第4章 · ネットワークアシュアランス·v1.0.0·更新 2026/7/20·読了目安 約19分
変更要約: 初版
4.2トラフィック可視化と計測(NetFlow・SPAN・IP SLA)
この節の要点
「誰が誰とどれだけ通信したか」を集計するFlexible NetFlow(flow record/flow exporter/flow monitorを定義しインターフェイスに適用)、パケットそのものを複製するSPAN(同一機器)・RSPAN(VLAN経由)・ERSPAN(GREでL3越え)、そして合成トラフィックで到達性/遅延/ジッタを能動計測しトラック連動で経路を切り替えるIP SLAを、「この症状を確定させるにはどの計測手段か」という選定の判断として学びます。
「遅い」「たまに切れる」という曖昧な申告を、再現可能な数値に変えるのが可視化と計測の役割です。ここで重要なのは3つの手段が答えられる問いの種類が違うという点です。NetFlowは「どのホスト対がどれだけ帯域を使ったか」という集計を答えますがパケットの中身は見せません。SPAN/ERSPANは「そのパケットのDSCPやTCPフラグは実際どうなっているか」というパケット単位の事実を見せますが、常時流すと帯域を食います。IP SLAは「利用者がいない時間帯も含めて、この経路の遅延/ジッタ/到達性は継続的にどうか」を能動的に測り、しきい値超過を経路切替というアクションに結びつけられます。障害の問いに対して手段を取り違えないことが、この節の核心です。
4.2.1Flexible NetFlow の3部品
- flow record=何をフローの識別子(キー)にし、何を集計値(非キー)にするかの定義。
match ipv4 source address・match ipv4 destination address・match transport destination-portなどのmatchがキー、collect counter bytes・collect counter packets・collect interface outputなどのcollectが集計値。同じmatch値を持つパケットが1フローにまとめられるため、matchの粒度がそのまま分析の粒度になる(DSCP別に見たいならmatch ipv4 dscpが要る)。 - flow exporter=集めたフローをどこへ送るかの定義。
destination 10.50.0.20・transport udp 2055・source Loopback0・export-protocol netflow-v9(またはIPFIX)を指定する。exporterを定義しても単体では何も起きない点に注意。 - flow monitor=recordとexporterを束ね、キャッシュを持つ実体。
flow monitor MONの下でrecord REC・exporter EXP・cache timeout active 60を指定する。最後にインターフェイスへ適用して初めて計測が始まる=interface GigabitEthernet0/1でip flow monitor MON input(必要ならoutputも)。「設定したのにキャッシュが空」の原因はこの適用漏れが圧倒的に多い。確認はshow flow monitor MON cacheとshow flow exporter statistics。

