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第5章 · ネットワーク管理と高可用性·v1.0.0·更新 2026/7/16·読了目安 約15分

変更要約: 初版

5.3QoSと帯域制御

この節の要点

音声・映像トラフィックの品質を守るためのQoSの必要性、優先度に応じてキューを分ける優先制御(プライオリティキューイング)、送信レートを制御するシェーピングポリシング、標準化された優先度マーキングのDiffServ(DSCP)IntServ、そしてネットワーク全体の破綻を防ぐ輻輳制御を学びます。

同じネットワーク回線をファイル転送とVoIP通話が共有すると、大量のファイル転送トラフィックがVoIPパケットを待たせてしまい、通話が途切れる恐れがあります。QoS(Quality of Service)は、このように性質の異なるトラフィックが混在する状況で、優先すべき通信を優先的に処理するための一連の技術です。この節では、限られた帯域の中で音声・映像の品質をどう保証するかという設計判断を軸に学びます。

5.3.1QoSの必要性

  • ベストエフォート型のIPネットワークは、本来「届く順番・タイミングを保証しない」設計であるため、輻輳時には全トラフィックが平等に遅延・ロスの影響を受ける。しかし音声・映像のようなリアルタイム系トラフィックは遅延・ジッタ・パケットロスに敏感(数百ミリ秒の遅延やロスが体感品質を大きく損なう)な一方、ファイル転送は多少の遅延には耐性がある(最終的に完了すればよい)。この特性差を無視して均等に扱うと、リアルタイム通信の品質が犠牲になる。

5.3.2優先制御(プライオリティキューイング)

  • 優先制御(プライオリティキューイング)=トラフィックを優先度別に複数のキューへ振り分け、高優先度キューを先に処理する方式。厳格優先(Strict Priority)は高優先度キューが空になるまで低優先度キューを一切処理しないため、高優先度トラフィックの品質は最大限守られる一方、高優先度トラフィックが多いと低優先度キューが飢餓状態(スタベーション)に陥るリスクがある。
  • スタベーションを避けたい場合は、各キューに帯域の重み付けを割り当てて処理するWFQ(Weighted Fair Queuing)等の方式を使い、高優先度を優遇しつつも低優先度キューにも一定の処理機会を保証する設計にする。VoIPのように遅延に厳しい要件には厳格優先、業務システム間で複数の重要度が混在する場合はWFQが適する、というようにトラフィックの特性と許容範囲で使い分ける

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