第6章 · 自動化とAI·v1.0.0·更新 2026/7/20·読了目安 約19分
変更要約: 初版
6.4EEMとオーケストレーション
この節の要点
機器上で自律的に動くEEM(Embedded Event Manager)のアプレットを、event(何をトリガとするか=syslogパターン/タイマ/CLI)とaction(何を実行するか)の対で読み解き、設定・トラブルシュート・データ収集の自動化に使えるようにします。あわせて外部からの構成管理を、エージェント型(Puppet/Chef=常駐エージェントがプル)とエージェントレス型(Ansible=SSHでプッシュ)として比較します。
自動化には機器の中で完結するものと外部から機器を統制するものの2系統があり、ENCORはこの両方を扱います。前者の代表がEEMで、機器自身が「特定の出来事が起きたら、この処理を実行する」というルールを持ち、外部サーバや人の介在なしに動くのが特徴です。深夜に一瞬だけ発生してすぐ消える障害の情報を採る、といった人が張り付けない場面で威力を発揮します。後者が構成管理ツールで、ここではエージェントを常駐させるか否かという設計上の分かれ道が問われます。どちらも「便利な道具」ではなく、要件(自律性が要るか・大規模な標準化が要るか・機器にソフトを入れられるか)から選ぶ対象として捉えます。
6.4.1EEMアプレット:eventとactionの対
- EEM(Embedded Event Manager)はIOS/IOS XE上で動く機器内蔵の自動化機構で、アプレットは
event manager applet <名前>で定義する。中身は必ずevent(いつ発火するか)とaction(何をするか)の対で構成され、actionには番号(実行順を決めるラベル)を付ける——番号は昇順に実行されるため、action 1.0→action 2.0のように並べる。外部サーバに依存せず機器単独で完結する点が最大の特徴。 - トリガ(event)の代表は3つ。
event syslog pattern "..."=指定した正規表現に一致するsyslogが出た瞬間に発火(例:インタフェースのdown、隣接関係の喪失)。event timer cron/event timer watchdog=時刻や周期で発火(定期的なデータ収集向け)。event cli pattern "..."=特定のCLIコマンドが入力されたときに発火(危険なコマンドの記録や抑止)。「何をきっかけにしたいか」でこの3つを引き分ける。 - 処理(action)の代表は、
action 1.0 cli command "..."(機器上でCLIを実行——showによる情報採取や設定投入)、action 2.0 syslog msg "..."(自前のログを残す)、action 3.0 mail ...(通知)など。設定変更を伴うCLIを実行するにはcli command "enable"で特権に上がり、configure terminalに入るという手順をactionとして順に書く必要があり、アプレットにevent manager session cli username <user>等の実行権限の考慮も要る。

