Instiq
第6章 · セキュリティとコンプライアンス·v2.2.0·更新 2026/6/28·読了目安 約10分

変更要約: in-scope サービス網羅(是正): Network Firewall 節に Web 保護の AWS WAF(L7・SQLi/XSS/レート制限の IaC 適用)を追加(参考書で未説明だった軸B欠落を解消)

6.3データ保護と監査

この節の要点

データの保護と証跡——KMS(暗号化)、保存時/転送時の暗号化CloudTrail(API 監査)、S3 オブジェクトロック/バージョニング証跡の改ざん防止——を理解します。コンプライアンス要件を満たします。

コンプライアンスには暗号化と監査証跡が不可欠です。KMS で暗号化し、CloudTrail で操作を記録、改ざんを防ぎます。

6.3.1暗号化と監査

データ保護と監査を示した図。保存時暗号化は AWS KMS(カスタマー管理キー・エンベロープ暗号化・キーローテーション)で S3/EBS/RDS 等を暗号化し、転送時は TLS、API 操作は CloudTrail で監査ログを記録(組織証跡で全アカウント集約)し、ログや証跡は S3 オブジェクトロック(WORM)とバージョニングで改ざん・削除を防止、Config と組み合わせて暗号化必須などのコンプライアンスを継続評価する構成を示した図。
データ保護と監査
  • KMS:保存時暗号化(エンベロープ暗号化・キーローテーション)。S3/EBS/RDS 等に適用。
  • 転送時暗号化TLS で通信を保護する。
  • CloudTrailAPI 操作を監査。組織証跡で全アカウントを一元集約。
  • オブジェクトロック/バージョニング:ログや証跡を WORM で改ざん・削除から保護。
試験ポイント

「保存時暗号化/鍵管理=KMS(エンベロープ・ローテーション)」「API 監査=CloudTrail(組織証跡)」「証跡の改ざん防止=S3 オブジェクトロック(WORM)+バージョニング」「暗号化必須などの継続評価=Config」 は DOP-C02 で頻出です。CloudTrail ログ自体を保護する設計(専用アカウント+WORM)が問われます。

DOP-C02 では「データ保護と監査証跡を、コンプライアンス要件を満たす形で自動化・保全できるか」が問われます。KMSエンベロープ暗号化(データキーをマスターキーで暗号化)でスケーラブルに保存時暗号化を提供し、S3/EBS/RDS/Secrets Manager 等と統合します。カスタマー管理キー(CMK)キーポリシーでクロスアカウント利用やローテーションを制御でき、用途分離のため複数キーを使います。転送時は TLS で保護し、S3 はバケットポリシーで aws:SecureTransport を必須化できます。監査の CloudTrail管理イベントデータイベントを記録し、組織証跡(organization trail)で全メンバーアカウントの証跡を一元集約します。証跡そのものの保全には、専用のログアーカイブアカウントにログを集め、S3 Object Lock(WORM)+バージョニング+MFA Delete で改ざん・削除を防ぎ、CloudTrail のログファイル整合性検証(ダイジェスト)で改ざんを検出できます。AWS Config は「S3 暗号化必須」「CloudTrail 有効必須」などのルールで継続的にコンプライアンスを評価し、逸脱を自動修復します。設計の要は、証跡を生成元と分離して保護し、暗号化・保持期間・アクセス制御をポリシー(IaC)で強制することです。これにより監査・規制(PCI DSS、HIPAA 等)要件を満たせます。

保護/監査の対象手段要点
保存データの暗号化KMS(CMK)エンベロープ暗号化・キーローテーション
通信の暗号化TLSaws:SecureTransport を必須化
API 操作の監査CloudTrail(組織証跡)管理/データイベント・全アカウント集約
証跡の改ざん防止S3 Object Lock+バージョニングWORM・専用アカウント・整合性検証
補足

シナリオ:監査要件で「全アカウントの API 操作ログを 7 年保管し、管理者でも改ざん・削除できないこと」を満たしたい。→ CloudTrail 組織証跡で全メンバーの証跡を専用ログアーカイブアカウントの S3 へ集約し、Object Lock(コンプライアンスモード)+バージョニングで WORM 保護、ログファイル整合性検証を有効化。アクセスは最小権限に絞り、KMS で暗号化。Config ルールで「CloudTrail 有効・S3 暗号化」を継続評価します。

補足

FAQ:CloudTrail と AWS Config と CloudWatch Logs はどう違う? CloudTrail は「誰が・いつ・どの API を呼んだか」の監査、Config は「リソース構成の状態とコンプライアンス」の評価・記録、CloudWatch Logs は「アプリ/OS が出力する任意のログ」の集約・検索です。監査なら CloudTrail、構成準拠なら Config、アプリログなら CloudWatch Logs、と役割で選びます。

注意

ひっかけ:CloudTrail を「アプリのログ収集」に使うのは誤り——それは CloudWatch Logs です。CloudTrail は API 操作の監査専用。また、証跡を生成元と同じアカウント/誰でも消せる S3 に置くと改ざん耐性がありません。専用アカウント+Object Lock(WORM)で保護するのが正解です。

6.3.2証明書と専用キー管理(ACM・CloudHSM)

転送時の暗号化(TLS)と鍵の保管には、用途で使い分ける専用サービスがあります。Certificate Manager(ACM)は TLS/SSL 証明書のプロビジョニングと自動更新を無料で行い、ELB・CloudFront・API Gateway に統合します。最大の価値は証明書の自動更新で期限切れ事故を防ぐことで、DevOps では「証明書の手動更新漏れによる障害」を構造的に無くせます(ACM 発行証明書は対応サービスに紐づけて使い、エクスポートは不可)。CloudHSM(AWS CloudHSM)は 専有ハードウェアセキュリティモジュール(単一テナント)で、鍵をユーザーが完全に占有・管理します。現行の hsm2m タイプは FIPS 140-3 Level 3 準拠です(旧 hsm1 タイプは FIPS 140-2 Level 3)。通常の鍵管理はマネージドな KMS で十分ですが、規制要件で専有 HSM が必須、または独自の鍵主権・カスタム暗号化アプリ(PKCS#11 等)が必要な場合に CloudHSM を選びます(KMS のカスタムキーストアのバックエンドにもできる)。

6.3.3この節のまとめ

  • 暗号化=KMS(保存時)+TLS(転送時)
  • 監査=CloudTrail(組織証跡)+WORM/バージョニングで保護
  • 証明書=ACM(自動更新で期限切れ防止)/専有HSM=CloudHSM(規制・鍵主権)

進捗の記録にはログインが必要です。

理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 保存データの暗号化キーを一元管理し、エンベロープ暗号化とキーローテーションを使いたい。何を使いますか?

Q2. 監査用の CloudTrail ログ自体を、削除や改ざんから保護したい。どうしますか?

Q3. 組織内の全アカウントの API 操作を、一元的に監査ログとして集約したい。何を使いますか?

理解度を確認第6章「セキュリティとコンプライアンス」の問題を解く

学習の記録を残しませんか

参考書はすべて無料で読めます。無料登録すると、問題集での演習・既読と進捗の記録・間違えた問題の復習・ハイライトが使えます。