第4章 · セキュリティと開発技術·v1.0.0·更新 2026/7/9·読了目安 約17分
変更要約: 初版
4.2脅威と対策(攻撃手法・FW/IDS/IPS/WAF・ゼロトラスト)
この節の要点
マルウェア(ウイルス/ワーム/トロイの木馬/ランサムウェア)、標的型攻撃・フィッシング・BEC、Webアプリ攻撃(SQLインジェクション・XSS・CSRF)、DoS/DDoS、境界防御(FW・IDS・IPS・WAF・DMZ)、境界に依存しないゼロトラスト、組織的管理のISMS・リスクマネジメント・CSIRTをレベル3の深さで学びます。
脅威と対策を正しく結び付けるには、攻撃が「どの層」「何の仕組み」を悪用するかを見分けることが出発点です。マルウェアは実行環境そのものを悪用し、Webアプリ攻撃はアプリの入力処理の不備を悪用し、DoSは処理能力の限界を悪用します。対策も同じ「境界防御」でも見ている情報が異なる(FWはIP/ポート、WAFは通信内容)ため、この節では攻撃と対策を対にして整理し、さらに境界防御の限界から生まれたゼロトラストの考え方まで踏み込みます。
4.2.1マルウェアと標的型攻撃
- ウイルス=他のプログラムに寄生して自己複製する。ワーム=単独のプログラムとして自己複製し宿主を必要とせずネットワーク経由で自律的に拡散する。トロイの木馬=無害を装って侵入し自己複製せずにバックドア設置等を行う。ランサムウェア=ファイルを暗号化する等して利用不能にし復旧と引き換えに金銭を要求する。
- 標的型攻撃=特定組織・個人を狙い業務関連を装うメール等で不正ファイルを開かせる。フィッシング=実在組織を装った偽サイト・メールで認証情報を詐取する。BEC(ビジネスメール詐欺)=取引先や経営者になりすましたメールで送金や機密情報の提供を騙し取る攻撃。技術的な脆弱性ではなく人の信頼関係を悪用する点がマルウェアとの違い。
4.2.2Webアプリ攻撃とDoS/DDoS
- SQLインジェクション=入力欄に不正なSQL文を注入しDBを不正操作する。対策はプレースホルダ(バインド機構)。XSS(クロスサイトスクリプティング)=Webページに不正スクリプトを注入し閲覧者のブラウザで実行させる。対策は入力値のサニタイジング/エスケープ。
- CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)=ログイン中の利用者に意図しないリクエストを別サイト経由で送信させ、利用者本人の権限を悪用する攻撃。対策はワンタイムトークン(フォーム送信ごとに変化するトークンをサーバ側で検証)。XSSは「スクリプト注入」、CSRFは「権限を悪用したリクエスト偽造」という違いを区別する。
- DoS攻撃=大量リクエスト等で対象の処理能力を枯渇させ利用不能にする。DDoS攻撃=複数端末(多くはボットネット)から分散してDoS攻撃を仕掛け、送信元IP遮断のような単純な対策を困難にする。対策はCDN・WAFによるトラフィックの分散・フィルタリング。

