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第7章 · システムアーキテクチャ·v1.0.0·更新 2026/7/7·読了目安 約13分

変更要約: 初版(主題2.13・副主題2.13.1〜2.13.4に対応)

7.4典型的なシステムアーキテクチャ

この節の要点

実務で繰り返し登場する定番構成を学びます。LAMPLAPP(Linux+Apache+MySQL/MariaDB または PostgreSQL+PHP/Perl/Python)の構成要素、Web3層モデルWebサーバーAPサーバーDBサーバーの役割分担)、ロードバランサHA構成DBレプリケーションスケールアウトを組み合わせた冗長構成、プロキシサーバーキャッシュCDNによる高速化、メッセージングキューによる非同期データ処理を押さえます。

これまでの節で学んだHA・スケーラビリティ・クラウド部品は、実際のWebサービスでは特定の定番パターンとして組み合わされます。ここでは、LinuCが長年重視してきたLAMPLAPP構成とWeb3層モデルを軸に、それらを冗長化・高速化するための代表的な組み合わせを整理します。

7.4.1LAMP/LAPP とWeb3層モデル

  • LAMPLinux(OS)+Apache(Webサーバー)+MySQL/MariaDB(DB)+PHP/Perl/Python(アプリ言語)の頭文字。LAPP=DBをPostgreSQLに替えた構成(Linux+Apache+PostgreSQL+PHP/Perl/Python)で、Webサーバーは同じく Apache。両者の違いはDBだけ(MySQL/MariaDB↔PostgreSQL)。いずれも「動作実績が豊富でオープンソースだけで完結する」定番の組み合わせ。
  • Web3層モデル=処理をWebサーバー(静的コンテンツ配信・リクエスト受付)・APサーバー(アプリケーションロジックの実行)・DBサーバー(データの永続化)の3層に分離する設計。層ごとに独立してスケール・冗長化できることが最大の利点(例:Web層だけスケールアウトする、DB層だけ強力なマシンにスケールアップする)。

7.4.2冗長化と高速化の定番構成

  • 冗長化=Web/AP層はロードバランサの配下に複数台を並べスケールアウトする。DB層はDBレプリケーション(マスターと複数のレプリカ。読み取りをレプリカへ分散しつつ、マスター障害時はレプリカへフェイルオーバー)でHA構成を実現する。層ごとに異なる冗長化戦略を使い分ける点がポイント。
  • 高速化=プロキシサーバー(クライアントとサーバーの間に立ち、リクエストを中継。リバースプロキシはサーバー側に立ち負荷分散やSSL終端も担う)、キャッシュ(一度生成した結果を再利用し、同じ処理の重複実行を避ける)、CDN(Content Delivery Network・地理的に分散した拠点から静的コンテンツを配信し、利用者に近い場所から低遅延で応答)。
  • メッセージングキューによる非同期データ処理=画像変換やメール送信、集計処理など即座の応答を必要としない重い処理をキューに投入し、バックエンドのワーカーが順次処理する。Webサーバーは処理完了を待たずに応答を返せるため、利用者が体感する応答速度が向上する。
試験ポイント

「LAMPもLAPPもA=Apacheで、違いはDB(LAMP=MySQL/MariaDB、LAPP=PostgreSQL)」という対応が問われます。「Web3層モデルは層ごとに独立してスケール・冗長化できる」という利点、「DB層の冗長化はレプリケーション(読み取り分散+フェイルオーバー)、Web/AP層の冗長化はロードバランサ+スケールアウト」という層による戦略の違いも頻出です。「キャッシュは結果の再利用、CDNは地理的に分散した配信、非同期キューは即時応答不要な処理の切り離し」という3つの高速化手段の役割の違いも定番の対比です。

実際のサービス構築を追いながら全体像を組み立てましょう。あるブログサービスをLAMP構成(Linux+Apache+MySQL+PHP)で立ち上げたとします。アクセスが増えてWebサーバー1台では遅くなってきたら、Web3層モデルの発想でWeb層とDB層を別マシンに分離し、Web/AP層はロードバランサ配下に複数台を並べてスケールアウトします。この時点でロードバランサ自体がSPoFになるため、ロードバランサも冗長化(アクティブ・スタンバイ構成)しておくのが定石です。DB層は単一のMySQLでは書き込みが集中しボトルネックになるだけでなく単一障害点にもなるため、DBレプリケーションでマスター1台・レプリカ複数台の構成にし、読み取りクエリをレプリカへ分散しつつ、マスターに障害が起きたらレプリカの1台を新マスターへ昇格させるフェイルオーバーを用意します(この昇格の自動化にPacemaker等が使われることもあります)。さらに画像やCSSなどの静的ファイルはCDNから配信して自前サーバーの負荷を減らし、頻繁に読まれるが更新頻度の低いデータ(例:トップページの集計結果)はキャッシュに置いて同じ計算を繰り返さないようにします。ユーザーが投稿した画像のサムネイル生成のような待たせる必要のない重い処理は、メッセージングキューに投入してバックエンドのワーカーが非同期に処理し、Webサーバーは「受け付けました」の応答だけをすぐ返します。こうして、LAMPという素朴な出発点から、層ごとの冗長化・キャッシュ/CDNによる高速化・非同期処理による疎結合化を積み重ねていくのが、実務でもLinuCでも問われる典型的なシステムアーキテクチャの発展の姿です。

層/部品役割代表的な冗長化・高速化策
Webサーバー静的配信・リクエスト受付ロードバランサ+スケールアウト
APサーバーアプリロジック実行ロードバランサ+スケールアウト
DBサーバーデータ永続化レプリケーション+フェイルオーバー
静的コンテンツ配信画像・CSS等の高速配信CDN・キャッシュ
注意

ひっかけ: 「LAPPはApacheをnginxに替えた構成」は誤り=LAPPWebサーバーは Apacheで、LAMPとの違いはDBだけ(LAMPのMySQL/MariaDBをPostgreSQLに替えたのが LAPP)。ApacheをnginxにするのはLEMP等の別構成です。また「DB層もWeb層と同様にロードバランサでスケールアウトするのが標準的な冗長化策」という説明も不正確=DB層はデータの一貫性が絡むため、単純なスケールアウトではなくレプリケーション(マスター/レプリカ構成とフェイルオーバー)が定番の冗長化策です。「CDNはキャッシュと同じもの」という混同も誤り=CDNは地理的に分散した配信網、キャッシュは結果の再利用という別の概念です。

LAMP/LAPPの構成要素、Web3層モデルの層ごとの冗長化戦略、CDN/キャッシュ/非同期キューの役割を示す図。
LAMPとLAPPの違いはDB(MySQL系/PostgreSQL)

7.4.3この節のまとめ

  • LAMP=Linux+Apache+MySQL/MariaDB+PHP/Perl/Python/LAPPはDBがPostgreSQL(Webは同じApache)Web3層モデルは層ごとに独立してスケール・冗長化
  • Web/AP層=ロードバランサ+スケールアウト/DB層=レプリケーション+フェイルオーバーCDN・キャッシュ・非同期キューで高速化と疎結合化

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. LAMP構成とLAPP構成の違いとして正しいのはどれか?

Q2. Web3層モデルにおいて、DB層の冗長化策として最も一般的に用いられるのはどれか?

Q3. ユーザーの操作をすぐに完了応答しつつ、画像のサムネイル生成のような重い処理を後回しでバックエンド処理させたい。適した手法はどれか?

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