第5章 · セキュリティ·v1.0.0·更新 2026/7/20·読了目安 約18分
変更要約: 初版
5.1デバイスアクセス制御(lines・ローカル認証・AAA)
この節の要点
line vty/line console へのローカルユーザ認証の適用と、AAA(認証/認可/アカウンティング)による集中制御を学びます。TACACS+(TCP 49・AAAを分離・パケット全体を暗号化)とRADIUS(UDP 1812/1813・認証と認可を統合・パスワードのみ暗号化)の違いを、「誰にどのコマンドまで許すか」「サーバ障害時に締め出されないか」という設計判断として整理します。
ネットワーク機器のセキュリティは、通過するトラフィックを守る前に機器そのものへのアクセスを守るところから始まります。特権パスワードを共有し全員が同じ enable を叩く運用では、誰が何をしたか追えず、退職者のアカウント失効もできません。ENCOR ではこの領域を、「lines(コンソール/VTY)にどの認証方式を紐づけるか」「AAA サーバをどう選び、落ちたときどう振る舞わせるか」「特権レベルやコマンド認可をどこで切るか」という運用設計として問われます。単に username を作るコマンドではなく、設定を投入した瞬間に自分が締め出されないかまで読み切る判断が本質です。
5.1.1lines とローカルユーザ認証
- 機器への管理アクセスはline(回線)単位で制御する。物理接続の
line console 0、リモートのline vty 0 15、補助ポートのline aux 0があり、それぞれ独立に認証方式を設定する。line vty 0 15にlogin localを設定すると、username ADMIN privilege 15 secret <pass>で定義したローカルユーザデータベースのユーザ名+パスワードで認証される。loginのみ(password併用)だとユーザ名のない共有パスワードになり、監査証跡が残らない。 - パスワード保存は
secret(不可逆ハッシュ)を使い、password(可逆な Type 7 の弱い難読化)は避ける。enable secretで特権 EXEC を保護し、service password-encryptionは Type 7 の難読化にすぎず強度の担保にはならない点に注意する。VTY にはtransport input sshを設定して平文の Telnet を禁止し、ip ssh version 2と RSA 鍵(crypto key generate rsa modulus 2048)を用意する。 - VTY への到達自体を絞るには、管理セグメントだけを許す ACL を
access-class <ACL> inで line に適用する(インタフェース ACL ではなく line 配下に当てるのがポイント)。加えてexec-timeout 5 0で放置セッションを切り、login block-for系でブルートフォースを抑制する。

