変更要約: 初版
4.4基本スイッチング概念
スイッチが送信元MACと受信ポートを覚えるMACアドレステーブルの学習・未学習/ブロードキャスト時のフラッディング・既定300秒のエージング、許可制御のMACアドレスフィルタリング、そしてL2のブロードキャストドメインを分割するVLANを、show mac address-table を眺めつつ「スイッチはどう宛先を覚え、どう配るか」の基礎として学びます。
スイッチは、つながっている機器の場所を最初から知っているわけではありません。通信を見ながら「どのMACアドレスの機器が、どのポートの先にいるか」を少しずつ覚え、その表をもとにフレームを正しいポートだけへ送り届けます。この学習の仕組みがMACアドレステーブルです。この節では、テーブルの学習、宛先が分からないときのフラッディング、古い情報を消すエージング(既定300秒)、許可制御のMACアドレスフィルタリング、そして1つのスイッチを論理的に分けるVLANを、show mac address-table の出力を眺めながら、「スイッチはどう宛先を覚え、どう配るか」の基礎として学びます。
4.4.1MACアドレステーブルの学習と動作
- 学習=スイッチはフレームを受け取ると、その送信元MACアドレスと受信したポート番号の対応をMACアドレステーブルに記録する。これを繰り返すことで「どのMACがどのポートの先にいるか」の地図ができ、以後はそのMAC宛のフレームを該当ポートだけへ送れる(無駄な送信を減らせる)。
- フラッディング=宛先MACがまだテーブルに無い(未学習)とき、またはブロードキャスト宛のとき、スイッチは受信ポート以外の全ポートへそのフレームを送り出す。相手が応答すればその送信元MACを学習でき、次からはフラッディング不要になる。
- エージング=一定時間そのMACからの通信が無いと、テーブルの古いエントリは削除される。既定のエージング時間は300秒(5分)。機器の移動や電源オフに追随して表を最新に保つ仕組みで、
show mac address-tableで現在の学習状況を確認できる。
4.4.2MACフィルタリングとVLAN
- MACアドレスフィルタリング=特定のMACアドレスだけ通信を許可/拒否する制御。許可リストに載った機器だけを通す使い方などができるが、MACは詐称され得るため単独では強固なセキュリティにならない(補助的な手段として理解する)。
- VLAN(Virtual LAN)=1台の物理スイッチを論理的に複数のネットワークに分割する仕組み。VLANが違えばブロードキャストドメインも分かれ、あるVLANのブロードキャストは別VLANには届かない。部署ごとに通信範囲を分けたり、放送の波及を抑えたりできる。VLAN間の通信にはルーティング(L3)が必要。
「スイッチは送信元MAC+受信ポートを学習」「宛先MACが未学習/ブロードキャストは受信ポート以外の全ポートへフラッディング」「既定エージング=300秒」「VLANはL2のブロードキャストドメインを分割・VLAN間通信はL3ルーティングが必要」「MACフィルタは補助的(詐称され得る)」が頻出です。
スイッチにつないだばかりの新しいPCから最初の通信が出るとき、スイッチはそのPCのMACアドレスをまだ知りません。そこで、宛先MACがテーブルに無いこの最初のフレームはフラッディングされ、受信ポート以外の全ポートへ送られます。宛先の機器が応答すると、スイッチはその応答フレームの送信元MACと受信ポートをMACアドレステーブルに学習し、以後はそのMAC宛のフレームを該当ポートだけへ送るようになります——つまり最初だけ全体に配り、あとは学習して無駄を減らす、というのが基本動作です。ここで現場のヒントになるのが show mac address-table の出力です。ある機器につながらないとき、この表にその機器のMACが載っていないなら、まだ一度も通信が届いていない(=物理/リンクの問題かもしれない)と当たりを付けられますし、機器を別ポートに挿し替えた直後に古い情報が残って挙動が変なら、既定300秒のエージングでいずれ古いエントリが消えることを思い出せます。また「同じスイッチにつないでいるのに、A部門の端末からB部門の端末がまったく見えない」なら、それは故障ではなくVLANでブロードキャストドメインが分割されている設計かもしれません。VLANが違えば別ネットワーク扱いで、相互通信にはL3のルーティングが要ります。セキュリティ面では、特定MACだけ通すMACアドレスフィルタリングは手軽な入口制御になりますが、MACは詐称され得るためそれだけに頼らないのが正しい理解です。入門段階では、これらを個別の暗記事項ではなく、「学習→未知はフラッディング→古いものはエージングで整理」「VLANで放送範囲を分ける」という一連のストーリーとして押さえると、スイッチの挙動が腑に落ちます。
| 動作/機能 | 内容 | 入門で押さえる要点 |
|---|---|---|
| 学習 | 送信元MAC+受信ポートをテーブルに記録 | 「どのMACがどのポートの先か」の地図を作る |
| フラッディング | 未学習/ブロードキャスト時に全ポートへ送出 | 受信ポート以外の全ポートへ配る |
| エージング | 無通信のエントリを一定時間で削除 | 既定300秒(5分)で表を最新に保つ |
| MACフィルタリング | 特定MACの通信を許可/拒否 | 補助的(MACは詐称され得る) |
| VLAN | L2のブロードキャストドメインを分割 | VLAN間通信はL3ルーティングが必要 |
ひっかけ: 「同じスイッチに挿さっていれば、VLANが違っても直接通信できる」は誤りです——VLANが違えばブロードキャストドメインが分かれ別ネットワーク扱いになるため、相互通信にはL3のルーティングが必要です。また「MACアドレステーブルの情報は一度学習すると永久に残る」も誤り=無通信のエントリはエージング(既定300秒)で削除され、表は最新の状態に保たれます。
4.4.3この節のまとめ
- スイッチは送信元MAC+受信ポートをMACアドレステーブルに学習し、未学習/ブロードキャストは受信ポート以外へフラッディング
- 無通信のエントリはエージング(既定300秒)で削除。
show mac address-tableで学習状況を確認できる - VLANはL2のブロードキャストドメインを分割(VLAN間はL3が必要)。MACフィルタリングは補助的(詐称され得る)
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. スイッチが、宛先MACアドレスがまだMACアドレステーブルに無いフレームを受け取った。このときのスイッチの基本動作として最も適切なものはどれか。
Q2. 同じ物理スイッチにつながっているのに、A部門の端末からB部門の端末がまったく見えない。設計上あり得る理由として最も適切なものはどれか。
Q3. MACアドレスフィルタリングをネットワークの防御策として説明する。最も適切な理解はどれか。

