第7章 · システムアーキテクチャ·v1.0.0·更新 2026/7/7·読了目安 約11分
変更要約: 初版(主題2.13・副主題2.13.1〜2.13.4に対応)
7.3クラウドサービス上のシステム構成
この節の要点
IaaS(Infrastructure as a Service)を使ったシステム構成の考え方を学びます。エフェメラルストレージと永続化ストレージの違い、固定IPとフローティングIP、テナントネットワークの分離、ファイアウォール・セキュリティグループによる通信制御、オブジェクトストレージ、メッセージングシステム・キュー、オートスケーラーによる自動的な台数調整を押さえます。
自前のデータセンターと違い、IaaSではサーバー・ストレージ・ネットワークの部品がAPI越しに調達できる資源として提供されます。前節までのHA・スケーラビリティの考え方はそのままに、クラウド特有の部品(消えるストレージ、テナント分離、オートスケーラー等)の性質を理解しておくことが実務・試験の両面で欠かせません。
7.3.1ストレージとIPアドレスの種類
- エフェメラルストレージ=インスタンスのライフサイクルに紐づく一時的なストレージ。インスタンスを削除(terminate)するとデータも消える。OSやキャッシュなど「消えても再構築できるもの」を置く。永続化ストレージ=インスタンスとは独立したライフサイクルを持ち、インスタンス削除後もデータが残る(ブロックストレージのボリューム等)。DBデータなど失いたくないものはこちらに置く。
- 固定IP=インスタンスに恒久的に割り当てられたIPアドレス。フローティングIP=インスタンスとは独立して確保し、必要なノードへ後から付け替えられるIPアドレス。障害時に正常なノードへフローティングIPを付け替えることで、IPアドレスを変えずにフェイルオーバーを実現できる。
7.3.2ネットワーク分離と付随サービス
- テナントネットワーク=クラウド事業者の物理設備を複数の利用者(テナント)で共有しつつ、利用者ごとに論理的に分離されたネットワーク空間を提供する仕組み。同居する他社のトラフィックが見えない・混ざらないことが前提。その上でファイアウォールやセキュリティグループ(インスタンス単位で適用する通信許可ルール。多くはステートフルで、許可した通信の戻りは自動的に通す)により、必要な通信だけを許可する。
- オブジェクトストレージ=ファイルをキーと値のペア(オブジェクト)としてHTTP API経由で扱うストレージ(画像・バックアップ・ログ等の大量データに向く。ブロックストレージのようなファイルシステムとしてはマウントしない)。
- メッセージングシステム・キュー=サービス間の連携を非同期に仲介する仕組み。送信側はキューにメッセージを置くだけで、受信側の処理速度や一時的な停止から送信側を切り離す(疎結合化)。オートスケーラー=CPU使用率等のメトリクスに応じてインスタンスの台数を自動的に増減させる仕組み。前節のスケールアウト・インをクラウド上で自動化したもの。

