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第2章 · Azure のアーキテクチャ基礎·v2.0.0·更新 2026/6/2·読了目安 約14分

変更要約: AZ-900 第2章を新基準で全面拡充(地理構造・リソース階層・スコープ継承・ARM/IaC)

2.1Azure の地理構造(リージョンと可用性ゾーン)

この節の要点

Azure が世界中に持つ地理的な構造——リージョン・リージョンペア・可用性ゾーン・データセンター——と、それが可用性やデータの所在地にどう関わるかを理解します。

Azure は世界中に広がるデータセンター群で構成されています。リソースをどこに配置するかは、見た目以上に重要な設計判断です。配置場所は、利用者までの距離で決まる応答速度(遅延)、障害や災害に備える可用性、そして「データを国外に出してよいか」という法令・データ所在地(データ主権)に直結します。この節では、Azure の地理的な構造——地理 > リージョン > 可用性ゾーン > データセンター——と、その選び方を整理します。

2.1.1リージョンとは

リージョン(Region)は、1つ以上のデータセンターをまとめた地理的なまとまりで、低遅延のネットワークで結ばれています(例:東日本、West US)。利用者は、リソースを作成するときに置くリージョンを選びます。注意したいのは、すべてのサービスや VM サイズがすべてのリージョンで使えるわけではないこと——新機能は特定リージョンから順次提供されます。また、いくつかの上位概念として、複数リージョンを束ねる地理(Geography)があり、データ所在地やコンプライアンスの境界として機能します。

特殊なリージョンも押さえましょう。各国政府向けの厳格な要件を満たす 政府向けリージョン(例:Azure Government)や、データを国内に留める必要がある国向けのソブリン(主権)リージョンなどがあり、一般のパブリックリージョンとは分離されています。AZ-900 では「規制要件によっては専用のリージョンを選ぶ」という考え方を押さえれば十分です。

Azure のリージョンは世界中に60以上あり、これは主要なクラウドの中でも最大級の広がりです。なぜこれほど多くのリージョンが要るのでしょうか。第一に近接性——利用者の近くにリージョンがあるほど通信距離が短く、応答が速くなります。第二にデータ主権——「このデータは国外に出せない」という法令に応えるには、その国・地域にリージョンが必要です。第三に冗長性——離れた複数の拠点があってこそ、災害時にも他拠点で事業を続けられます。リージョンという地理的な広がりは、速さ・法令順守・可用性の土台なのです。

2.1.2リージョンペア

リージョンペア(Region pair)は、同じ地理内で数百km以上離れた2つのリージョンの組です。離れているのは、広域災害(地震・洪水など)が両方を同時に襲わないようにするためです。リージョンペアには3つの利点があります。
順次更新:Azure 側のメンテナンスはペアの片方ずつ行われ、両方が同時に止まらない。
優先復旧:大規模障害時、ペアのどちらかが優先的に復旧される。
地理冗長ストレージ(GRS):データはペア先のリージョンへ自動複製される(次章のストレージで詳述)。

2.1.3可用性ゾーン

可用性ゾーン(Availability Zone, AZ)は、1つのリージョン内物理的に分離したデータセンター群です。各ゾーンは独立した電源・冷却・ネットワークを持つため、あるゾーンの停電や設備故障が他ゾーンに波及しません。重要なのは、ゾーンは「リージョンの」にある点——「離れた2リージョンの組」であるリージョンペアとは別物です。アプリを複数ゾーンにまたがって配置(ゾーン冗長)すれば、1ゾーンが落ちてもサービスを動かし続けられ、高可用性を実現できます。

リージョン内に物理的に分離した複数の可用性ゾーン(各ゾーンはデータセンターを含む)があり、同じ地理内の離れた2リージョンがリージョンペアとして結ばれている様子を表した図。
地理 > リージョン > 可用性ゾーン > データセンター
観点可用性ゾーンリージョンペア
範囲1リージョンの中離れた2リージョン
距離同一リージョン内(近い)数百km以上
主な目的ゾーン障害でも稼働継続(HA)広域災害からの復旧(DR)
守る対象DCレベルの障害リージョン全体の災害

2.1.4リージョンの選び方

リージョンは一度決めると移動が容易ではない(リソースの作り直しや移行が必要)ため、最初の選択が重要です。判断軸は主に次の4つで、これらは時にトレードオフになります(例:最寄りリージョンが最安とは限らない、規制で最寄りを選べない、など)。

判断軸なぜ重要か
遅延(近さ)利用者に近いほど応答が速い国内ユーザー→国内リージョン
データ主権/コンプライアンスデータを置ける国・地域の制約個人情報を国内に限定
機能・サービス提供使いたい機能/VMサイズの有無新GPU VMは特定リージョン
コスト同一サービスでも地域で料金差安価なリージョンを選ぶ
補足

包含関係:データセンター < 可用性ゾーン < リージョン < 地理(Geography)。「ゾーン=リージョン内」「ペア=リージョン間」という“内か外か”で覚えると混同しません。

シナリオ:国内向けの可用性重視Webサービス。 利用者は国内中心→遅延の小さい国内リージョンを選択。停止を避けたい→複数の可用性ゾーンに配置(ゾーン冗長)。大地震に備えたい→リージョンペアへバックアップ/レプリケーション。遅延・HA・DR をそれぞれ別の仕組みで満たします。

注意

混同に注意: 「可用性ゾーン」と「リージョンペア」。ゾーンは同一リージョン内の分離DCで主にHA、ペアは離れた2リージョンで主にDR(広域災害対策)。試験では「災害復旧にはどれ?→リージョンペア」「ゾーン障害に強いのは?→可用性ゾーン」のように問われます。

補足

Q. すべてのリージョンに可用性ゾーンはある? いいえ。可用性ゾーンは多くの主要リージョンで提供されますが、すべてのリージョンにあるわけではありません。可用性ゾーンが必要な設計では、ゾーン対応のリージョンを選ぶ必要があります。

試験ポイント

可用性ゾーン=リージョン内の物理分離DC(HA)リージョンペア=同一地理の離れた2リージョン(DR・順次更新・GRS)リージョン選択=遅延・データ主権/コンプライアンス・機能提供・コスト機能は全リージョン一律ではない は頻出です。

2.1.5この節のまとめ

  • 包含:地理 > リージョン > 可用性ゾーン > データセンター
  • 可用性ゾーン=リージョン内の物理分離DC→HA。リージョンペア=離れた2リージョン→DR/順次更新/GRS
  • リージョン選択は遅延・データ主権/コンプライアンス・機能提供・コスト。機能は全リージョン一律ではない
  • 規制次第で政府向け/ソブリンリージョンを選ぶこともある

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理解度チェック

(軽い確認用)

Q1. 可用性ゾーン(Availability Zone)の説明として正しいものはどれですか?

Q2. リージョンペアの主な目的はどれですか?

Q3. リソースを置くリージョンを選ぶときの考慮として適切でないものはどれですか?

Q4. 同一リージョン内でデータセンター障害に耐えてサービスを動かし続けたい。最適なのはどれですか?

Q5. 地理・リージョン・可用性ゾーン・データセンターの包含関係として正しいものはどれですか?

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