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第2章 · マネジメント系·v1.0.0·更新 2026/7/8·読了目安 約12分

変更要約: 初版(マネジメント系・システム開発〜システム監査)

2.3プロジェクトマネジメント

この節の要点

プロジェクトを計画的に遂行するための知識体系であるPMBOKの考え方と、スコープ管理スケジュール管理WBSアローダイアグラムクリティカルパス)・コスト管理品質管理リスク管理ステークホルダ管理を学びます。

システム開発は「期限内に」「予算内で」「求められた品質で」終わらせる必要があります。この3つを同時に管理し、プロジェクトを目的どおりに完遂させるための考え方・技法がプロジェクトマネジメントです。

2.3.1PMBOKとスコープ・スケジュール管理

  • PMBOK=プロジェクトマネジメントの知識を体系的にまとめた、世界的に広く参照される知識体系(ガイド)。特定の手法を強制するものではなく、スコープ・スケジュール・コストなど複数の管理領域に整理されています。
  • スコープ管理=プロジェクトで何を行い、何を行わないか(作業範囲)を明確にし、それを維持する管理領域。範囲があいまいだと、依頼が際限なく増える「スコープクリープ」が起きやすくなります。
  • WBS(作業分解構成図)=プロジェクトの作業を、管理しやすい単位まで階層的に分解した図。これにより作業の抜け漏れを防ぎ、各作業の担当・期間を割り当てやすくします。
  • アローダイアグラム=作業の前後関係(依存関係)を矢印で表した図で、各経路の所要日数からクリティカルパス(最も時間のかかる経路=プロジェクト全体の最短所要日数を決める経路)を求められます。クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了が遅れます。

2.3.2コスト・品質・リスク・ステークホルダ管理

  • コスト管理=予算内でプロジェクトを完遂できるよう、費用を見積もり・配分し、実績と比較して管理する領域。品質管理=成果物が要求された品質基準を満たすよう計画・確認する領域。
  • リスク管理=将来プロジェクトに悪影響(あるいは好影響)を与えうる不確実な事象をあらかじめ洗い出し、発生確率や影響度を評価し、対応策を準備しておく領域。
  • ステークホルダ管理=発注者・利用者・経営層・協力会社など、プロジェクトに利害関係を持つすべての関係者を特定し、その期待や影響力を把握して適切にコミュニケーションを取る領域。
試験ポイント

「PMBOKはプロジェクトマネジメントの知識体系」「WBSは作業を階層的に分解した図」「クリティカルパスは最も時間のかかる経路で、ここが遅れるとプロジェクト全体が遅れる」「リスク管理は事前に洗い出して備える」が最頻出です。クリティカルパスの所要日数の計算問題が定番で出ます。

新しい社内ポータルサイトの開発プロジェクトを例に見てみます。プロジェクト開始時、まず「どの機能を作り、何は今回の対象外か」を関係者間で合意しスコープ管理として文書化します。ここが曖昧なままだと、後から「ついでにこの機能も」という依頼が積み重なるスコープクリープが発生し、期限や予算を圧迫します。次に、決まった作業範囲を「要件定義」「画面設計」「実装」「テスト」というように階層的に分解したWBSを作成し、それぞれに担当者と見積り期間を割り振ります。さらに各作業の前後関係(例えば「画面設計が終わらないと実装は始められない」)をアローダイアグラムで表すと、複数の経路のうち最も時間のかかるクリティカルパスが見えてきます。たとえば「要件定義(5日)→画面設計(10日)→実装(15日)→システムテスト(10日)」という経路の合計40日が他のどの経路よりも長ければ、これがクリティカルパスであり、途中の画面設計が3日遅れれば、他の作業が予定どおりでもプロジェクト全体の完了が3日遅れる、という関係になります。並行して、予算超過を防ぐためのコスト管理、納品物が定めた基準を満たすかを確認する品質管理を進めます。加えて、プロジェクト開始前の段階で「主要メンバーが途中で異動する可能性がある」といった不確実な事象を洗い出しておくリスク管理を行い、影響が大きいものには代替要員の確保などの対応策をあらかじめ準備します。最後に、経営層への進捗報告のタイミングや、利用部門への説明会の開催なども、ステークホルダ管理の一環として計画に組み込みます。

管理領域主な目的代表的な技法
スコープ管理作業範囲を明確化・維持スコープクリープの防止
スケジュール管理期限内の完了WBS・アローダイアグラム・クリティカルパス
リスク管理不確実な事象への備え事前の洗い出しと評価
注意

ひっかけ: 「クリティカルパスとは、最も時間の短い経路のことである」は誤りです。クリティカルパス最も時間のかかる(最長の)経路で、これがプロジェクト全体の最短所要日数を決めます。また「リスク管理は問題が実際に発生してから対応を検討する活動」も誤り=リスク管理は問題が起きる前にあらかじめ洗い出し・評価・対応策の準備を行う活動です。「WBSは作業の前後関係を矢印で表した図」という説明も誤り=それはアローダイアグラムの説明で、WBSは作業を階層的に分解した図です。

PM=スコープ(WBS)・スケジュール(クリティカルパス)・コスト・リスクの図。
QCD+リスクを計画・監視する

2.3.3この節のまとめ

  • PMBOKはプロジェクトマネジメントの知識体系。スコープ管理で作業範囲を明確にしスコープクリープを防ぐ
  • WBSは作業の階層的分解。アローダイアグラムで前後関係を表しクリティカルパス(最長経路)がプロジェクト全体の所要日数を決める
  • リスク管理は事前の洗い出しと備え。ステークホルダ管理は利害関係者全員の期待を把握しコミュニケーションを取る

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. アローダイアグラムにおいて、複数の経路のうち最も時間のかかる経路のことを何と呼ぶか。

Q2. プロジェクトの作業を、担当や期間を割り当てやすい単位まで階層的に分解した図はどれか。

Q3. プロジェクトに悪影響を与えうる不確実な事象を、問題が発生する前にあらかじめ洗い出し評価しておく活動はどれか。

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