変更要約: 初版(主題2.07・副主題2.07.1〜2.07.4に対応)
1.1DHCPサーバーの設定と管理
クライアントへ IP アドレスを自動配布する DHCP サーバーの設定・運用を学びます。dhcpd(ISC DHCP サーバー)と設定ファイル dhcpd.conf、貸与状態を記録する dhcpd.leases、動作確認に使う arp、syslog/systemd ジャーナル でのログ確認、IPv6 環境でルータ広告を配る radvd と radvd.conf を押さえます。
クライアント PC 1台1台に手作業で IP アドレスを設定するのは非現実的です。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーを使えば、クライアントの起動時に IP アドレス・サブネットマスク・デフォルトゲートウェイ・DNS サーバーなどを自動配布できます。202試験ではネットワーククライアント管理の入口として、Linux の代表的な DHCP サーバー実装 dhcpd の設定と運用が問われます。
1.1.1dhcpd.conf によるDHCPサーバーの設定
- dhcpd(ISC DHCP サーバー)は起動時に設定ファイル dhcpd.conf を読み込む。ここに配布対象のサブネット・アドレス範囲(range)・デフォルトゲートウェイ・DNS サーバー・リース期間などを記述する。
- サブネットごとに
subnet ... netmask ... { range ...; option routers ...; option domain-name-servers ...; }のようにブロックを分けて記述し、複数セグメントへの配布を1つの dhcpd で扱える。 - 特定クライアントに常に同じアドレスを渡したい場合は、MAC アドレスをキーにした固定割り当て(host ブロック)を dhcpd.conf に個別記述する。
1.1.2リース管理とログ、IPv6のradvd
- 配布した IP アドレスの貸与状況(クライアントの MAC・貸与開始/満了時刻)は dhcpd.leases に記録される。トラブル時はここを見て誰にどの IP が渡っているかを確認する。
- クライアントが実際にアドレスを取得できたかは、DHCP サーバー側またはクライアント側で arp を使い、IP アドレスと MAC アドレスの対応を確認して裏付けられる。
- dhcpd の起動・リース発行・エラーは syslog(
/var/log/messages等)や systemd ジャーナル(journalctl -u dhcpd)に記録される。設定ミスの切り分けはまずログから。 - IPv6 環境でルータ情報(プレフィックス等)を広告するデーモンが radvd(Router Advertisement Daemon)。設定ファイル radvd.conf に配布するプレフィックスやインタフェースを記述する。
「設定は dhcpd.conf・現在の貸与状況は dhcpd.leases」 の役割分担が最頻出です。「特定クライアントに固定 IP」と来たら dhcpd.conf の host ブロック(MAC 紐付け)、「今どの IP が誰に渡っているか調べたい」と来たら dhcpd.leases、「IPv6 でルータ情報を配りたい」と来たら radvd/radvd.conf を選びます。
実務のトラブルシュートの流れで整理しましょう。「新しいクライアントに IP が配布されない」という相談を受けたら、まず syslog か journalctl -u dhcpd で dhcpd 自体が正常起動しているか、設定ファイルの構文エラーが出ていないかを確認します。次に dhcpd.conf の該当サブネットの range が枯渇していないか、対象セグメントの subnet 定義が漏れていないかを見ます。dhcpd 自体は動いているのにクライアントだけ取得できない場合は、クライアント側で arp を叩いて自分に割り当てられた IP と MAC の対応を確認し、サーバー側の dhcpd.leases でその MAC のエントリの有無・満了時刻を突き合わせます。特定の会議室のプリンタなど「常に同じ IP を持たせたい」機器には、MAC アドレスを鍵にした固定割り当てを dhcpd.conf に追記し、dhcpd を再起動して反映します。IPv6 が絡む環境では、アドレス自動設定のためにルータ広告を出す radvd が別途必要で、radvd.conf にどのインタフェースへどのプレフィックスを流すかを定義します(DHCPv6 とは別の仕組みである点に注意)。
| 要素 | 役割 | 要点 |
|---|---|---|
| dhcpd.conf | DHCP サーバーの設定 | subnet/range/固定割り当てを記述 |
| dhcpd.leases | 現在の貸与状況 | MAC・IP・満了時刻を記録 |
| arp | IP-MAC対応の確認 | 配布結果の裏付けに使う |
| radvd / radvd.conf | IPv6 ルータ広告 | DHCPv6 とは別のIPv6アドレス配布経路 |
ひっかけ: 「特定クライアントを固定 IP にするには dhcpd.leases を編集する」は誤りです。dhcpd.leases は現在の状態が自動記録されるファイルで、恒久的な設定を書く場所ではありません。固定割り当てはdhcpd.conf の host ブロックで行います。また「radvd は DHCP のログを出力する」も誤り=radvd は IPv6 ルータ広告の専用デーモンで dhcpd のログとは無関係です。
1.1.3この節のまとめ
- 設定=dhcpd.conf(subnet/range/固定割り当て)/現在の貸与=dhcpd.leases。確認は arp・ログは syslog/journal
- IPv6 のルータ広告は radvd/radvd.conf(DHCPv6 とは別経路)
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. 社内 LAN の DHCP サーバーで、特定の複合機(MAC アドレス既知)には常に同じ IP アドレスを配布したい。設定として適切なのはどれ?
Q2. DHCP サーバーが起動しているはずなのに、あるクライアントだけ IP アドレスを取得できないという報告を受けた。切り分けの初手として適切な組み合わせはどれ?
Q3. IPv6 のみで構成されたセグメントで、ルータのアドレス情報(プレフィックス等)をクライアントへ自動的に広告したい。使用するデーモンと設定ファイルの組み合わせで正しいのはどれ?

