第4章 · IPサービス·v1.0.0·更新 2026/7/17·読了目安 約16分
変更要約: 初版
4.1NATとPAT
この節の要点
内部のプライベートアドレスをグローバルアドレスへ変換するNATの役割、1対1固定のスタティックNAT・プールを使うダイナミックNAT・ポート番号で多対1に集約するPAT(オーバーロード)の使い分け、inside local/inside global の用語、そして ip nat inside/ip nat outside の付け間違いや変換テーブルから原因を切り分ける判断力を学びます。
グローバルIPv4アドレスは枯渇しており、社内の多数の端末に個別のパブリックアドレスを割り当てることは現実的ではありません。そこで、内部ではRFC1918のプライベートアドレスを使い、インターネットへ出る境界ルータでNATによりパブリックアドレスへ変換します。CCNAでは「NATとは何か」の暗記ではなく、要件(何台を、いくつのパブリックアドレスで外に出すか)に応じてスタティック/ダイナミック/PATのどれを選ぶか、そして設定ミスや変換テーブルから障害原因を切り分ける実務判断が問われます。
4.1.1NATの用語(inside local / inside global)
- inside local=内部ホストが内部から見えるときのアドレス(通常はプライベートアドレス。例:
10.1.1.10)。inside global=その同じ内部ホストが外部から見えるときのアドレス(NAT変換後のパブリックアドレス。例:203.0.113.10)。「local=内側の視点」「global=外側の視点」で覚えると混同しない。 - NATを機能させる大前提として、内部向けインタフェースに
ip nat inside、外部(インターネット)向けインタフェースにip nat outsideを必ず設定する。この inside/outside の指定を取り違える/付け忘れると、変換ルールが正しくても翻訳が一切行われない。
4.1.2スタティック/ダイナミック/PATの使い分け
- スタティックNAT=1つの内部アドレスを1つのパブリックアドレスへ1対1で固定変換する。外部から常に同じパブリックアドレスで到達させたいサーバ(公開Webサーバ等)に使う。設定例:
ip nat inside source static 10.1.1.10 203.0.113.10。 - ダイナミックNAT=パブリックアドレスのプールから空いているアドレスを内部ホストに動的・一時的に割り当てる(原則1対1)。プール数を超える同時接続はできない。設定例:
ip nat pool P1 203.0.113.1 203.0.113.30 netmask 255.255.255.224+ip nat inside source list 1 pool P1。 - PAT(ポートアドレス変換・オーバーロード)=多数の内部ホストを1つ(少数)のパブリックアドレスに、送信元ポート番号で識別して多対1に集約する。家庭用ルータや中小企業の一般的なインターネット接続はこれ。設定例:
ip nat inside source list 1 interface g0/0 overload。キーワードoverloadがPATの目印。

