Instiq
第5章 · ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム·v1.0.0·更新 2026/7/6·読了目安 約12分

変更要約: 初版(主題1.05・副主題1.05.1〜1.05.3に対応)

5.2ハードディスクのレイアウトとパーティション

この節の要点

ディスクを分割して使うパーティション設計を学びます。UEFI ブートに必要な ESP(EFI システムパーティション)、fdiskgdiskparted の使い分け、/(ルート)/var/home/bootスワップの分割方針、LVM(物理/論理ボリューム・動的拡張・スナップショット)の基本概念を押さえます。

1本のディスクはパーティションに区切ってから使います。区切りの台帳がパーティションテーブルで、旧来の MBR と現行主流の GPT の2方式があります。「どう区切るか」はサーバーの安定運用に直結する設計判断です。

5.2.1パーティションテーブルとツール

  • MBR=最大 2TB・基本パーティション4個まで(拡張で回避)。GPT=サイズ制限が実質なし・多数のパーティション・UEFI ブートとセット。
  • ESP(EFI システムパーティション)=UEFI ブートでブートローダーを置く FAT 形式の専用パーティション(/boot/efi にマウントされる)。
  • ツールの使い分け=fdisk(対話式の定番。元は MBR・現在は GPT も可)/gdiskGPT 専用の fdisk 型)/parted(MBR/GPT 両対応・非対話のスクリプト実行も得意)。fdisk -l でディスクとパーティションの一覧。

5.2.2分割方針と LVM

  • 分ける定石=/var(ログ・スプールで肥大しやすい→ / を巻き込まないよう分離)・/home(ユーザーデータ→ OS 再インストールでも温存)・/boot(カーネル置き場)・スワップ(メモリ不足時の退避先)。残りが /(ルート)
  • LVM=物理ディスク(物理ボリューム PV)を束ねてボリュームグループ(VG)にし、そこから論理ボリューム(LV)を切り出す抽象層。
  • LVM の利点=稼働中の動的拡張・縮小(パーティション直より柔軟)・スナップショット(ある時点の凍結コピー=バックアップ整合性に有効)。欠点=構成が1層増える複雑さ。
試験ポイント

「UEFI ブートには ESP が必須」「GPT 専用の対話ツール=gdisk」「肥大でルートを守るために分けるのは /var」「稼働中に拡張したい・スナップショットが欲しい→ LVM」 が定番です。MBR の「2TB・基本4個」制限と GPT の対比も頻出です。

「なぜ分けるのか」を障害シナリオで理解しましょう。ログが暴走してファイルシステムが満杯になったとき、/var が独立していれば被害は /var 止まりで、/(ルート)が満杯になって OS 全体が不安定化する事態を防げます。/home の分離は「OS は入れ直したいがユーザーデータは残したい」を可能にし、スワップは物理メモリ不足時の安全弁になります。この静的な分割の弱点=「後から比率を変えにくい」を解決するのが LVM です。ディスクを PV として登録→ VG に束ねる→ 用途別に LV を切る、という3層により、「/var 用の LV が手狭になったら VG の空きから稼働中に拡張」ができます。スナップショットは変更前の状態を凍結するため、整合性のあるバックアップやアップグレード前の保険として使われます。ツール選択は「対話でサクッと=fdisk(GPT なら gdisk も)/スクリプトで自動化=parted」という軸で選べば試験・実務とも外しません。

分離する領域理由備考
/varログ肥大からルートを守るサーバーでは特に重要
/homeOS 再インストールでも温存ユーザーデータの器
/boot・ESPカーネル/ブートローダー専用ESP は UEFI 必須・FAT
スワップメモリ不足時の退避mkswap/swapon で有効化
注意

ひっかけ: 「MBR は 2TB 超のディスクをフルに扱える」は誤りです(2TB 制限があるのが MBR・実質無制限が GPT)。また「LVM のスナップショットはディスク全体の物理コピーを即座に作る」も誤り寄り=スナップショットはその時点からの差分を追う軽量な凍結であり、フルコピーではありません。「gdisk で MBR ディスクを操作する」も誤り=gdisk は GPT 専用です。

MBR/GPT・fdisk系ツール・LVM の PV/VG/LV 構造を整理した図。
柔軟性が要るなら LVM

5.2.3この節のまとめ

  • MBR(2TB・基本4個)→ GPT(UEFI・ESP 必須)。ツールは fdisk/gdisk(GPT専用)/parted(スクリプト向き)
  • 分割定石=/var(肥大)・/home(温存)・/boot・スワップ。柔軟性が要るなら LVM(PV→VG→LV・動的拡張・スナップショット)

進捗の記録にはログインが必要です。

理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. UEFI ブートの新しいサーバーにディスクを増設してパーティションを切る。ブートローダーを配置するために必要な専用パーティションはどれ?

Q2. ログの肥大でルートファイルシステムが満杯になる事故を防ぐため、独立したパーティションに分離すべき領域として最も適切なのはどれ?

Q3. 稼働中のサーバーでボリュームを動的に拡張でき、バックアップ用にある時点のスナップショットも取れる構成にしたい。採用すべき技術は?

理解度を確認第5章「ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム」の問題を解く

学習の記録を残しませんか

参考書はすべて無料で読めます。無料登録すると、問題集での演習・既読と進捗の記録・間違えた問題の復習・ハイライトが使えます。