変更要約: 初版
1.4IPv4アドレッシングとサブネット設計
IPv4アドレスの構造、プライベート/パブリックの区別、サブネットマスクとCIDR、必要ホスト数に応じて可変長で分割するVLSMを、「限られたアドレス空間を無駄なく配分する」設計判断として、手動検算しながら学びます。
サブネット設計は公式に当てはめるだけの計算問題ではなく、限られたアドレスを部署やフロアの必要台数に応じて無駄なく配る実務そのものの判断です。CCNAでは机上でサブネットを素早く手計算できることが強く求められます。この節ではCIDR/VLSMの仕組みを理解し、実要件(各部署の端末数)からサブネット構成を導いて手で検算する練習をします。
1.4.1IPv4アドレスの構造とプライベート/パブリック
- IPv4アドレス=32ビットを8ビットずつ4オクテットに区切り10進表記する(例:
192.168.1.10)。ネットワーク部+ホスト部で構成され、境界はサブネットマスク(255.255.255.0=/24)で示す。歴史的なクラスA/B/Cは現在CIDR(クラスレス)に置き換わり、プレフィックス長で自由に境界を切る。 - プライベートアドレス=インターネットに直接ルーティングされない内部用の範囲:
10.0.0.0/8・172.16.0.0/12・192.168.0.0/16。外部と通信する際はNATでパブリックアドレスへ変換する。パブリックはインターネット上で一意で、レジストリから割り当てられる。
1.4.2サブネットマスクとホスト数
- サブネット内でホストに割当可能な数は
2^(ホスト部ビット数) − 2。ホスト部が全0のネットワークアドレスと全1のブロードキャストアドレスの2つは割当不可のため引く。例:/24はホスト部8ビットで2^8−2=254台。 - プレフィックスを1ビット延ばす(例
/24→/25)ごとにサブネットは半分になり、ホスト数も半減する。必要台数から2^n − 2 ≧ 必要ホスト数を満たす最小のn(ホスト部ビット数)を求め、プレフィックス長32−nを導くのが基本手順。
1.4.3VLSMによる可変長分割
- VLSM(可変長サブネットマスク)=1つのアドレスブロックを、サブネットごとに必要ホスト数に応じた異なる長さで分割する手法。全サブネットに同じ大きさを配る固定長分割と違い、アドレスの無駄を最小化できる。手順のコツは必要数の大きいサブネットから順に切り出すこと。
「プライベート範囲=10/8・172.16/12・192.168/16」「割当可能数=2^(ホスト部)−2(全0/全1を除く)」「VLSMは必要数に応じた可変長・大きい順に切る」が頻出です。サブネット計算は必ず手を動かして検算し、公式暗記に頼らないこと。IOSでは show ip interface brief で各IFのアドレス/状態を確認します。
あなたはネットワーク設計者として、拠点に割り当てられた192.168.10.0/24(256アドレス)を、営業部(必要100台)・開発部(必要50台)・総務部(必要20台)にVLSMで無駄なく配る要件を受けたとします。コツは大きい順です。まず営業部100台は2^n−2 ≧ 100を満たす最小n=7(2^7−2=126 ≧ 100、n=6だと62で不足)なのでホスト部7ビット=/25(255.255.255.128)。192.168.10.0/25(.0〜.127、割当可能.1〜.126の126個)を営業部に確保し、126 ≧ 100で要件を満たします。残り192.168.10.128/25から開発部50台を切り出すと、2^n−2 ≧ 50の最小n=6(2^6−2=62 ≧ 50)で/26(255.255.255.192)、192.168.10.128/26(.128〜.191、割当可能62個)。最後に総務部20台は残る192.168.10.192/26からさらに切り、2^n−2 ≧ 20の最小n=5(2^5−2=30 ≧ 20)で/27(255.255.255.224)、192.168.10.192/27(.192〜.223、割当可能30個)。これで要件を満たしつつ、残る192.168.10.224/27(30個)を将来拡張に温存できます。もし全部署に一律/26(62台分)を配る固定長にすると、営業部の100台が入りきらず破綻します。逆に全部署に営業部基準の/25を配れば、総務部に126台分も渡してしまい大量の無駄が出ます。必要数ごとに最小十分なサイズを、大きい順に切っていく——これがVLSMの本質であり、単なる計算でなくアドレス資源の配分判断です。
| 部署 | 必要ホスト数 | 割当プレフィックス | 割当可能数 |
|---|---|---|---|
| 営業部 | 100 | /25(192.168.10.0/25) | 126 |
| 開発部 | 50 | /26(192.168.10.128/26) | 62 |
| 総務部 | 20 | /27(192.168.10.192/27) | 30 |
ひっかけ: 「/24は256台のホストを収容できる」は誤りです——2^8=256アドレスのうちネットワークアドレス(全0)とブロードキャストアドレス(全1)の2つは割当不可なので、収容できるホストは256−2=254台です。また「VLSMは全サブネットに同じサイズを割り当てる手法」も誤り=VLSMの本質は必要数に応じて異なる長さを配り無駄を減らすことで、同一サイズ分割は固定長サブネッティングです。
1.4.4この節のまとめ
- プライベート範囲は
10.0.0.0/8・172.16.0.0/12・192.168.0.0/16。外部通信はNATでパブリックへ変換する - 割当可能ホスト数は2^(ホスト部ビット数)−2(全0/全1を除く)。必要数から
2^n−2≧必要数の最小nでプレフィックスを導く - VLSMは必要数に応じ大きい順に可変長で切り、無駄を最小化する。サブネット計算は必ず手で検算する
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. ネットワーク設計者が`192.168.20.0/24`を、必要60台の部署Aと必要25台の部署Bにアドレスの無駄を最小にして分割したい。部署Aに割り当てるべき最も適切なプレフィックスはどれか。
Q2. `192.168.30.0/24`を、営業50台・開発20台・総務10台の3部署にVLSMで割り当てる方針として、最も合理的なものはどれか。
Q3. ある拠点でインターネットに直接ルーティングされない内部用アドレスを使いたい。プライベートIPv4アドレスの範囲として正しい組み合わせはどれか。

