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第6章 · IoT・機能安全・低消費電力·v1.0.0·更新 2026/7/10·読了目安 約17分

変更要約: 初版

6.2低消費電力設計

この節の要点

CPUを止めて消費電力を落とすスリープディープスリープ、不要な回路への動作クロックを止めるクロックゲーティング、処理負荷に応じて電圧・周波数を動的に下げるDVFS、普段は休止し必要な時だけ起きて通信する間欠動作、そしてこれらを踏まえた平均電流と電池寿命の見積りを学びます。

電池駆動のIoT機器で「電池交換なしで何年動かせるか」を左右するのは、平均消費電流に尽きます。組込み設計者には、常時フル稼働させるのではなく、必要な瞬間だけ電力を使い、それ以外は徹底的に電力を落とす設計判断と、その結果を平均電流・電池寿命として数値で見積もり要件を満たすか検証する能力が求められます。

6.2.1スリープ・ディープスリープとクロックゲーティング

  • スリープ=CPUのクロック供給を止めて命令実行を停止するが、周辺回路やRAMの内容は保持し、割込みが発生すれば速やかに復帰できる低消費電力モード。ディープスリープ=CPUに加え多くの周辺回路への電源供給自体を止める、より深い低消費電力モード。消費電力はスリープより格段に低いが、復帰(ウェイクアップ)に時間がかかり、RAM内容が失われる場合もあるトレードオフを伴う。
  • クロックゲーティング=使用していない回路ブロックへの動作クロック供給を個別に止める省電力技術。回路自体は電源が入ったままでも、クロックが止まればその回路のスイッチング動作(=動的消費電力)はほぼゼロになる。必要な回路だけクロックを供給し続けることで、全体を止めずにきめ細かく電力を削減できる。

6.2.2DVFSと間欠動作

  • DVFS(Dynamic Voltage and Frequency Scaling)=処理負荷が軽いときは動作電圧とクロック周波数を動的に下げ、負荷が重いときだけ引き上げる制御。CPUの消費電力は概ね電圧の2乗×周波数に比例して増えるため、性能に余裕がある局面で電圧・周波数を下げることは、常時最高性能で動かすより大幅な消費電力削減につながる。
  • 間欠動作=普段はディープスリープ等で休止し、あらかじめ決めた周期(例:10秒ごと)だけ短時間起床してセンサ測定・無線送信を行い、終わればまた休止する動作方式。起床時間の割合(デューティ比)を小さくするほど平均消費電流は下がるが、起床間隔を延ばしすぎるとデータの鮮度やリアルタイム性が損なわれるトレードオフがある。

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