変更要約: in-scope サービス網羅: 自動スケーリング(EC2 Auto Scaling)・アプリ統合(MQ/Step Functions/AppSync/AppFlow)・移行/転送(Application Migration Service/DMS/DataSync/Transfer Family/Snow Family)・ハイブリッド接続(Direct Connect/Site-to-Site VPN/Client VPN/Transit Gateway/PrivateLink)を各節に追加
2.3バックアップとディザスタリカバリ
バックアップ/スナップショット、RTO と RPO、マルチリージョンでのフェイルオーバー(Route 53)など、災害からの回復を設計する考え方を理解します。
回復性には、障害発生後に どれだけ早く復旧し(RTO)、どれだけのデータ損失を許容するか(RPO) を決め、それに見合うバックアップ/DR を設計することが含まれます。
2.3.1バックアップと DR の要素
- バックアップ/スナップショット:EBS スナップショット・RDS 自動バックアップ・S3 バージョニング/クロスリージョンレプリケーションでデータを保護。
- RTO(目標復旧時間):どれだけ早く復旧するか。RPO(目標復旧時点):どこまで遡って復旧できるか=許容データ損失。
- DR 戦略の4段階:バックアップ&リストア(安・遅)→パイロットライト→ウォームスタンバイ→マルチサイト(高・速)。RTO/RPO が短いほど高コスト。
- マルチリージョン:Route 53 のヘルスチェック+フェイルオーバールーティングで別リージョンへ切り替える。
DR(災害復旧)の設計は、まず RTO(どれだけ早く戻すか)と RPO(どこまでのデータ損失を許せるか) をビジネス要件として決め、それに見合う戦略を選ぶことから始まります。AWS の代表的な4戦略は、コストと復旧速度のトレードオフで並びます:バックアップ&リストア(最安・最遅)、パイロットライト(最小限を常時起動)、ウォームスタンバイ(縮小版を常時稼働)、マルチサイト/ホットスタンバイ(フル稼働・最速)。RTO/RPO を短くするほど常時稼働するリソースが増え高コストになります。リージョン全体の障害に備えるなら、データをクロスリージョンレプリケーションで複製し、Route 53 のヘルスチェック+フェイルオーバールーティングで別リージョンへ自動切替します。
| DR 戦略 | 常時稼働 | RTO/RPO・コスト |
|---|---|---|
| バックアップ&リストア | なし(必要時に復元) | 長い・最安 |
| パイロットライト | 最小限(DBのみ等) | 中 |
| ウォームスタンバイ | 縮小版を稼働 | 短い |
| マルチサイト | フル稼働 | 最短・最高コスト |
シナリオ:要件に合う DR を選ぶ。 「数時間の停止と直近のバックアップ時点までのデータ損失は許容」ならバックアップ&リストアで十分(低コスト)。「数分以内に復旧、ほぼデータ損失なし」が必須ならウォームスタンバイ〜マルチサイト+クロスリージョンレプリケーション+Route 53 フェイルオーバー。RTO/RPO の要件から逆算して、過剰投資を避けつつ満たします。
混同に注意:
①RTO=復旧の速さ(時間)/RPO=どこまで遡れるか(データ損失)——取り違えない。
②RTO/RPO を短くするほどコスト増(4戦略のトレードオフ)。
③Route 53=DNS レベルのフェイルオーバー(リージョン切替)。
④S3 のクロスリージョンレプリケーション/バージョニングでデータ保護。
Q. RTO と RPO の違いは? RTO は「どれだけ早く復旧するか(時間軸)」、RPO は「どの時点まで戻せるか=許容データ損失」。Q. DR 戦略はどう選ぶ? 許容ダウンタイム/データ損失(RTO/RPO)とコストのバランスで、バックアップ&リストア〜マルチサイトから選ぶ。Q. リージョン障害への備えは? クロスリージョンレプリケーション+Route 53 フェイルオーバー。
「RTO=復旧の速さ/RPO=許容データ損失」の区別、4つの DR 戦略(バックアップ&リストア〜マルチサイト)のコスト/速度トレードオフ、Route 53 フェイルオーバールーティング、S3 バージョニング/クロスリージョンレプリケーションは SAA で頻出です。
2.3.2その他の主要 in-scope サービス(移行・転送・ハイブリッド接続)
バックアップ/DR や移行では、データとサーバーを AWS へ運ぶサービス群が要になります。AWS Application Migration Service はオンプレのサーバーをそのまま(リフト&シフト)AWS へ移行、AWS Database Migration Service(DMS)は稼働中のデータベースを最小停止で移行(異種 DB 間も可)。AWS DataSync はオンプレと AWS(S3/EFS/FSx)間の大量ファイルを高速・自動転送、AWS Transfer Family はSFTP/FTPS/FTP で S3/EFS へファイル転送する既存ワークフロー向け。回線が細い/オフラインで大容量を運ぶなら AWS Snow Family(物理デバイスでデータ搬送)を使います。
ハイブリッド/マルチ VPC の接続には次を使い分けます。AWS Direct Connect は専用線でオンプレと AWS を低遅延・安定帯域で接続(VPN よりも一貫した性能)。AWS Site-to-Site VPN はインターネット経由の暗号化トンネルでオンプレと VPC を接続(迅速・低コスト)。AWS Client VPN は個々の利用者の端末から VPC への安全なリモートアクセス。AWS Transit Gateway は多数の VPC とオンプレをハブ&スポークで一元接続、AWS PrivateLink はインターネットを介さず VPC からサービスへプライベート接続(インターフェースエンドポイント)するときに選びます。
| やりたいこと | サービス |
|---|---|
| オンプレのサーバーを AWS へ移行 | AWS Application Migration Service |
| 稼働中の DB を最小停止で移行 | AWS Database Migration Service |
| 大量ファイルの高速転送 | AWS DataSync |
| SFTP/FTPS で S3/EFS へ転送 | AWS Transfer Family |
| オフライン/大容量の物理搬送 | AWS Snow Family |
| 専用線で安定接続 | AWS Direct Connect |
| 暗号化トンネルでオンプレ接続 | AWS Site-to-Site VPN |
| 利用者端末からのリモート接続 | AWS Client VPN |
| 多数 VPC のハブ接続 | AWS Transit Gateway |
| サービスへのプライベート接続 | AWS PrivateLink |
2.3.3この節のまとめ
- RTO(復旧の速さ)/RPO(許容データ損失) を要件として決め、見合う DR を設計
- 4戦略(バックアップ&リストア〜マルチサイト)+Route 53 マルチリージョンフェイルオーバー+S3 レプリケーション
進捗の記録にはログインが必要です。
理解度チェック
(軽い確認用)Q1. 「障害後にどれだけ早く復旧する必要があるか」を表す指標はどれですか?
Q2. 「どれだけのデータ損失を許容できるか」を表す指標はどれですか?
Q3. 別リージョンへ自動的に切り替える(フェイルオーバー)のに役立つ AWS サービスはどれですか?

