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第5章 · インシデント対応·v1.0.0·更新 2026/7/17·読了目安 約14分

変更要約: 初版

5.4インシデント対応の要素

この節の要点

「あるべき方針」を示すポリシー、「どう備え・動くか」の計画、「具体的に何をするか」の手順という3つの文書要素の役割の違いと、NIST SP 800-61が示すインシデント対応ライフサイクル——準備→検知/分析→封じ込め/根絶/復旧→事後(教訓)——の各段階と順序を、入門レベルで学びます。

いざインシデントが起きたとき、その場の思いつきで動くのではなく、あらかじめ決めた文書と手順に沿って動ける組織が強い組織です。この節では、方針を示すポリシー・備えと動きを定める計画・具体的な作業を示す手順という3つの文書要素の役割の違いと、業界で広く参照されるNIST SP 800-61のインシデント対応ライフサイクル——準備→検知/分析→封じ込め/根絶/復旧→事後(教訓)——の各段階と順序を、入門レベルで学びます。順序を正しく押さえることが、この節の最大のねらいです。

5.4.1ポリシー・計画・手順の役割の違い

  • ポリシー(方針)=組織として「何を・なぜ守るか」「インシデントとは何か」「誰が責任を負うか」という上位の意思を示す文書。個別のやり方までは書かず、全体の方向性と原則を定める。経営の承認を受けた土台になる。
  • 計画(プラン)=ポリシーを受けて、どう備え、誰がどんな役割で、どんな流れで動くかを定める文書。連絡体制・役割分担・エスカレーション経路・必要なリソースなど、組織としての動き方の設計図にあたる。
  • 手順(プロシージャ)=計画を具体的な作業レベルに落とした手引き。「このアラートが出たらこのコマンドを実行し、この順で確認する」といった現場が実際に手を動かす詳細ステップ。ポリシー→計画→手順と抽象から具体へ降りていく関係。

5.4.2NIST SP 800-61 のライフサイクル

  • ①準備(Preparation)=事前の備え。体制・ツール・手順・訓練を整え、ログ収集や連絡網を用意しておく段階。
    ②検知/分析(Detection and Analysis)=異常に気づき、本当にインシデントか・範囲や深刻度はどうかを見極める段階。まず「気づいて見極める」が先。
  • ③封じ込め/根絶/復旧(Containment, Eradication and Recovery)=被害の拡大を止め(封じ込め)、原因(マルウェア等)を取り除き(根絶)、正常な状態へ戻す(復旧)段階。検知/分析の後に来る点が重要——見極める前に闇雲に封じ込めない。
  • ④事後(Post-Incident Activity=教訓)=対応を振り返り、「何がうまくいき、何を改善すべきか」を教訓としてまとめ、準備に反映する段階。ここで得た改善が次の
    ①準備を強くする。全体は準備→検知/分析→封じ込め/根絶/復旧→事後の順で回り、事後の学びが循環する。

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