の売上・費用・利益」を確認したい。参照すべき資料はどれ?
Q2. 変化の速い市場環境で競合の動きを素早く観察し、即座に判断・行動するサイクルとして最も適切なのはどれ?
Q3. 固定費と変動費から、利益がちょうどゼロになる売上高を求める分析はどれ?

