変更要約: 初版
4.2ネットワーク図に基づく配線
エンジニアが描いたネットワーク図に従ってパッチケーブルを正しくつなぐ手順と、スイッチ/ルータを含む小規模トポロジ、機器を収めるラックのレイアウト(ラックユニット(U)・ケーブル管理・PDUでの電源供給・UPS)を、「図の通りに、上から順に、電源まで含めて配線する」入門作業として学びます。
サポートやヘルプデスクの実務では、設計者が描いたネットワーク図(どの機器をどのポートでつなぐかを示した図)を渡され、その通りに機器を配線する場面がよくあります。ここで自己流に挿してしまうと、図と実物がずれて後から誰も追えなくなります。この節では、図に従ってパッチケーブルを正しくつなぐ考え方、スイッチとルータが登場する小規模なトポロジの読み方、そして機器を収めるラックのレイアウトと電源(PDU・UPS)までを、「図の通りに、順序よく、電源まで含めて仕上げる」入門作業として学びます。
4.2.1図に従った配線の基本
- パッチケーブル=機器と機器(またはパッチパネル)を短くつなぐ配線用ケーブル。図には「スイッチのポート1にルータのポートをつなぐ」といった対応関係が描かれるので、図が指すポート番号・機器名の通りに挿すのが鉄則。思いつきで別ポートに挿すと図と実物が食い違う。
- 配線は上位から下位へたどると迷いにくい:インターネット/WAN側のルータ→中継のスイッチ→末端のPCやAPという流れ。図の各線が「どの機器のどのポート」を結ぶかを1本ずつ確認しながら挿し、挿し終えたらリンクライトの点灯で結線を目視確認する。
- 後から追えるように、ケーブルはラベル付けと整線(束ねて経路を整える)を心がける。図・実配線・ラベルが一致していれば、障害時に「図のこの線が切れている」と即座に突き止められる。入門段階でも「図=実物」を保つ習慣が現場力になる。
4.2.2ラックのレイアウトと電源
- ラック=機器を縦に積んで収める棚。高さはラックユニット(U)という単位で数え、1U=約4.4cm。重い機器やスイッチ配置、ケーブルの取り回しを考えて段を割り当てる。フロア間や島をまたぐ配線はパッチパネルに集約し、そこから各ポートへパッチケーブルで振り分ける。
- 電源はPDU(Power Distribution Unit)=ラック内で複数機器に電源を分配するタップ状の装置から取る。さらに停電に備えてUPS(無停電電源装置)を挟むと、瞬断や停電の際もバッテリで動作を継続でき、機器を安全に停止させる時間を稼げる。上位機器では電源を二重化(冗長化)して片方が落ちても止まらない構成もある。
「図が示すポート番号・機器名の通りに配線する(自己流に挿さない)」「パッチケーブルで機器/パッチパネル間を結ぶ」「ラックの高さはU(1U≒4.4cm)」「PDUで電源分配・UPSで停電時もバッテリ継続」が頻出です。配線は上位(ルータ)→下位(PC)へたどり、結線はリンクライトで目視確認しましょう。
新しい小規模オフィスの立ち上げで、設計者から一枚のネットワーク図を渡されたとします。図には「インターネット回線→ルータのWANポート」「ルータのLANポート→スイッチのポート1」「スイッチのポート2〜8→各デスクのPC」「スイッチのポート24→天井の無線AP(PoE)」と描かれています。ここで大切なのは、図に書かれた通りのポート・機器に、1本ずつ確認しながらつなぐことです。たとえば早く終わらせたいからと、AP用に指定されたポート24ではなく手近なポート2に挿してしまうと、見た目は動いても図と実物がずれ、後で別の担当者が図を頼りに障害を追えなくなります。配線は上位からたどるのが定石なので、まずルータをインターネット側につなぎ、次にスイッチ、最後に末端のPCとAPという順で進め、1本挿すごとにリンクライトの緑点灯で結線を目視確認します。物理設置では、機器をラックの適切な段(U)に固定し、電源はPDUから取り、重要機器にはUPSを噛ませて停電に備えます——ここで、PoEのAPを指定ポートにつないだのに電源が入らないなら、それは配線ミスではなく「そのポートがPoE非対応」という前節の観点に立ち返る必要があります。入門段階での要点は、華やかな設定ではなく「図の通りに、順序よく、ラベルと電源まで含めて仕上げる」という愚直さが、後から誰でも追える健全なネットワークを作る、ということです。
| 要素 | 役割 | 入門で押さえる要点 |
|---|---|---|
| ネットワーク図 | どの機器をどのポートでつなぐかの設計 | 図の通りに配線する(自己流に挿さない) |
| パッチケーブル | 機器/パッチパネル間の短い接続 | 指定ポートに挿し、点灯で結線確認 |
| ラック / U | 機器を縦に収める棚(1U≒4.4cm) | 段を割り当て整線・ラベル付け |
| PDU | ラック内で電源を複数機器へ分配 | 機器の電源はここから取る |
| UPS | 停電時にバッテリで動作を継続 | 瞬断・停電に備え安全停止の時間を稼ぐ |
ひっかけ: 「動けばよいので、図で指定されたポートと違う口に挿しても問題ない」は誤りです——通信できても図と実配線がずれ、後から障害を追う人が正しく切り分けられなくなります。ネットワーク図の通りに挿し、ラベルで一致を保つのが原則です。また「UPSがあれば停電中もずっと動き続ける」も誤り=UPSはバッテリで一時的に支えるもので、目的は瞬断の吸収と安全に停止する時間の確保です。
4.2.3この節のまとめ
- ネットワーク図の通りにパッチケーブルを挿す(自己流禁止)。配線は上位(ルータ)→下位(PC)へたどり、点灯で結線確認
- ラックの高さはU(1U≒4.4cm)。整線・ラベルで図と実物を一致させ、後から追える状態を保つ
- 電源はPDUで分配し、停電に備えUPSを挟む(バッテリで一時継続=安全停止の時間を確保)
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. エンジニアのネットワーク図では、無線APはスイッチのポート24に接続すると指定されている。作業者がポート24ではなく手近なポート2に挿した。この配線について最も適切な指摘はどれか。
Q2. ラックに収めた重要な機器を、停電が起きても瞬時に落とさず、安全に停止させる時間を確保したい。導入すべきものとして最も適切なものはどれか。
Q3. 小規模オフィスをネットワーク図に従って配線する。インターネット回線・ルータ・スイッチ・各PCをつなぐ順序として、迷いにくく確認しやすい進め方はどれか。

