第4章 · 非機能設計·v1.0.0·更新 2026/7/11·読了目安 約17分
変更要約: 初版
4.2信頼性設計
この節の要点
システムの信頼性を測るRASISの5指標、直列/並列構成での稼働率計算、そして障害時の振る舞いを規定するフォールトトレラント・フェールソフト・フェールセーフの違いを、コストと信頼性のトレードオフ判断を通じて学びます。
システムアーキテクトが冗長化を設計するとき、「二重化すれば安心」という単純な発想では不十分です。構成要素をどうつなぐか(直列か並列か)によって、全体の稼働率はまったく異なる式で決まるからです。さらに、障害が発生した瞬間にシステムがどう振る舞うべきか(機能を維持し続けるのか、機能を縮退させるのか、安全側に停止するのか)は、業務要件によって最適解が変わります。この節では、RASISの各指標、稼働率の直列/並列計算、そして障害時の振る舞いの3類型を踏まえ、目標とする信頼性・可用性をコストと天秤にかけてどう構成を選ぶかを判断する力を養います。
4.2.1RASISの5指標
- RASIS=システムの信頼性を多面的に評価する5指標の頭文字。Reliability(信頼性)=故障の起こりにくさ(平均故障間隔MTBFで測る)。Availability(可用性)=必要なときに使える度合い(稼働率で測る)。Serviceability(保守性)=故障からの復旧しやすさ(平均修理時間MTTRで測る)。Integrity(保全性)=データが矛盾なく正しく保たれる度合い。Security(安全性)=不正アクセスや情報漏えいへの耐性。
- アーキテクトの実務では、RASISの5指標を均等に最大化しようとするのではなく、業務要件に応じてどの指標を優先するかを判断する。例えば決済システムでは保全性(データの正しさ)と可用性を最優先し、社内向け軽微なツールでは保守性(安価に直せること)を優先するといった具合に、トレードオフの中で優先順位を明示することが設計判断の核になる。

