Instiq
第1章 · ネットワーク設計の基礎·v2.1.0·更新 2026/6/28·読了目安 約12分

変更要約: in-scope サービス網羅: サービスメッシュ/発見/端末VPN(App Mesh/Cloud Map/Client VPN)を追加

1.1VPC と IP アドレッシングの設計

この節の要点

ネットワーク設計の土台——VPCCIDRサブネット重複しないアドレス計画マルチ AZ——を理解します。最初の設計が後の拡張性と接続性を左右します。

AWS のネットワークは VPC(仮想プライベートクラウド) から始まります。VPC には CIDR ブロック(例 10.0.0.0/16)で IP アドレス範囲を割り当て、その中を サブネットに分けます。

1.1.1CIDR とアドレス計画

VPC と IP アドレッシング設計を示した図。VPC 10.0.0.0/16 の中に AZ-a(パブリック 10.0.0.0/24・プライベート 10.0.10.0/24)と AZ-b(パブリック 10.0.1.0/24・プライベート 10.0.11.0/24)を配置して可用性のためマルチ AZ にし、アドレス設計のルールとしてオンプレミスと重複しない CIDR・将来の拡張余地・IPv4+必要に応じ IPv6 を挙げた図。
VPC と IP アドレッシングの設計
  • CIDR は最初に慎重に決める:後から VPC の主 CIDR は変更できない(追加は可能)。十分広く取り、拡張余地を残す。
  • オンプレミスと重複させない:重複するとピアリングやハイブリッド接続でルーティングが破綻する。
  • サブネットは AZ 単位:1 つのサブネットは 1 つの AZ に属する。可用性のため複数 AZにまたがって配置する。
  • IPv6 は任意で併用:必要なら VPC/サブネットに IPv6 を付与できる(デュアルスタック)。
試験ポイント

「VPC の主 CIDR は後から変更不可(追加のみ可)」「オンプレや他 VPC と CIDR を重複させない」「サブネット=単一 AZ・可用性はマルチ AZ」 は ANS-C01 で頻出です。重複 CIDR は設計段階で必ず排除します。

補足

AWS は各サブネットの先頭 4 つと末尾 1 つ、計 5 個の IP を予約します。小さすぎる /28 サブネットでは使える IP が極端に少なくなる点に注意します。

ANS-C01 のアドレス設計は「将来の接続性を壊さない CIDR 計画」を問います。VPC の主 CIDR は変更不可で、不足時はセカンダリ CIDRを追加します(ただし RFC1918 のブロックや既存 CIDR と重複しない範囲で)。最大の落とし穴は重複 CIDR——オンプレ、他 VPC、買収先、SaaS 接続先と範囲が被ると、ピアリング/Transit Gateway/VPN/Direct Connect でルーティングが成立しないため、組織で IPAM(IP Address Manager)を使ってアドレス空間を一元計画・割当するのが定石です。どうしても重複する相手と接続する場合は PrivateLink(CIDR 非依存)や NAT による重複回避(プライベート NAT/二重 NAT)で回避します。サブネットは AZ 単位で、各サブネットは AWS が5 IP を予約(.0 ネットワーク、.1 ルーター、.2 DNS、.3 予約、末尾ブロードキャスト相当)。DNS は VPC の Route 53 Resolver(.2 リゾルバ)と enableDnsSupport/enableDnsHostnames 属性で制御し、オンプレとの名前解決には Resolver のインバウンド/アウトバウンドエンドポイントを使います。IPv6 はデュアルスタックで付与でき(/56 を VPC、/64 をサブネット)、IPv6 は原則グローバル一意のため NAT 不要、外向き専用は Egress-Only IGW を使います。設計の要は、重複しない CIDR を IPAM で計画し、拡張余地・マルチ AZ・DNS/IPv6 まで見据えて初期設計することです。

設計事項ルール/手段要点
主 CIDR変更不可・セカンダリで追加最初に広めに・重複なし
重複の回避IPAM で一元計画重複はハイブリッド/ピアリングを破壊
重複相手との接続PrivateLink / プライベート NATCIDR 非依存で回避
サブネット/DNS/IPv6AZ 単位・Route 53 Resolver・デュアルスタック予約 5 IP・IPv6 は NAT 不要(EIGW)
補足

シナリオ:複数チームが各自で VPC を作った結果、CIDR が重複し、Transit Gateway で相互接続できない。今後の拡大にも備えたい。→ IPAM で組織のアドレス空間を一元管理し、重複しないプール/割当ルールを定義。既存の重複 VPC は再 CIDR 化(再構築)か、当面は PrivateLink でサービス単位接続して回避。新規 VPC は IPAM から払い出し、十分広い主 CIDR+将来用のセカンダリ余地、マルチ AZ サブネット、必要なら IPv6 デュアルスタックで設計します。

補足

FAQ:CIDR が足りなくなったら? 主 CIDR は変更できないため、セカンダリ CIDR を追加して新しいサブネットを作ります(既存サブネットの拡張ではない)。重複しない範囲を選ぶ必要があり、最初から IPAM で計画しておくと枯渇や重複を避けられます。どうしても重複する相手と接続するなら PrivateLink やプライベート NAT で回避します。

注意

ひっかけ:「VPC が手狭になったので主 CIDR を広げる」という選択肢は誤り——主 CIDR は変更不可で、追加(セカンダリ CIDR)しかできません。また、オンプレと重複する CIDRで VPC を作ると、後から VPN/Direct Connect/ピアリングでルーティングできず作り直しになります。重複は設計段階で IPAM により必ず排除します。

1.1.2この節のまとめ

  • 土台=VPC+CIDR+サブネット、CIDR は広めに・重複なし
  • 可用性=マルチ AZ にサブネットを分散

進捗の記録にはログインが必要です。

理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. オンプレミスと VPN/Direct Connect で接続する予定の新規 VPC を設計しています。アドレス設計で最も重要なのはどれですか?

Q2. VPC を 10.0.0.0/16 で作成した後、その主 CIDR ブロック自体を変更したくなりました。正しい説明はどれですか?

Q3. 高可用性のため、サブネットの配置はどうすべきですか?

理解度を確認第1章「ネットワーク設計の基礎」の問題を解く