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第4章 · ハードウェアとインタフェース·v1.0.0·更新 2026/7/10·読了目安 約15分

変更要約: 初版

4.2センサとアクチュエータ

この節の要点

温度・加速度・光などを電気信号に変えるセンサ、電気信号を物理的な動きに変えるアクチュエータ(DCモータ・ステッピングモータサーボモータ)、そしてモータの速度・位置を制御するPWMHブリッジ駆動を学び、要件に応じたセンサ/アクチュエータ選定の判断力を養います。

組込み機器の設計者が「モータを動かす」と一口に言っても、位置決めの精度が必要か、連続回転の速度制御だけでよいか、フィードバック(現在位置の検出)が要るかによって最適なアクチュエータは大きく異なります。センサも同様に、測定対象の物理量・応答速度・消費電力の要求から適切な方式を選ぶ必要があります。この節では、代表的なセンサ・アクチュエータの特性を踏まえ、要件に応じてどれを選び、どう駆動するかを判断する視点を養います。

4.2.1センサの種類と選定

  • 温度センサ(サーミスタ・熱電対・IC温度センサ等)は応答速度・測定範囲・出力形式(アナログ電圧/デジタル)が方式ごとに異なる。加速度センサ(MEMS方式が主流)は振動・傾き・衝撃の検出に使われ、静止時の重力加速度から傾斜角も算出できる。光センサ(フォトダイオード・CdSセル等)は照度検出のほか、近接センサとして物体検出にも応用される。
  • センサ選定で重要なのは「精度が高いほど良い」という単純化ではなく、応答速度・消費電力・コストとのトレードオフを要件に照らして判断すること。例えばバッテリ駆動の間欠動作機器では、常時通電が必要な高精度センサより、必要時のみ起動できる低消費電力なセンサが適することが多い。

4.2.2DCモータ・ステッピングモータ・サーボモータ

  • DCモータ=印加電圧に応じて連続的に回転し、構造が単純で安価・高速回転に向くが、現在の回転角度(位置)をモータ自身は把握できず、位置決めが必要な用途では別途エンコーダ等のフィードバックセンサが必要になる。ステッピングモータ=入力パルス1つごとに一定の角度(ステップ角)だけ回転し、パルス数を数えるだけでフィードバックなしにオープンループで正確な位置決めができるが、脱調(負荷が大きすぎて追従できない)のリスクがあり高速回転や高トルクには不向き。
  • サーボモータ=内部にエンコーダ等の位置センサとフィードバック制御回路を持ち、PID制御などで目標位置・速度に閉ループで追従する。外乱(負荷変動)があっても指令通りの位置・速度を維持できる点でステッピングモータに勝るが、フィードバック回路の分だけ構造が複雑でコストが高い。ロボットアームの関節など高精度かつ外乱耐性が必要な用途に向く。
試験ポイント

「DCモータ=連続回転・安価・位置は自分で分からない」「ステッピングモータ=パルス数で位置決め・オープンループ・脱調リスク」「サーボモータ=フィードバックで閉ループ追従・外乱に強いが高コスト」の3者の使い分けが最頻出です。「位置決めが必要ならステッピングかサーボ」まで判断し、外乱の有無で両者を使い分ける視点まで問われます。

4.2.3PWMとHブリッジ駆動

  • PWM(パルス幅変調)=一定周期の中でHighの時間比率(デューティ比)を変えることで、実効的な電圧・電力を制御する方式。モータの回転速度制御やLEDの明るさ制御に広く使われ、アナログ的な可変電圧回路を使わずデジタル的なオン/オフの高速切替だけで済むため、発熱が少なく効率が良い(スイッチング損失以外は熱として捨てない)。
  • Hブリッジ=4個のスイッチ素子(トランジスタ/FET)をH字型に配置し、モータへの電流の向きを反転できる回路。対角の2素子を組にしてオン/オフすることで正転/逆転/ブレーキ/フリー(惰性回転)の4状態を制御できる。DCモータの正逆転制御には必須の回路で、PWMと組み合わせることで回転方向と速度の両方をデジタル信号だけで制御できる。

あるロボット掃除機の開発チームが、車輪の駆動方式を検討しているとします。まず要件を整理すると、「壁際で正確に90度旋回する」「段差やカーペットの抵抗(外乱)があっても指令通りの速度を維持する」という2つの制約があります。ここでステッピングモータを候補に挙げると、パルス数で正確な回転角を制御できる点は魅力ですが、カーペットの抵抗のような予期しない負荷変動があるとオープンループのため脱調し、位置がずれても検知できないという弱点があります。したがって、フィードバック制御で外乱に追従できるサーボモータ(または、エンコーダ付きDCモータ+PID制御による疑似サーボ構成)を選び、車輪の駆動にはHブリッジ回路でPWM制御して、正転/逆転/ブレーキを電子的に切り替えます。壁際での90度旋回のような一時停止・急な方向転換には、Hブリッジのブレーキモード(対角スイッチを両方オフにするフリーではなく、同じ側の上下スイッチをオンにして電機子を短絡させ急制動する)が有効です。ここで注意すべきひっかけは「PWMのデューティ比を上げればモータの回転位置も正確に制御できる」という誤解です——PWMが制御するのは速度(実効電圧)であり、位置決めの精度はフィードバック(エンコーダ等)の有無で決まる別の軸です。速度制御と位置決め精度を混同すると、外乱下で位置がずれても気づけない設計になってしまいます。

モータ種別位置決め外乱耐性コスト
DCモータ不可(別途エンコーダ要)低い低い
ステッピングモータ可(オープンループ・脱調注意)低い中程度
サーボモータ可(閉ループフィードバック)高い高い
注意

ひっかけ: 「ステッピングモータは必ずサーボモータより高精度である」は誤りです——ステッピングモータはオープンループのため負荷変動があると脱調し実際の位置がずれても検知できないのに対し、サーボモータは閉ループフィードバックで外乱下でも指令位置を維持できます。また「PWMのデューティ比を上げれば位置決め精度も上がる」も誤り=PWMが制御するのは速度(実効電圧)であり、位置決め精度はフィードバックの有無で決まります

センサ入力とモータ駆動の図。
現実世界と接続

4.2.4この節のまとめ

  • センサ選定は精度だけでなく応答速度・消費電力・コストとのトレードオフで判断する
  • DCモータは位置不明・安価、ステッピングモータはオープンループ位置決め、サーボモータは閉ループで外乱に強いが高コスト
  • PWMは速度(実効電圧)を制御、Hブリッジは正転/逆転/ブレーキ/フリーを切り替える——位置決め精度とは別軸

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. ロボット掃除機の車輪駆動で、カーペットの抵抗など予期しない負荷変動があっても指令通りの速度・位置を維持したい。この要件に最も適したモータはどれか。

Q2. DCモータの正転/逆転/ブレーキ/フリーの4状態をデジタル信号のみで制御したい。この目的に必須の回路はどれか。

Q3. モータの回転速度をPWMのデューティ比で制御している設計について、正しい理解はどれか。

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