変更要約: 初版
2.3IPv6アドレスとプレフィックス形式
128ビットのIPv6における主要なアドレス種別——インターネットで一意なグローバルユニキャスト(GUA・2000::/3)、同一リンク内だけで有効なリンクローカル(fe80::/10)、組織内部用のユニークローカル(ULA・fc00::/7)、自分自身を指すループバック(::1)——と、一般的な/64プレフィックスの意味、そしてIPv6にはブロードキャストが無くマルチキャスト(ff00::/8)で置き換えることを、種別を見分ける基礎として学びます。
IPv4アドレスの枯渇に備えて生まれたIPv6は、128ビットという桁違いに大きな空間を持ち、2001:db8::1 のように16進数と ::(連続する0の省略)で表記します。サポートの現場でIPv6を目にしたとき、まず必要なのは先頭を見てアドレスの種別を見分けることです。この節では、インターネットで一意なグローバルユニキャスト(GUA)、同一リンク内だけのリンクローカル、内部用のユニークローカル(ULA)、自分自身のループバック(::1)という種別と、一般的な/64プレフィックス、そしてIPv6にブロードキャストは無くマルチキャストで代替するという重要な違いを学びます。細かなアドレス計算ではなく、種別の識別が目標です。
2.3.1IPv6アドレスの主要な種別
- グローバルユニキャスト(GUA)=2000::/3(
2000::〜3fff::で始まる範囲)で、インターネット上で一意にルーティングされるIPv4のパブリックに相当するアドレス。世界に向けて通信する本番のアドレスはこれ。 - リンクローカル(fe80::/10)=
fe80::で始まり、同一リンク(同一セグメント)内だけで有効な自動生成アドレス。ルータを越えず、インターネットには出られない。IPv6が有効なインターフェイスは必ず1つは持つ(近隣探索などの土台)。 - ユニークローカル(ULA・fc00::/7)=組織内部で使うプライベート相当(実務では fd00::/8 がよく使われる)。インターネットにはルーティングされず、IPv4の 10.0.0.0/8 などプライベート範囲に対応する位置づけ。ループバック(::1)=自分自身を指す(IPv4の 127.0.0.1 に相当)。
2.3.2プレフィックスとブロードキャストの不在
- プレフィックス=IPv6版の「ネットワーク部の長さ」で、IPv4のスラッシュ表記と同じ発想。サブネットは一般に /64 で切るのが標準的で、前半64ビットがネットワーク(プレフィックス)、後半64ビットがインターフェイス識別子になる。
2001:db8:0:1::/64のように書く。 - IPv6にはブロードキャストが無い。IPv4で「全員宛て」に使っていたブロードキャストの役割は、マルチキャスト(ff00::/8)(
ffで始まる)が担う。代表例は全ノードマルチキャスト ff02::1(同一リンクの全ノード宛て)で、必要な相手グループだけに届けるため無駄が少ない。
「GUA=2000::/3(インターネットで一意・IPv4パブリック相当)」「リンクローカル=fe80::/10(同一リンク内のみ・全IF必須)」「ULA=fc00::/7(内部用・実務fd00::/8)」「ループバック=::1」「プレフィックスは一般に/64」「IPv6にブロードキャストは無く、ff00::/8のマルチキャスト(全ノードff02::1)で代替」が頻出です。先頭を見て種別を即断できるようにしましょう。
IPv6が有効なPCの状態を確認していて、そのインターフェイスに fe80::1c2b:5aff:fe33:7a01 というアドレスと、2001:db8:acad:10::25 というアドレスの2つが付いているのを見たとします。IPv6では1つのインターフェイスが複数のアドレスを同時に持つのが普通で、これは異常ではありません。ここで種別を見分けられると、状況が正しく読めます。fe80:: で始まるのはリンクローカルで、これは同一リンク内でだけ有効な自動生成アドレスですから、たとえば「隣の機器とは通じるのにインターネットには出られない」場合、リンクローカルだけが動いていてGUAがうまく設定・広告されていない、という切り分けが立ちます。一方 2001: で始まるアドレスはGUA(2000::/3の範囲)で、これがインターネット向けの本番アドレスです。したがって「外に出られない」症状なら、GUA側のプレフィックス(多くは/64)やデフォルトルート、ルータからのプレフィックス広告(RA)を確認するのが筋になります。さらに、IPv4の癖で「全員に一斉通知したいからブロードキャストを送ろう」と考えるのは、IPv6では的外れです。IPv6にブロードキャストは存在せず、同一リンクの全ノードに届けたいならマルチキャストの全ノードアドレス ff02::1 を使います。ここで大切なのは、アドレスの先頭(fe80/2000〜3fff/fc00〜fd/::1/ff)を見るだけで種別と役割を識別でき、「どこまで届く住所か」「そもそもブロードキャストではなくマルチキャストか」を即座に判断できるという点です。IPv6は一見とっつきにくく見えますが、CCSTではこの種別の識別さえ押さえれば十分に戦えます。
| 種別 | 先頭(範囲) | 役割 | IPv4での対応 |
|---|---|---|---|
| グローバルユニキャスト(GUA) | 2000::/3 | インターネットで一意・ルーティング可 | パブリックアドレス |
| リンクローカル | fe80::/10 | 同一リンク内のみ(全IFに必須) | 169.254(APIPA)に近い位置づけ |
| ユニークローカル(ULA) | fc00::/7(実務fd00::/8) | 組織内部用・外部へはルーティングしない | プライベート範囲(10/8等) |
| ループバック | ::1 | 自分自身を指す | 127.0.0.1 |
| マルチキャスト | ff00::/8 | グループ宛て(ブロードキャストの代替・全ノードff02::1) | ブロードキャストは無い |
ひっかけ: 「IPv6にもブロードキャストアドレスがあり、全員宛てにはブロードキャストを使う」は誤りです——IPv6にブロードキャストは存在せず、同一リンクの全ノードに届けたいときはマルチキャスト(ff00::/8、全ノードは ff02::1)を使います。また「fe80:: のリンクローカルアドレスがあればインターネットに出られる」も誤り=リンクローカルは同一リンク内だけで有効で、インターネット通信にはGUA(2000::/3)が必要です。
2.3.3この節のまとめ
- 種別は先頭で見分ける:GUA(2000::/3・インターネット)/リンクローカル(fe80::/10・同一リンクのみ)/ULA(fc00::/7・内部)/ループバック(::1)
- プレフィックスは一般に /64(前半がネットワーク、後半がインターフェイス識別子)
- IPv6にブロードキャストは無く、全員宛ての役割はマルチキャスト(ff00::/8、全ノード ff02::1)が担う
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. IPv6が有効なインターフェイスに fe80::1c2b:5aff:fe33:7a01 というアドレスが付いていた。このアドレスの種別と性質として最も適切なものはどれか。
Q2. IPv6で、同一リンク上の全ノードに一斉に届けたい。IPv4のブロードキャストに相当する役割を担う仕組みとして最も適切なものはどれか。
Q3. インターネット上で一意にルーティングされる、IPv4のパブリックアドレスに相当するIPv6アドレスの範囲として最も適切なものはどれか。

