変更要約: 初版
1.5プログラミングとAI基礎
プログラム言語のパラダイムとデータ形式(XML/JSON)、機械学習(教師あり/教師なし/強化学習)と深層学習、画像認識で使われるCNN、生成AIとLLM(大規模言語モデル)、そして人間の言語をコンピュータで扱う自然言語処理を学びます。
第1章の最後に、実務でシステム間のデータをやり取りするデータ形式の基礎と、近年のIT業界で急速に存在感を増したAI技術の基礎を学びます。AP試験のシラバスVer.7.2では、機械学習・深層学習・生成AI・LLMが独立したトピックとして明確に扱われており、仕組みを正しく理解し、過度な期待や誤解を避ける視点が問われます。
1.5.1プログラム言語とデータ形式
- プログラム言語のパラダイムには、手続きを順に実行する手続き型、データと処理をオブジェクトにまとめるオブジェクト指向、数学的関数の適用として計算を表す関数型などがある。用途や設計思想に応じて選ばれる。
- XML=タグで階層構造を表すマークアップ言語。厳密なスキーマ定義(XML Schema)が可能で企業間のデータ交換等に使われる。JSON=キーと値の組で軽量にデータを表す形式。Web APIのデータ交換で主流であり、XMLよりも記述が簡潔で人間にも読みやすい。
1.5.2機械学習と深層学習
- 機械学習=データからパターンやルールを自動的に学習する技術。教師あり学習(正解ラベル付きデータで学習・分類/回帰)、教師なし学習(正解ラベルなしでデータの構造を発見・クラスタリング等)、強化学習(試行錯誤への報酬で方策を最適化)の3種に大別される。
- 深層学習(ディープラーニング)=多層のニューラルネットワークを用いた機械学習の一分野。層を重ねることで、生データから人手による特徴量設計なしに複雑な特徴を自動抽出できる点が従来の機械学習との大きな違い。
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク)=畳み込み層でフィルタを使い局所的な特徴(画像のエッジ・模様等)を抽出し、プーリング層で情報を圧縮しながら階層的に特徴を捉える深層学習モデル。画像認識・画像分類に強い。
「教師あり=ラベルあり(分類/回帰)」「教師なし=ラベルなし(クラスタリング)」「強化学習=報酬で方策を最適化」「深層学習=多層ニューラルネットワーク」「CNN=画像認識に強い(畳み込み+プーリング)」の対応が最頻出です。生成AI/LLMは次の段落の仕組みと限界の理解が問われます。
1.5.3生成AIとLLM
- 生成AI=学習データのパターンを基に、テキスト・画像・音声など新しいコンテンツを生成するAI技術の総称。LLM(大規模言語モデル)=大量のテキストデータで学習した、Transformerアーキテクチャを基盤とする言語モデルで、文章生成・要約・翻訳・対話などを行う。
- LLMは統計的に「もっともらしい」文章を生成する仕組みのため、事実と異なる内容を自信ありげに生成するハルシネーション(幻覚)のリスクがある。業務利用では出力の事実確認(ファクトチェック)や根拠データの参照(RAG等)による補強が重要。
1.5.4自然言語処理
- 自然言語処理(NLP)=人間が日常的に使う言語をコンピュータで解析・生成する技術分野。文を単語などの最小単位に分割する形態素解析、単語や文を数値ベクトルとして扱う分散表現(埋め込み)などが基礎技術で、LLMもNLPの発展形の一つ。
ある製造業の企業が、工場の画像から不良品を自動検知するシステムと、社内問い合わせ対応を自動化するチャットボットを同時に導入する場面を考えます。不良品検知にはCNNが適しています——製品画像の局所的な特徴(傷・欠け・色むら等)を畳み込み層で捉え、プーリング層で情報を圧縮しながら「不良品らしいパターン」を学習でき、この学習は正常品/不良品のラベル付きデータを使う教師あり学習として行われます。一方、問い合わせ対応チャットボットには社内文書を学習根拠としたLLMベースのシステムが適していますが、そのまま導入すると社内規定にない内容をハルシネーションとして自信満々に回答してしまうリスクがあります。この対策として、質問に関連する社内文書を検索し、それを根拠としてLLMに回答を生成させるRAG(検索拡張生成)の仕組みを組み込むことで、事実に基づく回答の確度を高めるという設計判断が必要になります。さらに、これらAIモデル間のデータ連携では、不良品検知結果を他システムへ通知する際に軽量なJSON形式のAPIレスポンスを使い、逆に厳格なスキーマ検証が必要な基幹システムとの連携にはXMLを使う、というように用途に応じたデータ形式の使い分けも実務上の判断ポイントです。
| 学習方式 | データの性質 | 代表的なタスク |
|---|---|---|
| 教師あり学習 | 正解ラベルあり | 分類・回帰(不良品検知等) |
| 教師なし学習 | 正解ラベルなし | クラスタリング・異常検知 |
| 強化学習 | 報酬信号による試行錯誤 | 方策最適化(ゲームAI・制御等) |
ひっかけ: 「生成AI(LLM)は常に事実に基づいた正確な回答を返す」は誤りです——LLMは統計的にもっともらしい文章を生成する仕組みであり、ハルシネーション(事実と異なる内容の自信ありげな生成)のリスクを常に伴うため、重要な業務判断には根拠データの参照や人間による検証が必要です。また「教師なし学習は正解ラベルを必要とする」も誤り=教師なし学習はラベルなしデータからパターンを発見する手法です(ラベルが必要なのは教師あり学習)。
1.5.5この節のまとめ
- JSONは軽量でWeb API主流、XMLは厳密なスキーマ検証向き。用途で使い分ける
- 教師あり/教師なし/強化学習の違いとラベルの有無、深層学習は多層NN、CNNは画像認識に強い
- LLM/生成AIは統計的に尤もらしい文を生成するためハルシネーションのリスクがあり、RAG等の根拠付けで補強する
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. 正解ラベルが付与されていない大量の顧客データから、似た性質を持つ顧客グループを自動的に発見したい。最も適した学習方式はどれか。
Q2. 社内文書に基づいて回答する業務チャットボットにLLMを導入したところ、社内規定にない内容を自信ありげに回答することがあった。この現象への対策として最も適切なものはどれか。
Q3. Web APIでシステム間のデータをやり取りする際、軽量で記述が簡潔なため近年主流となっているデータ形式はどれか。

