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第1章 · ID・アクセス・ガバナンスの管理·v1.1.0·更新 2026/6/11·読了目安 約16分

変更要約: 各節に図(figure)を追加=cert-figure-retrofit。SC-500 第1章を新規作成(ドメイン1「ID・アクセス・ガバナンスの管理」: Entra ID=PIM/条件付きアクセス/MFA・パスワードレス/アプリ ID・OAuth 同意/マネージド ID、Key Vault=RBAC vs アクセスポリシー/ネットワーク制限/ソフト削除・消去保護/Defender CSPM シークレットスキャン・Defender for Key Vault、ガバナンス=Azure Policy/Defender for Cloud 規制コンプライアンス/RBAC 過剰特権是正/リソースロック/Azure Backup/IaC)

1.2Azure Key Vault によるシークレットとキーの保護

この節の要点

シークレット・キー・証明書を安全に保管する Azure Key Vault を、デプロイ、アクセスモデル(RBAC とアクセスポリシー)、ネットワーク制限(ファイアウォール/プライベートエンドポイント)、キー/シークレット/証明書の管理、そして Defender CSPM のシークレットスキャンと Defender for Key Vault による脅威検知の観点で学びます。

パスワード・接続文字列・API キー・暗号化キー・TLS 証明書といった シークレット をコードや構成ファイルに直書きすると、漏洩時の被害が大きくなります。Azure Key Vault は、これらを一元的に・暗号化して保管し、アクセスを厳密に制御し、利用を監査するマネージドサービスです。SC-500 では「保管する」だけでなく、「誰がアクセスできるか(認可モデル)」「どこからアクセスできるか(ネットワーク)」「漏洩・異常をどう検知するか(Defender)」までを一体で設計します。

1.2.1アクセスモデル:RBAC とアクセスポリシー

Key Vault の認可には2つのモデルがあります。Azure RBAC(推奨)は、Key Vault のデータ面操作(キーの使用・シークデータの取得など)をロール割り当てで制御し、PIM・条件付きアクセス・他の Azure リソースと統一的に管理できます。もう一つの アクセスポリシー(Vault access policy) は、ボールトごとに「この ID にはキーの取得を許可」のように個別付与する旧来モデルです。新規は RBAC を選ぶのが基本です。いずれの場合も最小特権(例:シークレットの取得だけ許可し、削除や管理は許可しない)を徹底します。

1.2.2ネットワークの制限:ファイアウォールとプライベートエンドポイント

既定では Key Vault はパブリックエンドポイントを持ちます。ファイアウォール設定 で「選択した仮想ネットワーク/IP のみ許可」に絞り、さらに プライベートエンドポイント(Private Link)を使うと、ボールトへのトラフィックを仮想ネットワーク内の private IP 経由のみに限定し、パブリック露出をなくせます。「信頼された Microsoft サービスを許可」オプションと組み合わせると、Defender などの正規サービスのアクセスを保ったまま外部を遮断できます。認可(RBAC)とネットワーク制限は別レイヤーであり、両方をかけることで多層防御になります。

1.2.3キー・シークレット・証明書とライフサイクル保護

  • キー(Keys):暗号化/署名に使う暗号鍵。Storage の CMK や SQL TDE の保護キーなどに利用。HSM 保護も選べる。
  • シークレット(Secrets):パスワード・接続文字列・API キーなどの機微な文字列。
  • 証明書(Certificates):TLS/SSL 証明書。自動更新(ライフサイクル管理)が可能。
  • ソフト削除(soft-delete)消去保護(purge protection):誤削除/悪意ある削除からの復元を保証。purge protection 有効時は保持期間中の完全削除を禁止。

1.2.4検知:Defender CSPM のシークレットスキャンと Defender for Key Vault

保管と制御に加えて「漏れていないか・不審に使われていないか」を検知します。Defender CSPM(Cloud Security Posture Management)の シークレットスキャン は、VM・コード・リソースにハードコードされたシークレット(平文のキーや接続文字列)を発見し、Key Vault への移行を促します。Microsoft Defender for Key Vault はボールトへの異常なアクセスパターン(普段と異なる場所/大量取得など)を検知してアラートを出します。両者は「事前の発見(CSPM)」と「実行時の脅威検知(Defender プラン)」という役割の違いがあります。

観点機能要点
誰がアクセスできるかAzure RBAC(推奨)/ アクセスポリシー(旧)最小特権・新規は RBAC
どこからアクセスできるかファイアウォール / プライベートエンドポイントパブリック露出を排除(多層防御)
誤削除からの保護ソフト削除+消去保護保持期間中の完全削除を禁止
ハードコードされた秘密の発見Defender CSPM シークレットスキャン事前の態勢管理(移行を促す)
ボールトへの不審アクセス検知Defender for Key Vault実行時の脅威アラート
補足

RBAC とアクセスポリシーは併用しない: 1つのボールトはどちらか一方の認可モデルで運用します。新規・移行時は Azure RBAC に統一するのが Microsoft の推奨です。

注意

混同に注意:
認可(RBAC/アクセスポリシー)ネットワーク制限(ファイアウォール/プライベートエンドポイント)は別レイヤー——両方必要。
Defender CSPM シークレットスキャン(事前にハードコード秘密を発見)Defender for Key Vault(実行時に不審アクセスを検知)は役割が違う。
ソフト削除(復元可能)消去保護(保持中の完全削除を禁止)を取り違えない。

試験ポイント

要件 → Key Vault 設定」が頻出。例:「ボールトへのアクセスを VNet 内に限定」=プライベートエンドポイント/ファイアウォール、「コードに平文キーがないか調べたい」=Defender CSPM シークレットスキャン、「ボールトへの異常アクセスを検知」=Defender for Key Vault、「誤削除しても復元できるように」=ソフト削除+消去保護、「アクセス権を最小特権で付与」=Azure RBAC。

Key Vault のアクセスモデル(RBAC vs アクセスポリシー)、ネットワーク制限(ファイアウォール/プライベートエンドポイント)、キー/シークレット/証明書のライフサイクル、Defender for Key Vault による検知を表した図。
Key Vault の保護と検知

1.2.5この節のまとめ

  • Key Vault=シークレット/キー/証明書を一元保管・暗号化・監査。コードへの直書きを排除
  • 認可は Azure RBAC(推奨) か アクセスポリシー(旧)。最小特権を徹底
  • ネットワークは ファイアウォール+プライベートエンドポイント でパブリック露出を排除
  • 検知は Defender CSPM シークレットスキャン(事前発見)Defender for Key Vault(実行時検知)ソフト削除+消去保護で復元保証

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 新規の Key Vault でアクセス権を付与する際、Microsoft が推奨し、PIM や条件付きアクセスと統一的に管理できる認可モデルはどれですか?

Q2. Key Vault へのトラフィックを仮想ネットワーク内の private IP 経由のみに限定し、パブリック露出をなくす方法はどれですか?

Q3. VM やコードにハードコードされた平文のシークレット(キーや接続文字列)を事前に発見し、Key Vault への移行を促す機能はどれですか?

Q4. Key Vault への異常なアクセスパターンを実行時に検知してアラートを出すのはどれですか?

Q5. 誤って、または悪意で削除された Key Vault のオブジェクトを保持期間中は完全削除できないようにし、復元を保証する組み合わせはどれですか?

Q6. Key Vault のセキュリティ設計について正しいものはどれですか?

理解度を確認第1章「ID・アクセス・ガバナンスの管理」の問題を解く