プロジェクトマネージャ試験 のナレッジマップ
プロジェクトマネージャ試験 の主要概念 46 件と、そのつながり。上のマップでノードをクリックすると関連用語や前提をたどれます。下は全概念の索引で、定義と「前提・関連する概念」への内部リンクを掲載しています。
概念一覧(46)
EVM(出来高管理)
プロジェクトの進捗とコストを金額換算した指標で管理する手法。計画値(PV)・出来高(EV)・実コスト(AC)から、コスト差異(CV)やスケジュール差異(SV)を算出し、遅延やコスト超過を定量的に把握する。
クリティカルパス
プロジェクトの開始から終了までの経路のうち、最も所要日数が長い経路。この経路上の作業が1日でも遅延すると、プロジェクト全体の完了日も遅延する。
EV(出来高実績値)
実際に完了した作業の量を、承認済み予算で評価した値。「完了した作業にいくらの価値があったか」を表し、PV・ACと組み合わせてSV・CV・SPI・CPIなどすべてのEVM指標を算出する中心的な値である。
スケジュール効率指数(SPI)
EVM(アーンドバリューマネジメント)でスケジュールの遂行状況を評価する指標。SPI=EV(出来高)÷PV(計画価値)で算出し、1.0が計画どおり、1未満はスケジュール遅延、1超は計画より進んでいることを示す。
コンティンジェンシ予備
識別済みのリスク(「既知の未知」=known unknowns)に備えてコストベースラインに含めて確保する予備費。リスク分析(期待金額など)に基づき算定し、プロジェクトマネージャの裁量で使用できる。未識別のリスク(「未知の未知」)に備え経営層が管理するマネジメント予備とは区別される。
前提: 期待金額価値(EMV)
対象群(知識エリア)
JIS Q 21500が定める10のマネジメント領域(統合・ステークホルダ・スコープ・資源・時間・コスト・リスク・品質・調達・コミュニケーション)の総称。各対象群が複数のプロセス群にまたがって活動を持つ点を理解することが、PM標準の全体構造を把握する上で重要。
関連: プロセス群、JIS Q 21500
リスク対応(低減・回避・移転・受容)
リスクアセスメントの結果に基づき取る4つの対応方針。低減=管理策の導入で発生可能性や影響度を下げる、回避=リスクの原因となる活動自体をやめる、移転=保険や委託で第三者にリスクを移す、受容=許容範囲内として対策せず受け入れる。コストと効果のバランスで選択する。
関連: リスクアセスメント
コスト効率指数(CPI)
EVMでコストの遂行状況を評価する指標。CPI=EV(出来高)÷AC(実コスト)で算出し、1.0が予算どおり、1未満はコスト超過(非効率)、1超は予算より効率的に進んでいることを示す。
前提: AC(実コスト)、EV(出来高実績値)
AC(実コスト)
ある期間に完了した作業に対して実際に発生した(incurred)コストの累積値(支払い完了の有無は問わない)。EVと比較することでコスト効率(CPI)を、単独では予算執行状況を把握するために使う。
コストベースライン
時間軸に沿って承認されたプロジェクト予算(フェーズ別・期間別の累積コスト)。マネジメント予備は含まないが、コンティンジェンシ予備は含む。EVMのPV(出来高計画値)はこのベースラインから導出され、実績との比較基準となる点で重要。
前提: EV(出来高実績値)、PV(出来高計画値)
関連: コンティンジェンシ予備、マネジメント予備
クラッシング
追加の資源(要員・費用)を投入してクリティカルパス上のアクティビティ期間を短縮するスケジュール短縮技法。コスト増を伴うため、単位期間短縮あたりの追加コストが最小のアクティビティから適用するのが最適な判断となる。
前提: クリティカルパス
統合変更管理
変更要求を受け付け、影響範囲(スコープ・スケジュール・コスト・品質)を評価し、変更管理委員会などで承認・却下・保留を決定してベースラインへ反映するプロセス。無秩序な変更(スコープクリープ)を防ぎ、変更の影響を組織全体で一貫して管理する点で重要。
関連: スコープクリープ
マネジメント予備
未知のリスク(予見できないスコープ内の作業)に備えて確保する予備費で、コストベースラインには含まれずプロジェクト予算の一部として管理される。使用にはスポンサーなど上位の承認が必要な点がコンティンジェンシ予備と異なり、混同するとEVM算出のBACの範囲を誤る。
前提: EV(出来高実績値)
関連: コンティンジェンシ予備、コストベースライン
プロセス群
JIS Q 21500におけるプロジェクトマネジメント活動の5つのグループ(立上げ・計画・実行・監視コントロール・終結)。単純な時系列の段階ではなく、プロジェクト内で重複・反復しうる(例:計画と実行を反復する)。対象群(知識エリア)と組み合わせた行列でどのプロセスがどの知識エリアに属するかを整理する枠組みとして重要。
PV(出来高計画値)
ある時点までに完了しているべき作業に割り当てられた承認済み予算の累積値。EVMの基準線であり、実績のEV・ACと比較することでスケジュールとコストの差異(SV・CV)を算出する起点となる。
スコープクリープ
正式な変更管理プロセスを経ずに、なし崩し的にプロジェクトのスコープが拡大していく現象。追加のコスト・スケジュール影響が評価・承認されないまま作業が増えるため、統合変更管理を徹底し兆候を早期に検知して対処することが重要。
関連: 統合変更管理
デシジョンツリー
複数の選択肢とその結果を樹形図で表し、各分岐の発生確率と利得から期待値を計算して最適な意思決定を導く経営科学の手法。不確実性を伴う投資判断やプロジェクト選択の評価に用いられ、各枝の期待値(確率×利得の総和)を比較して最も有利な選択肢を選ぶ。
PMBOK
プロジェクトマネジメントの知識体系を整理したガイド(Project Management Body of Knowledge)。第6版まではスコープ・スケジュール・コスト・品質・リスク・調達・ステークホルダーなど10の知識エリアとプロセス群で整理されていた。第7版(2021年)以降は12の原理原則と8つのパフォーマンスドメインを中心とする構成へ移行している。
前提: プロセス群、対象群(知識エリア)
アローダイアグラム
作業の順序関係と所要日数を矢印とノードで表した図(PERT図)。各経路の日数を積み上げることで、クリティカルパスや最早・最遅の開始・終了日を算出できる。
前提: クリティカルパス
構成管理
成果物・文書・ベースラインのバージョンを識別・記録し、承認された変更のみを反映して整合性を保つ活動。統合変更管理と連携し、どの版が正式なベースラインかを常に一意に追跡できるようにする点で重要。
前提: 統合変更管理
管理図(品質)
プロセスの測定値を時系列にプロットし、管理限界線(上方・下方)を用いて工程が安定しているかを判定する図。7点連続で片側に出るなどの非ランダムなパターンを異常と判定し、統計的にプロセスを制御して是正の要否を判断する点で重要。
CV(コスト差異)
CV = EV − AC で算出するコストの超過・節約を示す指標。正の値は予算内(コスト超過なし)、負の値は予算超過を意味し、SVと組み合わせて診断すること(例:SPI低・CPI低なら遅延かつ超過)で是正措置を判断する。
ファストトラッキング
通常は順番に行うアクティビティを並行して実施することでスケジュールを短縮する技法。追加コストはかからないが、手戻りやリスクが増大する可能性があるため、クラッシングとのトレードオフ(コスト増 vs リスク増)を踏まえて選択すべき点が重要。
前提: クラッシング
特性要因図
問題(特性)に対する原因(要因)を、人・機械・方法・材料などのカテゴリに分けて魚の骨のような形に整理する図。根本原因分析に用い、対症療法ではなく真因に対処する判断を支援する点で重要。
JIS Q 21500
プロジェクトマネジメントの手引きを示す日本産業規格(JIS Q 21500:2018、ISO 21500:2012に対応)。5つのプロセス群(立上げ・計画・実行・監視コントロール・終結)と10の対象群(知識エリア)でプロジェクトマネジメントの実践を体系化し、PM試験(午前II)の出題体系の基準となる。なおISO 21500は2021年改訂でガバナンス標準に再編され、プロセスの詳細はISO 21502に移行したが、IPA試験は従来のプロセス群/対象群の枠組みを踏襲している。
関連: 対象群(知識エリア)、プロセス群
パレート図
不良や問題の発生要因を発生頻度の高い順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねた図。少数の要因が大部分の問題を占めるという経験則(80対20の法則)に基づき、優先的に対処すべき要因を絞り込む分析ツールとして重要。
先行関係(FS/SS/FF/SF)
アクティビティ間の順序制約の型。終了-開始(FS)・開始-開始(SS)・終了-終了(FF)・開始-終了(SF、まれ)の4種があり、最も一般的なのはFS。スケジュールネットワーク図の正しい依存関係を表現し、クリティカルパスの算出根拠になる点で重要。
前提: クリティカルパス
QC7つ道具
パレート図・特性要因図・管理図・ヒストグラム・散布図・チェックシート・層別の7つの品質分析ツールの総称。数値データを主に扱い、原因分析から傾向把握まで目的に応じて使い分ける点が、状況に適した手法を選ぶ判断力として重要。
スコープ記述書
プロジェクトの成果物・境界・除外事項・受入基準を詳細に定義した文書。WBS作成の土台となり、何が含まれ何が含まれないかを関係者間で明確にすることでスコープクリープを防ぐ点で重要。
前提: スコープクリープ
アジャイル開発とスクラム
アジャイル開発は、短い期間(イテレーション)で計画・設計・実装・テストを繰り返し、変化する要求に柔軟に対応する開発手法の総称。スクラムはその代表的な手法の一つで、スプリントと呼ぶ短い期間を繰り返す。
バーンダウンチャート
アジャイル開発でスプリントやリリースの残作業量を時間軸に沿ってプロットし、理想線と実績線を比較する図。実績線が理想線から乖離した場合に進捗の遅れや見積り誤りを早期に検知し、スコープ調整などの判断につなげる点で重要。
前提: アジャイル開発とスクラム
実費償還契約(コストプラス)
実際に発生したコストに、あらかじめ合意した報酬(定額または出来高に応じた割合)を上乗せして支払う契約類型。コスト超過のリスクは主に発注者側が負うため、要件が固まっていない探索的な開発に適する一方、発注者側のコスト管理・監視の負担が大きい点に注意。
期待金額価値(EMV)
リスクが発生した場合の金銭的影響額に発生確率を乗じて算出する定量的リスク分析の指標(EMV=確率×影響額)。複数のリスクシナリオを金額換算して比較できるため、デシジョンツリー分析などでどの選択肢が期待値上有利かを判断する基礎になる。
前提: デシジョンツリー
定額契約(FP)
あらかじめ合意した総額を支払う契約類型。要件が明確に固まっている場合に適し、コスト超過のリスクはベンダー側が負う。要件が流動的な探索的な開発に適用するとベンダーが過大なリスクプレミアムを乗せる、あるいは品質低下を招く点に注意が必要。
フリーフロート
あるアクティビティが、直後の後続アクティビティの最早開始日に影響を与えることなく遅延できる時間。トータルフロートより小さいか等しく、局所的な遅延の余地を示すため、後続作業への即時影響を判断する際に用いる。
前提: トータルフロート
リード/ラグ
リードは後続作業を前倒しで開始できる時間(先行関係に対するマイナスの時間差)、ラグは後続作業の開始を意図的に遅らせる待機時間(プラスの時間差)。スケジュールの現実的な調整に使われ、誤って符号を取り違えると所要期間の算出を誤る点に注意が必要。
二次リスク
あるリスクへの対応策を実施したことによって新たに発生するリスク。例えば下請けへの再委託(転嫁)が新たな供給者管理リスクを生むように、対応策自体が生むリスクを見落とさず評価することが、リスク対応の完全性を保つ上で重要。
SV(スケジュール差異)
SV = EV − PV で算出するスケジュールの遅延・先行を示す指標。正の値は計画より進んでいる(先行)、負の値は遅れている(遅延)ことを意味し、符号を取り違えると是正措置の判断を誤る点に注意。
タイムアンドマテリアル契約(T&M)
作業時間の単価と使用した資材の実費を組み合わせて支払う契約類型。定額契約と実費償還契約の中間的な性質を持ち、小規模で作業範囲が事前に確定しにくい追加開発や保守作業に適する一方、上限を設けないとコストが青天井になるリスクがある。
トータルフロート
あるアクティビティが、プロジェクト全体の完了日を遅らせることなく遅延できる最大時間(最遅開始日−最早開始日)。トータルフロートが0のアクティビティの連なりがクリティカルパスであり、フロートが0か正かを判定することが遅延対応の優先順位づけの基準になる点で重要。
前提: クリティカルパス
ベロシティ
アジャイル開発において、1スプリントあたりにチームが完了できる作業量(ストーリーポイントなど)の平均的な実績値。過去のスプリントの実績から算出し、以降のスプリント計画やリリース予測の見積り根拠として使う点で重要。
前提: アジャイル開発とスクラム
ITIL
ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティスをまとめたフレームワーク。インシデント管理や変更管理などサービス運用の進め方を体系化する。最新のITIL 4(2019年)では、価値共創を中心とする「サービスバリューシステム(SVS)」と34の「プラクティス」に再構成されている(従来のプロセス群はプラクティスとして継承)。
前提: プロセス群
プレシデンスダイアグラム(PDM)
アクティビティをノード(箱)で表し、矢印で先行関係を示すスケジュールネットワーク図法。ダミーアクティビティが不要でFS/SS/FF/SFの4種の依存関係すべてを直接表現できるため、現代のプロジェクトスケジューリングで標準的に使われる。
資源平準化
特定の資源の割当てが上限を超えないように、アクティビティの開始・終了日を調整してスケジュールを見直す技法。制約を優先するためクリティカルパスが変化し、通常はプロジェクト終了日が延びる点が、単なる資源円滑化(フロート内調整のみ)との違いとして重要。
前提: クリティカルパス
残留リスク
リスク対応(低減・回避・移転)を実施した後になお残るリスク。ゼロにはできないため、経営層が許容水準内にあるかを判断し、受容するかどうかを承認する対象となる。
リスクアセスメント
情報資産に対する脅威と脆弱性を洗い出し、リスクを特定・分析・評価する一連のプロセス。リスクの大きさ(発生可能性×影響度)を明らかにし、以降のリスク対応の判断材料とする。ISMSのPDCAではPlanフェーズの中核。

