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第4章 · セキュリティと開発技術·v1.0.0·更新 2026/7/9·読了目安 約17分

変更要約: 初版

4.1情報セキュリティの基礎と暗号・認証(PKI・デジタル署名)

この節の要点

CIA(機密性・完全性・可用性)と補完要素(真正性責任追跡性否認防止)を土台に、共通鍵暗号公開鍵暗号ハイブリッド暗号の鍵の使い方の違い、ハッシュ関数の性質、秘密鍵で署名し公開鍵で検証するデジタル署名、公開鍵の正当性を保証するPKI認証局(CA)多要素認証生体認証、Web通信を守るSSL/TLSをレベル3の深さで学びます。

応用情報の午前で暗号技術が問われるとき、最も差がつくのは「鍵をどちらの向きに使うか」を正確に言えるかどうかです。公開鍵暗号は「誰が何の鍵で暗号化し、誰が何の鍵で復号するか」によって、実現できる性質が機密性にも真正性にもなります。この節では、CIAという評価軸をまず整理したうえで、共通鍵暗号・公開鍵暗号・ハッシュ関数それぞれの数学的な性質の違いが、実務でどう使い分けられるかを深掘りします。

4.1.1CIAと補完要素

  • 機密性(Confidentiality)=許可された主体だけが情報にアクセスできる状態。完全性(Integrity)=情報が改ざん・破壊されず正確である状態。可用性(Availability)=必要なときに利用できる状態。補完要素として真正性(Authenticity)(主張どおりの本人・本物である保証)・責任追跡性(Accountability)(誰が何をしたか追跡できること)・否認防止(Non-repudiation)(後から行為を否認できないこと)・信頼性(Reliability)(意図した動作の継続)がある。
  • 同じ侵害事象でも影響を受けるCIA要素は状況で異なる(例: 顧客名簿の漏えい=機密性、Webサイト改ざん=完全性、DoSによる停止=可用性)。デジタル署名は「暗号化」の応用でありながら機密性ではなく真正性・完全性・否認防止を実現する点が、CIA=暗号化という単純化を避けるべき理由である。

4.1.2共通鍵暗号・公開鍵暗号・ハイブリッド暗号

  • 共通鍵暗号=暗号化・復号に同一の鍵を使う方式(AES等)。処理は高速だが、通信相手ごとに鍵を安全に共有する鍵配送問題を抱える(n人が総当たりで通信するには鍵が n(n-1)/2 通り必要)。公開鍵暗号対になる公開鍵と秘密鍵を使う方式(RSA等)。機密性用途では「送信者が受信者の公開鍵で暗号化受信者が自分の秘密鍵で復号」という向きを使う。これにより鍵配送問題を解消するが、処理は共通鍵暗号より大幅に低速
  • 公開鍵暗号には逆向きの使い方もある。送信者が自分の秘密鍵で暗号化(署名)すれば、対応する公開鍵で復号できることが「その秘密鍵の持ち主にしか作れない」ことの証明になり、真正性・否認防止を実現する(=デジタル署名の原理)。「公開鍵で暗号化→秘密鍵で復号」=機密性、「秘密鍵で暗号化(署名)→公開鍵で検証」=真正性、という向きの違いを取り違えないことが最重要
  • ハイブリッド暗号=実務での主流方式。データ本体は高速な共通鍵暗号で暗号化し、その共通鍵(セッション鍵)だけを受信者の公開鍵で暗号化して送ることで、鍵配送問題の解消と処理速度を両立する。SSL/TLSの鍵交換もこの方式に基づく。

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