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3.3モデルの評価指標
良し悪しを測る——混同行列、適合率/再現率/F1、ROC-AUC、回帰指標(RMSE/MAE/R²)、不均衡時の指標選択——を理解します。目的に合う指標で評価します。
モデルの良し悪しは適切な指標で測ります。分類と回帰で指標が異なり、特にクラス不均衡では正解率(accuracy)が当てにならない点が重要です。
3.3.1分類と回帰の指標
- 適合率(Precision):陽性と予測したうち本当に陽性の割合。誤検知が高コストなら重視。
- 再現率(Recall):実際の陽性のうち検出できた割合。見逃しが致命的(不正/病気)なら重視。
- F1 / ROC-AUC:F1 は適合率と再現率の調和平均、AUC はしきい値に依存しない総合指標。
- 回帰指標:RMSE(大きな誤差を強く罰する)/MAE/R²。不均衡分類では accuracy を避ける。
「見逃しを減らしたい(不正検知/病気)=再現率重視」「誤検知を減らしたい=適合率重視」「不均衡データで accuracy は不適切→F1/AUC」「大きな誤差を強く罰す=RMSE」 は MLS-C01 で頻出です。99% が陰性のデータでは「全部陰性」でも accuracy 99% になり無意味、が定番の例です。
MLS-C01 では「指標とビジネスコストの結びつけ」「しきい値調整」「ROC と PR の使い分け」が深く問われます。分類器の多くは確率を出力し、判定しきい値を動かすと適合率と再現率がトレードオフします(しきい値を下げると再現率↑・適合率↓)。このトレードオフ全体を見る曲線が ROC 曲線(横軸 FPR・縦軸 TPR)とその下面積 AUC ですが、強い不均衡では ROC-AUC は楽観的に見えやすく、PR 曲線(適合率-再現率)と PR-AUC の方が実態を反映します。指標選択はコストで決め、見逃し(偽陰性)が致命的な医療診断・不正検知では再現率、誤検知(偽陽性)のコストが高いスパム判定・与信では適合率を優先し、両者のバランスが要るなら F1、偽陽性と偽陰性のコスト比が偏るなら F-beta(βで再現率/適合率の重みを変える)を使います。多クラスでは macro 平均(各クラス均等)と weighted 平均(件数加重)を区別します。回帰では、RMSE(誤差を二乗=大きな外れを強く罰する・単位は目的変数と同じ)、MAE(絶対誤差・外れ値に頑健)、MAPE(割合誤差・スケール非依存だが 0 付近で不安定)、R²(説明分散の割合)を、外れ値の扱いや解釈性で選びます。評価は必ず学習に使っていないホールドアウト/交差検証で行い、しきい値も検証データで決めてテストで確認します。SageMaker では学習中に objective metric を CloudWatch に出し、AMT がそれを最大化/最小化するよう探索します。
| 状況/目的 | 使う指標 | 理由 |
|---|---|---|
| 見逃しが致命的(不正/病気) | 再現率(Recall) | 実陽性の取りこぼしを減らす |
| 誤検知が高コスト(スパム/与信) | 適合率(Precision) | 陽性予測の正確さを上げる |
| 強い不均衡の総合評価 | PR-AUC / F1 | ROC-AUC は楽観的になりがち |
| 回帰・外れ値を強く罰する | RMSE | 誤差を二乗する |
| 回帰・外れ値に頑健 | MAE | 絶対誤差で外れに鈍感 |
シナリオ:不正検知(陽性 0.3%)で ROC-AUC が 0.97 と高いのに、本番では誤検知が多すぎて運用が破綻している。→ 強い不均衡では ROC-AUC が楽観的に見える。PR 曲線/PR-AUC で評価し直し、適合率と再現率のトレードオフから運用可能なしきい値を選ぶ。見逃しコストと誤検知コストの比に応じて F-beta やしきい値を調整し、検証データで決めてテストで確認する。
FAQ:Q. ROC-AUC と PR-AUC の使い分けは? A. クラスが概ね均衡なら ROC、強い不均衡なら PR の方が実態を反映。Q. 適合率と再現率は同時に上げられる? A. 通常トレードオフ。しきい値で調整し、両立が要るなら F1/F-beta を最適化。Q. RMSE と MAE は? A. 大きな誤差を重く見るなら RMSE、外れ値に頑健にしたいなら MAE。
ひっかけ:「ROC-AUC が高ければ不均衡データでも安心」は誤り。強い不均衡では多数の真陰性のおかげで ROC-AUC が高く見えやすく、少数陽性の取りこぼしや誤検知の多さを覆い隠す。PR-AUC や、目的に応じた適合率/再現率/F-beta で評価する。「accuracy が高い=良いモデル」も不均衡では誤り。
3.3.2モデリングの in-scope サービス
モデリングの中核は Amazon SageMaker AI で、組み込みアルゴリズム・自動チューニング(AMT)・分散学習・各種推論をサポートし、データ準備から学習・チューニング・デプロイ・推論まで統合します。EC2 で自前のディープラーニング環境を素早く立ち上げるなら AWS Deep Learning AMIs(DLAMI)が、主要フレームワーク(TensorFlow/PyTorch)と GPU ドライバ/ライブラリ(CUDA 等)を事前構成済みで提供します。開発・データ作業の補助には、コーディングや AWS の質問応答を行う生成 AI アシスタント Amazon Q を使います。
3.3.3この節のまとめ
- 分類=適合率/再現率/F1/AUC(不均衡は accuracy 回避)
- 回帰=RMSE/MAE/R²、見逃し重視=再現率
- 中核=SageMaker AI、自前DL環境=DLAMI、開発補助=Amazon Q
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理解度チェック
(軽い確認用)Q1. 不正取引の検出で、見逃し(実際の不正を見逃すこと)を最小化したい。重視すべき指標は?
Q2. 99% が正常・1% が異常のデータで、モデルが「全部正常」と予測しても正解率は 99% になります。代わりに使うべき指標は?
Q3. 回帰モデルで、大きな誤差をより強くペナルティしたい。どの指標が適していますか?

